車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、南信州の「分杭峠」にあるパワースポットの「氣場(ゼロ磁場)」の概要と、最新のアクセスルートを紹介しています。
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この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
「ゼロ磁場」がある「分杭峠」は、本当にパワースポットといえるのか?
分杭峠・氣場(ゼロ磁場) DATA
分杭峠・氣場(ゼロ磁場)
〒396-0407
長野県伊那市長谷浦
11月下旬-4月初旬
※凍結のため冬場は完全閉鎖
9時30分~16時
定期バス運行時間内
現地電話なし
問い合わせ先;☎0265-98-3130
伊那市役所 商工観光部 南アルプス課
分杭峠・氣場(ゼロ磁場)の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2015.10.23
筆者が「分杭峠・氣場(ゼロ磁場)」を訪ねたのは2015年10月ですが、この話は2024年8月に、当時は国道152号沿いにまだできていなかった「道の駅 歌舞伎の里大鹿(2018年開業)」の車中泊情報をまとめる際に、近くの観光スポットととして紹介すべく調べ直した結果、2015年当時と大きくアクセス方法が変わっていることに気づいたため、最新の状況に過去から変わらない点を加えてレポートしています。
分杭峠・氣場(ゼロ磁場)

分杭峠とは
「分杭峠」は、「伊那市」と「大鹿村(おおしかむら)」の境に位置する標高1424メートルの峠で、「秋葉街道(現在の国道152号)」が昔から通っている。
「秋葉街道」は日本最大かつ最長の巨大断層地帯である「中央構造線」の真上にあり、2つの地層がぶつかり合っているという理由から、エネルギーが凝縮している「ゼロ磁場」のパワースポットと呼ばれるようになった。
その発端は、1995年(平成7年)に中国政府が公認する著名な気功師の「張志祥」氏により、「ゼロ磁場」の認定を受けたことに始まる。
それが2008年から2009年にテレビ・ラジオ・雑誌等で何度も取り上げられ、観光客が急増した。
ちなみに「分杭峠」の頂上地点と、パワースポットとされる「氣場(ゼロ磁場)」は近くだが、同じ場所ではない。
氣場(ゼロ磁場)へのアクセス
「分杭峠」の「氣場(ゼロ磁場)」は、パワースポットとしての人気の高まりにより、峠付近の路上駐車が多くなってきたことから、渋滞対策と環境保護のため、2010年以降は里に用意された乗り換え駐車場から、「分杭峠」のバス停車場までシャトルバスが運行されるようになっていた。
このルールは現在も変わらないが、2024年から運行されるバスが変わっている。
2024年度からのバスのアクセスルート

出典:伊那経済新聞
2023年までの「分杭峠シャトルバス」から、「分杭気の里ライン」へと名称を新たにし、定時運行の路線バスとして運行が開始されている。
それに伴いバスの発着所は、従来の「粟沢駐車場」から「南アルプス長谷戸台パーク(仙流荘)」へと変更されているのでご注意を。
南アルプス長谷戸台パーク
普通車700台・駐車料金(1台1000円)
運賃
おとな片道750円(往復1500円)
※別途、手回り品料金220円(片道)と、現地で施設利用料金500円が必要。
なお「南アルプス長谷戸台パーク」に最寄りの道の駅は、約7キロ・クルマで10分ほどのところにある「道の駅 南アルプスむら長谷」になる。
同じ国道152号沿いにある「道の駅 歌舞伎の里大鹿」からは、約30キロ・クルマで45分ほどかかるうえに、一度マイカーで「分杭峠」を通り越して、バスでまた戻ることになる。
「道の駅 歌舞伎の里大鹿」で泊まり、翌日「高遠」に行く途中で「分杭峠」に寄るのなら、それもひとつの方法だが、工事中が多発する国道152号を長く走るコースの選択は、あまり賢明とは云えないと思う。
車中泊の旅なら、やはり「分杭峠」は「高遠城」とセットにするのがベターだろう。
分杭峠は、本当にパワースポットといえるのか?
さて。
「分杭峠」のバス発着所から、山道を下ること約3分。
丸太のベンチが作られた、「氣場」と呼ばれる「ゼロ磁場」地点に到着する。
バス発着所からの道は、手すりがあってスロープのようになっているものの、舗装されていない急な坂道になっているので、スニーカーで行くほうがいい。
「氣場」では携帯電話も繋がるようだが、来ている人は静かに「氣」の流れに身を任せているようだ。
さらに山を下っていくと、「水場(裏氣場)」と呼ばれる、より濃密な「氣」が漂っているという場所もあるらしいが、筆者はそこまで行っていない。
その効果のほどは、こちらの口コミサイトにたくさん出ているので、興味があれば参考にどうぞ。
最後にウィキペデアの、筆者が「ごもっとも」と感じた記載を紹介しよう。
【ゼロ磁場(疑似科学)】から一部、転用
当然ながら、こうした考え(パワースポットと呼ぶ考え)は科学的な根拠を欠いており、疑似科学の一つと見なされている。
中央構造線博物館の学芸員を務める河本和朗は「地震が発生していないときの断層は、力学的には周囲の岩盤と同じ」と指摘し、「『断層で岩盤が押し合っている』という考えは地球物理的に誤りである」としている。
そもそも、ここがいいと最初に言い出したのは気功師だ。
「気功」とは簡単に云うと、身体や心、精神のエネルギーを最適化することを目的とした中国の伝統医学療法。
すなわち期待できるのは
「気功」という医学療法をここでやると、さらにその効果が高まるということだ。
それが「磁場」によるものという科学的な根拠の有無以前に、筆者のように特に精神的に病んでもなく、「気功」を知りもしない人間が、ここに来たとて、どうにかなるわけがないのは筋が通っている。
ということは、何も感じないのは「鈍感」なのではなく、健康なる証。
むしろここで何かの改善が感じられるということは、あまり喜ばしいことではないのでは(笑)。
ちなみに江戸時代には、パワースポットは「弥盛地(いやしろち)」と呼ばれ、快適で居心地のよい空間を意味し、神社や仏閣はもちろん、草木が生い茂り動植物が生き生きと暮らす場所を指して呼んだそうだ。
なるほど、驚くほどまっすぐに杉の並木が並ぶ戸隠神社がそう呼ばれるのは納得だが、だとすると「分杭峠」をパワースポットと呼ぶのはちょっと違うように思う。
人は歳を取ると、どうでもいいようなことが気になるものだが、あまりに軽薄な記事は読むに耐えられない。
それに筆者のような人間に来られては、「分杭峠」だって迷惑だろう(笑)。