乗鞍観光センターの無料駐車場で、車中泊はできるの・できないの?【クルマ旅のプロが解説】

乗鞍観光センター

車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、乗鞍高原とその周辺にある5件の車中泊スポットを紹介しています

「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド

車中泊

この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。

※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

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~ここから本編が始まります。~

筆者個人の見解は、道の駅と同じように「仮眠」と呼べる車中泊ならOK!

乗鞍観光センター 車中泊

2024年7月27日早朝4時57分の乗鞍観光センター駐車場の様子

※この記事はあくまでも筆者個人の見解で書いているので、現地に「車中泊禁止」の表示がある以上は車中泊をすべきではないとお考えの方は、お控えください。当方にはなんの権威もありません。

乗鞍観光センター DATA

乗鞍観光センター
〒390-1520
長野県松本市安曇4306-5
☎0268-86-2331
駐車場 無料(200台)
敷地内のトイレは24時間利用可能

乗鞍観光センターの筆者の歴訪記録

※記録が残る2001年以降の取材日と訪問回数をご紹介。

2001.10.07
2002.10.14

2003.07.28
2003.10.03
2007.10.05
2008.05.02
2012.09.17
2013.09.24
2014.10.09
2016.07.15
2018.04.26
2019.08.09
2022.09.22
2024.07.27

※「乗鞍観光センター」での現地調査は2024年7月が直近です。

乗鞍観光センターの無料駐車場

乗鞍観光センター

乗鞍観光センターでの車中泊の歴史

車中泊禁止にいたった経緯

ポイントは「車中泊」の解釈

乗鞍観光センターの施設

乗鞍観光センターの最寄りの温泉&周辺買い物施設

乗鞍観光センターのアクセスマップ

必要なものが勢揃い! 楽天市場の「車中泊グッズ」大特集 
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乗鞍観光センターにおける車中泊の歴史

湯けむり館

思い起こせば、筆者と「乗鞍高原」との”付き合い”はずいぶん長い。

初めて訪ねたのは30年前の1994年で、時代はまだ「20世紀の昭和」だった。

乗鞍スカイラン

当時は車中泊をしていなかったが、幼い子どもたちといっしょに「乗鞍スカイラン」で「畳平」までドライブをしたり、スノーボードが禁止だった「乗鞍高原」のゲレンデに何度も足を運んだ。

だが振り返ると全てが今とは違っている。

大きな露天風呂が懐かしい「湯けむり館」は道の向かい側に移転し、「乗鞍スカイライン」は通年マイカー通行禁止になり、そしてスキー天国だったゲレンデは、スノーボーダーの楽園になってしまった。

乗鞍観光センター

それを考えれば、当時の「乗鞍観光センター」の駐車場では、こんな光景がごく普通に見られていたとしても、さほど驚くことではあるまい。

乗鞍高原の車中泊事情を理解するには、現在だけを見るのではなく、そんな過去から今日に至る「時代と環境の変遷」にも、目を向ける必要がある。

もっともこんな話は、平成生まれのブロガーやユーチューバーに書けるはずもなく、必然的に筆者のようなオヤジ世代の出番になるというわけだ(笑)。

ここで、乗鞍高原がどういうところかを簡単に説明しよう。

乗鞍高原

「乗鞍岳」の東斜面にあたる、長野県側の標高約1600メートル地点に広がる「乗鞍高原」は、夏はトレッキング、冬はスノースポーツが楽しめる”アウトドアのリゾート基地」で、良質の温泉も湧いている。

乗鞍高原

そのため、ペンション・民宿・旅館・国民宿舎などを合わせると、実に100軒以上の宿泊施設があり、レストランやカフェと並んで名物のそばが食べられる店も多い。

さて。

貴方は、そのような土地で暮らしを営む人々が、お金を落とさない車中泊の旅人に寛大でいられると思うだろうか?

乗鞍観光センター

この記事の舞台である「乗鞍観光センター」は、「のりくら温泉郷」の玄関にあたる場所にあり、マイカー規制が行われている「乗鞍エコーライン」の終点「畳平」行きのバスターミナルを兼ねた施設で、昔から広い無料駐車場を構えている。

そこに目をつけたのが、キャンピングカーを含む車中泊の旅人だ。

時代は1995年頃。

「道の駅なるさわ」の駐車場に洗濯物を干して乗り入れを禁止されたり、草津温泉の「大滝乃湯」の前で堂々と椅子とテーブルを広げて車中泊をするなど、実はその当時から各地で悪さを働く車中泊の輩はいた。

乗鞍高原と車中泊旅行者のいざこざは、ここに端を発しているのだから根が深い。

乗鞍観光センター

節操のない車中泊旅行者たちによってもたらされた、「乗鞍観光センター」の苦悩は、この注意書きを見ればよく分かる。

そう一番の問題は、周囲の宿泊施設からクレームが寄せられたことだ。

これは草津温泉の道の駅の臨時駐車場と同じ事例になる。

ただ「乗鞍観光センター」の苦悩には、他にも理由があった。

本来、この駐車場は乗鞍岳をトレッキングする人向けに設けられており、早朝から「畳平」行きのシャトルバスを運行していることから、むやみに車中泊を禁止すれば、今度は利用者からクレームが出ることを施設側は理解していた。

つまり、彼らが排除したかったのは、常識外れな輩と、山へ行くわけでもなく、日中から駐車場に屯して避暑を決め込む、誰もに迷惑な人種だけ…

そして何より大事なことは、今もそれは変わらない… 

だが、2021年に”風向き”が変わる。

車中泊禁止にいたった経緯

乗鞍観光センター 車中泊

どうやら、さまざまな看板を立てても効果が出ないことに業を煮やした、近所からの「突上げ」でこうなったようだ。

こちらが、その”当事者”さんが2021年8月12日にアップされたブログになる。

ただ行政から公式に発表された、「乗鞍観光センター」での車中泊を禁止する旨の記載は、ネット上には見当たらない。

カフェ・スプリングバンク

ブログを発信している「カフェ・スプリングバンク」は、「乗鞍観光センター」から約3キロ山を下ったところにあるので、直接悪質な車中泊者の被害に遭っているわけではないと思うが、周りから聞いた話にせよ、こう書きたい気持ちは理解できる。

ただ怒りのあまり、見落としてはならない最重要ポイントに気がついていない。

それは書かれたようなマナー違反とは無関係な、良識ある車中泊旅行者の存在だ。

乗鞍観光センター

筆者は「乗鞍観光センター」が、「エコーライン」のシャトルバス乗り換え駐車場を兼ねていないのなら、車中泊禁止になっても致し方なしと思っている。

だが、ここからは朝の6時に「畳平」行きのバスが出る。

乗鞍観光センター 車中泊

それに乗ろうと、遠方からこの地を目指してくる人たちが、全員6時ジャストに着けるわけもなく、現実に朝の「乗鞍観光センター」は1時間以上前にはこの状態だ。

すなわち、ここが「エコーライン」のシャトルバス乗り換え駐車場であるかぎり、国土交通省が云う「仮眠」に該当する「車中泊」を禁止することは、旅行者の安全を考えれば道義上あってはならないと思うし、世論の賛同も得られはしないだろう。

一部のマナーの悪い人を排除するのと、万民に不自由を強制することが、同じテーブルの上に乗るはずがないことは、車中泊をしなくても分かる話だ。

ここでおもしろい事例を追加しよう。

あかんだな駐車場

15年以上にわたり、上高地から北アルプスを目指す登山客に実質的に車中泊を禁じ、同じ類の暴挙をし続けてきた岐阜県の「あかんだな駐車場」は、ついに車中泊禁止を撤回し、現在は24時間利用可能に変わっている。

あかんだな駐車場

それからしても、「乗鞍観光センター」は時代に逆行していることを認識し、態度を改めたほうがいい。

乗鞍観光センター

具体的には、「車中泊」という言葉を外して、かつてのように「本当に禁止したいことを明記する」ようにしてくれればいいだけだ。

筆者だけでなく、おそらく善良な車中泊旅行者はみんな、「乗鞍観光センター」からこういうことをする輩が排除されることを願っている。

なのにそうならない一番の理由は、取り締まりをしないからに尽きるし、警察が検挙できる法整備を進めようとしないことに起因しているのは明らかだ。

この件については、以下の記事に具体的にまとめているのだが、いずれにしても結論はやり方の方向性が間違っている。ゆえにいつまでたっても解決しない。

ポイントは「車中泊」の解釈

三本滝

とどのつまり、「乗鞍観光センター」でキャンプ行為や長期滞在をせず、乗鞍岳への登山や高山植物観察、雷鳥観察、さらにはネイチャーフォトといった純粋なアウトドアを楽しむための”仮眠=車中泊”をするのであれば”お咎めなし”だ。

実際に車中泊をしても注意をされなかったのは、乗鞍高原の当局もそう認識しているからだろう。

この話は「カフェ・スプリングバンク」を含めて、「車中泊」という言葉の定義の違いからボタンの掛け違いになっている。

そしてそこまで書くなら、もう少しは「車中泊」の勉強を。

あなたの店でコーヒーを飲んだ人の中には、善良な車中泊の旅人もいるはずで、そういう人まで敵に回す必要はないだろう。

 

乗鞍観光センターの施設

「乗鞍観光センター」のレイアウト図

さて。

こちらが「乗鞍観光センター」のレイアウト図になる。

乗鞍観光センター

「観光観光センター」の建物には、乗鞍高原観光案内所とシャトルバスの乗車券発売所、そして売店と食事処がある。

乗鞍観光センター

車中泊に適しているのは、野外に24時間トイレがあるマップの「P1」の「乗鞍観光センター」前の駐車場だ。

路面にはやや傾斜のある場所もあるが、車中泊に支障をきたすほどではない。

ただ「エコーライン」のシャトルバスが運行する夏は、早朝から続々と登山客・観光客がやってくるので、多少騒がしく感じるかもしれない。

乗鞍観光センター トイレ

右の建物が屋外に建つ24時間トイレ。

乗鞍観光センター トイレ

中は洋式の水洗だが、ウォシュレットまではついていない。

乗鞍自然保護センター

いっぽうこちらは、「乗鞍高原」と「乗鞍岳」に関する自然情報や見どころを紹介している「乗鞍自然保護センター」で、「乗鞍観光センター」と「P1」の駐車場を挟んだ反対側に建っている。

乗鞍自然保護センター

館内は周辺に生息する動物の剥製や、乗鞍の地形・地質の立体模型などを展示しており、ビジターセンターのようだった。

乗鞍自然保護センター
☎0263-93-2045
営業時間:9時~17時
入館:無料
営業期間:4月15日~11月15日
休館日:水曜日
GW・7月中旬から8月中旬は無休

乗鞍観光センター

「P2」の駐車場は、乗鞍スーパー林道の入口手前にあり、カフェ&レストラン「アルム」の向かいになる。

アルム

「アルム」はもしかしたら、悪党たちの迷惑を被ってきたのかもしれない。

そして「カフェ・スプリングバンク」は「アルム」のオーナーと顔見知りで、代わりにブログに実情を書いてあげたような気がしないでもない。

なお敷地にトイレはないが、「P1」のトイレまで歩いて行けるので心配は無用だ。

芝生の公園と隣接しており、こちらのほうが居心地はいいかもしれないが、大型車も利用する。

乗鞍観光センター

最後は未舗装でフリーのキャンプサイトのような「P1-1」。筆者は一度ここに誘導されたことがあるが、地面が土なので涼しく居心地も悪くなかった。

ただし開放されるのは夏の最盛期だけだ。

2024年7月更新

松本市では老朽化が進む「乗鞍観光センター」の再整備計画を進めているようだ。

プランはかなり具体的な段階まで進んでおり、2027年の共用を目指している。

「乗鞍観光センター」の再整備計画 概要

これができる頃には、正しい認識を持って車中泊旅行者を迎えてくれる体制になっていることを望みたいね。

乗鞍観光センターの最寄りの温泉&周辺買い物施設

湯けむり館

最寄りの温泉は歩いて行ける、市営の日帰り温泉「湯けむり館」だ。ここでは夕食も比較的リーズナブルに食べられる。

湯けむり館
☎0263-93-2589
おとな730円
10時~20時30分(受付最終20時)
火曜定休

ただ近くには「のりくら温泉郷」があるので、以下の記事を参考に良さそうなところを選ぶのも悪くない。

大変なのは「買い出し」だ。

スキーと登山、そして温泉の宿泊客で栄えてきた乗鞍高原には、「食料調達がしずらい」という難点がある。近くにはスーパーマーケットどころかコンビニもない。

リカーショップ TSUDUKI

ただし酒とおつまみだけは、「カフェ・スプリングバンク」の少し手前にあるこの店で手に入る。

リカーショップ TSUDUKI
☎0263-93-2440
長野県松本市安曇番所39869-19
9時~18時・水曜定休

デリシア波田駅前店

比較的大きなスーパーは、松本方面に向かって30キロ近く走った、松本電鉄・上高地線の「波田」駅手前の「デリシア」で、国道158号沿いの波田町役場交差点を右折し、踏切を超えたスグのところにある。

ここはコインランドリーも併設しているので、長旅の途中で乗鞍高原に立ち寄りたい人には朗報だと思う。

乗鞍観光センターのアクセスマップ

マップをグーグルナビに切り替える方法
スマートフォンでご覧の方は、「拡大地図を表示」をタップし、画面が切り替わったら下の「ナビ開始」をタップするとナビゲーションが始まります。 高速道路か国道にするかを選びたい場合は、「ナビ開始」ボタンの左にある「経路」をタップすると表示されます。
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