車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、国指定の重要文化財「千人風呂」がある、諏訪の片倉館を紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊温泉旅行ガイド
この記事は「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、15年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価し、車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる、各温泉地の魅力を紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
諏訪湖の畔にある「片倉館」は、国指定の重要文化財「千人風呂」を持つ、レトロな洋風温泉館
片倉館 DATA
片倉館
〒392-0027
長野県諏訪市湖岸通り4-1-9
☎0266-52-0604
入浴料:大人850円
10時~20時(受付最終19時30分)
第2・4火曜定休
●飲食施設:あり
●駐車場:あり(無料)
●鍵付きロッカー:あり(無料)
●シャンプー・石鹸等:あり(無料)
●ドライヤー:あり(無料)
「片倉館」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2013.09.22
2014.03.06
2021.06.25
※「片倉館」での現地調査は2021年6月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年9月に更新しています。
片倉館と千人風呂のエピソード
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片倉館建設のきっかけ
1928年(昭和3年)に竣工された「片倉館」は、片倉財閥・創業50周年の記念事業として、地域住民に厚生と社交の場を提供することを目的に建てられた。
建設のきっかけは、二代目社長の「片倉兼太郎」が欧米の視察旅行で学んだ先進諸国の進んだ文化福祉施設にあり、帰国後、片倉財閥関係者のみならず、一般市民も利用できる待望のクアハウスが誕生した。
片倉財閥は、世界遺産「富岡製糸場」の立役者
「シルクエンペラー」と呼ばれた「片倉財閥」は、絹製品が日本における輸出総額の約4割を占めていた、大正から昭和の初期に成長を遂げた、日本最大の製糸会社「片倉製糸紡績株式会社(現・片倉工業株式会社)」を母体としている。
その「片倉工業」は、2014年に世界文化遺産に認定された「富岡製糸場」の、最後の民間オーナーでもある。
「富岡製糸場」は日本の製糸業の衰退とともに1987年(昭和62年)に操業を停止したが、その後も建物と機械は「片倉工業株式会社」によって大切に保管され、しいてはそれが世界遺産登録の大きな下支えにつながった。
その「片倉マインド」が、この「片倉館」にも受け継がれている。
諏訪の温泉と云えば、江戸時代に中山道の宿場町として、多くの旅人の疲れを癒してきた「下諏訪温泉」が有名だが、後発ながらその伝統に引けを取らない「由緒」を持つ「片倉館」の存在が、「上諏訪温泉」そのものを支えていると云っても、過言ではあるまい。
なお、2021年の大河ドラマ「青天を衝け」にも登場した「富岡製糸場」については、以下に詳しい話を記しているので、興味があればどうぞ。
こういう話がリンクしないと、普通なら「片倉館」は、ただ大理石でできたレトロでプールのような温泉というだけで終わってしまう。
千人風呂
さて。
「片倉館」の代名詞である「千人風呂」と名付けられた大理石造りの浴槽は、実際に100人ほどが一度に入浴できるほどの広さを持つ。
深さ1.1メートルの底には玉砂利が敷き詰められ、足裏から心地よい刺激を受けながらの湯浴みとなる。
また、ステンドグラスや周囲の彫刻、装飾にも目を向けたい。
ここはまさに「テルマエ」。
「阿部寛」が湯殿の底から飛び出して来て、「上戸彩」が横でひっくり返りそうなその造りは、自然の中の天然温泉とは全く異質の「趣き」だ(笑)。
ちなみに「片倉館」では、実際に映画「テルマエ・ロマエⅡ」のロケが行われているが、使われたのは浴室ではなく2階の休憩室で、ルシウス(阿部寛)が「卓球・ゲームコーナー」に出会うシーンが撮影された。
映画に登場する温泉は、地元組合員専用温泉の「湯小路平湯」。
一応外観だけは見てきたが、ここへ撮影チームが現れた時は、さすがに地元の人達もびっくりしただろうね~(大笑)。
「片倉館」アクセスマップ
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最寄りの車中泊スポット
「片倉館」の前の道路向かいには、「諏訪市湖畔公園」が広がっているが、歩いて行けるところに公衆トイレがあり、その奥が無料の駐車場になっている。
筆者はここで車中泊をして、3度「片倉館」にお邪魔したが、今はもうできない。
いい時代だったな。