車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「高ボッチ山(高原)」の雲海撮影と車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
「高ボッチ山(高原)」は、夕景・夜景・早朝の雲海が美しい、とっておきの諏訪湖ビュースポットだが、それを見るには、車中泊が断然有利。
「高ボッチ山(高原)」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2008.05.03
2019.07.31
2020.10.31
※「高ボッチ山(高原)」での現地調査は2020年10月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年7月に更新しています。
高ボッチ山(高原)
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高ボッチ山(高原)の雲海
「マジックアワー」という言葉をご存知だろうか?
マジックアワー(Wikipediaより転用)
マジックアワー (magic hour) 、マジックタイムは、日没前、日の出後に数十分ほど体験できる薄明の時間帯を指す撮影用語で、光源となる太陽からの光線が日中より赤く、淡い状態となり、色相がソフトで暖かく、金色に輝いて見える。
写真は10月31日の早朝の6時過ぎに見た、「高ボッチ山」からの光景。
左が富士山、右は南アルプス、そして手前には諏訪湖が広がっている。
雲海が湧く晩秋になると、この光景をひと目見ようと、首都圏のみならず京阪神からも、多くの写真愛好家がこの「高ボッチ山」にやってくる。
だが「1等席」の数は決まっている。
宿などないフィールドで、予約の出来ない好位置を確保するには、いうまでもなく車中泊が断然有利だ。
筆者が「高ボッチ山」での車中泊を勧める、もうひとつの理由は途中の道にある。
行きやすいのは「岡谷インター」からだが、道中にはすれ違いが困難なほど道が狭くてガードレールのない場所があるため、真っ暗な夜道を走るのは、慣れていないと本当に危険だ。
ゆえにまだ明るい前日の日没前に到着するのがベストで、そうなると、もれなく車中泊がついてくる(笑)。
もちろん雲海が出るシーズンの夜明け前は氷点下になるので、スタッドレスタイヤを含めた真冬の装備は欠かせない。
さらにニットキャップ・ダウンジャケット・手袋・カイロ・ブーツなどの防寒具も必要になるが、これらは真冬のアウトドア経験がないと、どのレベルのクオリティーを持つどんなアイテムが、いったいどこまで必要なのかの察しがつかないと思う。
高ボッチ山(高原)の車中泊事情
そんなわけで
最初にお伝えすべき話は、「高ボッチ山」はロクにアウトドアをしたこともない”お気楽バンライフちゃん”が、ひょこひょこと車中泊に来るような場所じゃない(笑)。
そういう人には、「高ボッチ山」から15キロほどのところにある、「道の駅小坂田公園」での車中泊が合っている。
後述するが、2020年放送の「絶メシロード」でロケ地にしてしまった絡みもあって、大きな声では云えないが、特に雲海シーズンは三脚と高そうな一眼レフを抱えたオッチャン達から、”邪魔者扱い”されるのがオチだと思う(笑)。
誰だか知らないが、ここは車中泊が可能かなんて市に問い合わせたらしいが、そりゃNoと云われて当然だろう。
ただその理由は「ここは純粋なアウトドアフィールドであって、それをしないのなら周りに迷惑をかけるだけだから」ということが、昼間にでも行けば分かる。
そして同時にここでの車中泊は、禁止うんぬんで語れる話ではなく、”安全確保の上で必要不可欠”であることにも気づくはずだ。
すなわち電話でNoと答えた市の担当者は、「車中泊」をオートキャンプと混同しているわけで、「仮眠」ができるかと聞けば、Yesだったかもしれない。
さて。
日中はハイキングや草競馬の見学などを目的に「高ボッチ山」を訪れる人は多い。
そのため現地には、2ヶ所の広い駐車場が用意されている。
こちらが、山道を抜けて視界が開けた先に見える第一駐車場。
未舗装とは云え、100台は収容できそうな広さでトイレもある。
諏訪湖の彼方に富士山が見える雲海狙いで車中泊をするなら、ここに停めるといい。
第一駐車場の利点は、草競馬場や高ボッチ牧場、そして見晴の丘にも近いこと。
いっぽう、こちらは第二駐車場。
地面が丸く見えるのは広角レンズによる余興だが(笑)、面積は第一駐車場よりはやや小さめで、未舗装ながら、やはりフラットでトイレもある。
駐車場の一画にある展望所からは、北アルプスや御嶽山が望める。
第二駐車場のトイレ。思ったより中はキレイで、多目的トイレが洋式になっている。
上の観光マップにも出ている「高原自然保護センター」。
筆者が訪れる直前の2019年4月に閉館してしまったようだが、そのあとここには自動販売機が置かれている。
第ニ駐車場から歩いて5〜6分で到着できる、標高1665メートルの「高ボッチ山」の山頂。見晴の丘も同じ方向を向いているのだが、ちょっとだけ苦労するぶん、視界は広がって見える(笑)。
ちなみに第一駐車場と第二駐車場は遊歩道でもつながっており、その途中にもフォトスポットがある。
高ボッチ山(高原)のアクセスマップ
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高ボッチ山(高原)に最寄りの温泉
観光マップにある「崖の湯(薬師平茜宿)」は、平日16時、土日は13時までに入場しなければならず、実際の利用は難しいと思うので、岡谷にある「片倉館」に似た名物温泉を掲載しておこう。
美肌の湯 ロマネット
「高ボッチ高原」まで約18キロ・35分
☎0266-27-6080
大人600円
10時~22時30分(受付22時)・火曜定休
なお、コンビニ・スーパーマーケットともに近くにはないので、買い出しは高ボッチ高原に向かう前に、入浴とあわせて岡谷市内で済ませておくといい。
ドラマ「絶メシロード」 エピソード
「絶メシロード」は2020年1月からテレビ東京系列で放送された、「車中泊」と「グルメ」を題材にした深夜ドラマで、筆者は車中泊の監修者として携わった経緯から、全12話に使われた車中泊スポットを実際に訪れている。
「高ボッチ高原」でのロケは制作チームからのリクエストだったが、正直なところ筆者はあまり乗り気ではなかった。
その理由は、場所云々よりもロケを行う時期に起因する。
これは1話の「山中湖」、7話の「美の山公園」にも共通しているのだが、富士山や雲海がスカッと見えるのは、早くても10月下旬以降で、それまでは晴れてもせいぜいこの写真程度が精一杯。
だが放送が年明け早々と決まっていたため、ロケをそこまで伸ばす余裕はなく、筆者はまださほど季節の影響を受けない、ビーナスラインの白樺湖か霧ヶ峰を押したのだが、結局「高ボッチ高原」に決まった。
ただ本番は、初秋にしては上出来のコンディションに恵まれ、作品の出来栄えはけして悪くない。最終回ということで回顧シーンも多かったしね。
「絶メシロード」の他のロケ地と、撮影秘話をまとめたオリジナルの記事はこちら。