車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、上高地行きのバスターミナルが発着する奥飛騨温泉郷と沢渡の駐車場の良し悪しを比較しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
かつては沢渡、今は奥飛騨。ここ数年で立場は逆転
上高地の筆者の歴訪記録
※記録が残る2001年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2001.10.06
2002.10.26
2003.05.26
2005.12.18
2007.08.11
2007.10.06
2008.05.01
2009.02.19
2009.09.20
2011.02.12
2013.09.24
2016.02.12
2016.07.15
2018.04.27
「上高地」での現地調査は2018年4月が直近で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年7月に更新しています。
上高地へ行く時の駐車場は、奥飛騨温泉郷と沢渡地区の”どちらがお勧め”?
沢渡の市営駐車場では、キャンピングカー(8ナンバー)の入庫は不可
あかんだな駐車場は24時間利用可能になって、利便性が大幅に向上
ロケーションとコストの比較
このページに来られているということは、「上高地」がどういうところかを既にある程度ご存知だと思うので、その話はここでは割愛している。
もしそこから知りたい人は、以下の記事がきっと役に立つと思うので、のちほどご覧いただきたい。
ということで、ロケーションから云うと、

出典:上高地ビジターセンター
東海・北陸・関西方面から「東海北陸自動車道」を利用して上高地へ来る人は、奥飛騨温泉郷の「あかんだな駐車場」、いっぽう「中央道」「長野自動車道」を利用して上高地を目指す人は、沢渡地区のナショナルパークゲートに近い、「市営第ニ・第三駐車場」にクルマを停めるのが基本になる。
それぞれの駐車料金と詳細は以下の通り。
●奥飛騨温泉郷 あかんだな駐車場
普通車600円(1日)
●沢渡地区 松本市営駐車場
普通車800円(1日)
いずれも入庫した日の24時までが1日の料金で、以降は繰り返し適用となる。
つまり車中泊をする場合は2日分が必要だ。
続いて上高地までのバス料金だが、不思議なことに
普通車の通行料が片道790円の「安房トンネル」を通らない「沢渡地区」から上高地までのシャトルバス料金は、大人片道1,500円・往復割引運賃が2,800円だが、いっぽう「安房トンネル」を通る「あかんだな駐車場」からのバス料金も同じになっている。
ということは、「あかんだな駐車場」からの料金に「安房トンネル」の通行料は反映されていない。
マイカーと違って大人数の乗合バスなので、ひとり当たりに換算すれば、微々たる金額になるのだろうが、これは得した気分になる(笑)。
しかしここまでの話は「普通車」が対象で、沢渡地区では8ナンバー登録されているキャンピングカーには当てはまらない。
沢渡の市営駐車場は、キャンピングカー(8ナンバー)の入庫が不可
1.3.4.5ナンバーにお乗りの方は、興味がなければ下の文字をクリックしてこの項をジャンプし、次に進んでいただいてもかまわない。
あかんだな駐車場は24時間利用可能になって、利便性が大幅に向上
驚いたことに…
筆者が5年ほど離れている間に、沢渡地区の市営駐車場では、キャンピングカーの入庫が禁止されてしまったようだ。
写真は2018年5月のものだが、この時はキャブコンも入庫できたので、この対応は翌年以降なるのだろう。
ちなみに2025年7月現在の「さわんど温泉」の公式サイトには、以下のように記されている。
市営駐車場の駐車スペースは、概ね2.3m×4.8mとなりますのでご注意ください。
市営駐車場では、8ナンバー登録のキャンピングカーは車体の大きさにかかわらず、ご利用いただけません。
また、一般車両であっても車外でのキャンプ行為、車内での炊事などの火気使用は、固くお断りいたします。
全文をご覧になりたい方はこちらで。
こんな感じで、明らかに駐車場スペースからはみ出す大型のキャンピングカーは致し方ないとしても、隣の枠内にすっぽり収まるナローのハイエースはもとより、軽自動車ベースの8ナンバー車までもが一律アウトというのは、かなり荒っぽい仕打ちだ。

出典:上高地オフィシャルウェブサイト
市営駐車場はどこも自動ゲートなので、仮に入庫ができたとしても、特に人気のバスターミナルに近い➂④の駐車場は、係員がモニターで入庫車のチェックをしており、結果として8ナンバー車はすべて入庫が断られるという。
ただし2025年度から、⑤の「市営第四駐車場」のみ、キャンピングカーにも24時間開放されている。
ここは向かいにある「グレンパークさわんど」のトイレが24時間利用できるので、車中泊も可能。また上高地を往復するバスの停留所もそこにある。
そのほかでは、同一料金の民間駐車場「ドライブイン茶嵐」で、8ナンバー車も受け入れてもらえるようだが、いずれも沢渡地区から上高地に向かうシャトルバスが停まる最後のほうの停留所になるだけに、休日の午前中はバスが満席続きで、なかなか乗れない可能性は否定できない。
この状況が続くかぎり、8ナンバー車に乗る筆者は、もう沢渡地区から上高地は目指すことはないだろう。
なぜなら、入れ替わりで奥飛騨温泉郷側の受け入れ体制が良くなったからだ。
あかんだな駐車場は24時間利用可能になって、利便性が大幅に向上
長年にわたる夜間閉鎖で、上高地を目指す車中泊の登山客と旅行者に迷惑をかけ続けてきた「あかんだな駐車場」は、2022年からついに24時間出入庫が可能となった。
おかげで普通車は、深夜に到着しても沢渡地区と同じように、車中泊をすることが可能になっている。
しかしこちらでも、車高2.7メートルまでの入庫車両制限を行っている。
キャブコン・キャンピングカーのスタンダードとも云える、このバンテック社のZilの車高は2.94メートルだ。
つまりここでもキャブコン・キャンピングカーの大半は入庫制限を受ける。
ただし、6時30分になれば入庫はできる。
車中泊が必要な車高2.7メートル以上のキャンピングカーは、面倒だが約11キロ・15分ほど離れた「道の駅 奥飛騨温泉郷上宝」で一夜を過ごし、朝の6時30分を超えてから「あかんだな駐車場」に移動するのが、今のところ思いつくベストな選択肢だ。
車中泊に適しているのは?
どちらも温泉地にあるとはいえ、近くに店が揃っているのは奥飛騨温泉郷になる。
クルマを駐車場に入れて歩いて行くには遠すぎるが、とりわけ21時まで利用できるレストランを併設する、日帰り入浴施設「平湯の森」が近くにあるのは大きい。

出典:平湯の森
これまで平湯温泉にはコンビニがなかったが、2023年には「アルプス街道平湯(平湯バスターミナル)」の中に「ヤマザキYショップ(8時~18時)」が、また2024年には「平湯の森」にもミニコンビニのコーナーが作られ、7時~21時で営業している。
ハイシーズンの上高地で、食事や軽食にありつくのは大変なので、車中泊の人は前日のうちに、朝から来る人は出発前に入手しておくのがお勧めだ。
それを加味すると、今は客観的に見て、奥飛騨温泉郷から上高地にアクセスするほうが便利という結論になる。
なお一部重複するが、筆者がまとめたそれぞれのお勧め駐車場の詳細記事はこちら。