車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、木曽路の「馬籠宿」から「奈良川宿」にいたる間の観光と車中泊事情、及びその間にある9件の道の駅の詳細情報を紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
木曽路で「旅の宿」お勧めなのは、4つの道の駅
「木曽路」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2002.01.14
2010.07.21
2013.09.22
2014.09.23
2015.04.12
2015.10.25
2020.11.01
2022.11.22
2024.09.14
※「木曽路」での現地調査は2024年9月が最新です。
木曽路の車中泊事情と道の駅

「木曽路」の概要と理想の旅行宿泊数
まずは「木曽路」について簡単に説明を。
「木曽路」を含む「中山道」は、江戸時代の初期に整備された「五街道」のひとつで、江戸の「日本橋」と京都の「三条大橋」を内陸経路で結ぶ約530キロの間に、69の宿場町が置かれていた。
その「中山道」の中でもっとも難所が多かったのが、南の「馬籠」から北の「贄川(にえかわ)」にいたる「木曽街道」で、近年は「木曽路」と呼ばれている。
かつての『人が歩く木曽路(中山道)』には、上のマップに赤字で記された11の宿場があったが、現代の『クルマが走る木曽路(国道19号)』には、青字で書いた9件の道の駅が存在している。
「馬籠宿」から「贄川宿」までは国道19号で約80キロ、クルマなら2時間もあれば走破できるので、その気になれば観光をワンデイで済ませることは可能だろう。
ただ「木曽路」は、「御嶽山」と「開田高原」を含めると、旅のコンテンツは驚くほど充実している。
ゆえに筆者は3泊4日を勧めており、そのための詳しいガイドも用意している。
当サイトの道の駅情報の特徴
道中に9件もの道の駅が点在しているのだから、仮に3泊するにしても、基本的に「木曽路」の車中泊スポットが道の駅で十分なのは確かな話だ。
ゆえに『どの道の駅で、車中泊をするのがいいものか…』と、ネットで「道の駅◯◯ 車中泊」と検索し、その情報を求める人は多いと思う。
しかし本来は、まず先に「木曽路」の見どころを確認し、それからどの道の駅を「旅の宿」にすべきかを絞り込むのがセオリーで、車中泊スポットとしての好適性はその次の話になる。
ということは、旅を車中泊という宿泊手段を使って楽しんでいる人にとって、本当に役に立つといえる道の駅の情報は、このセオリーに基づき、地道に周辺に足を運び、愚直なまでに汗をかく作業をした人からしか生まれない。
それは、これまで10冊以上の車中泊関連書籍を執筆してきた筆者の信念で、道の駅の記事には必ず「ロケーション」として、周辺の観光情報を盛り込んでいる。
Googleの上位にランクされている、他者の道の駅の車中泊情報サイトとの1番大きな違いはそこだろう。
ちなみに「木曽路」の道の駅で、その特徴がもっとも顕著に出ているのがこの記事。
時間があれば、参考までに目を通していただけると幸いだ。
「木曽路」の観光エリアとエリア内の道の駅お勧めNo,1
冒頭で『「木曽路」では3泊4日での観光を勧めている』と書いたように、ここは大きく4つの観光エリアに分けられる。
そこでさきほどの「セオリー」に基づき、観光エリアとそこにリンクするお勧めの道の駅を紹介していこう。
観光エリア❶
馬籠宿&妻籠宿
岐阜・愛知方面から「木曽路」に向かう場合の”玄関”となるのが、このエリアだ。
いずれも「宿場町」だった当時の風情は残されているが、ここでのお勧めは両者を結ぶ旧中山道を整備した「中山道自然歩道」のハイキングだろう。
当サイトでは、「馬籠宿」「妻籠宿」そして「中山道自然歩道」を、体力と時間のロスを最小限に食い止めて散策するためのアドバイスも用意しているので、行かれる方にはぜひ参考にしていただきたい。
いっぽう車中泊地となる道の駅は2つあるが、その後塩尻方面に向かって「木曽路」の旅を続けるという前提に立てば、飲食物の調達がしやすい「道の駅 きりら坂下」がお勧めだと思う。

観光エリア❷
御嶽山&開田高原
「御嶽山」と「開田高原」は、いわゆる「木曽路」と呼ばれる国道19号から、岐阜県側に少し外れた場所にある。
四方八方を山に囲まれ、日本百名山のうちの29座を持つ長野県だけに、県外からの旅行者にとっては、コースを曲げてまで行く価値があるのかどうか…
正直なところ悩ましいエリアだが、ここは同じ山の近くでも、安曇野・大町・白馬がある「北アルプス山麓」とは、明らかに異質の景観を有している。
車中泊地については、南から来て❶を見た後に車中泊をする場合は、隣接する木曽町御嶽山ビジターセンター「さとテラス三岳」で、翌日の観光の予習ができる「道の駅 三岳」になる。
また逆に❶で車中泊をした後で、このエリアをまわる場合は、次の「福島宿」との抱き合わせができる「道の駅 日義木曽駒高原」のほうがいいだろう。
観光エリア❸
福島宿
「木曽路」のほぼ中間地点に位置する「福島宿」には、「馬籠宿」「妻籠宿」や「奈良井宿」のような宿場町らしさが残る場所はほとんどなく、一般観光客には疎遠のようだが、逆にここには他にはないオンリーワンの見どころがある。
それは「関所」と「代官所」の跡だ。
また福島は、平安時代末の風雲児となった「木曽義仲」の出身地でもある。
なお車中泊については❷で説明した「道の駅 日義木曽駒高原」が最適だ。
ただこのエリアには、無料でキャンプができることから、キャンパーに絶大なる人気を誇る「木曽駒冷水公園」があるので、番外編としてあわせて紹介をしておこう。
観光エリア❹
奈良井宿
「木曽路」の塩尻に近い北側にある「奈良井宿」は、特に東海以西の旅人には「馬籠宿」「妻籠宿」、に比べると知名度が低いかもしれない。
だが国の重要伝統的建造物群保存地区に指定された古い町屋が、約1キロにわたって続く”日本最長の宿場町”の景色は壮観だ。
難所の鳥居峠が控えていることから、江戸時代には多くの旅人で賑わい、「奈良井千軒」と呼ばれていたのも頷ける。
もちろん現在の「奈良井宿」は、往時のイメージを損なわないよう配慮された、観光ストリートとして整備されており、食事や買い物も楽しめる。
なお、「奈良井宿」の観光アドバイスは「道の駅 奈良井 木曽の大橋」の記事に収録しているが、以下はその項に直接リンクしてある。
ただ車中泊に関しては、旅行者には「奈良井宿」まで歩いて行ける「道の駅 奈良井 木曽の大橋」よりも、信州でもっとも施設が充実している道の駅のひとつに挙げられる「道の駅 木曽ならかわ」のほうが魅力的だと思う。
「木曽路」の道の駅 一覧
原則として筆者は、何らかの理由で「旅の宿」としての適性が感じられる道の駅だけをセレクトして、個別の詳細記事を作成している。
「木曽路」においては、9件中7件がそれに該当しているのだが、「道の駅 大桑」と「道の駅 木曽川源流の里きそむら」は、車中泊をする理由が見当たらず、個別の記事は用意していない。
そのため、最後に申し訳程度の概要のみを掲載しておくことにした。
木曽路の道の駅一覧(北→南)
道の駅 木曽川源流の里きそむら
2010年8月にオープンした「道の駅 木曽川源流の里きそむら」は、「道の駅 奈良井木曽の大橋」と「道の駅日義木曽駒高原」の間にある道の駅。
伊那・駒ヶ根方面と木曽を結ぶ「権兵衛トンネル」から近いのはいいが、近隣の道の駅とは管轄している市町村が違うだけで、わずか18キロの間に4件もの道の駅を作ること自体が、常識を逸脱している。
そのうえ特に目立つ独自性があるわけでもなく、旅人があえて利用する価値があるようには思わなかった。
〒399-6201
長野県木曽郡木祖村大字薮原163番地1
☎0264-36-1050
営業時間
9時~17時
食堂は10時~LO16時
グリーンシーズンは無休
12月~4月は木曜定休
普通車40台
道の駅 大桑
国道19号の「馬籠宿」と「福島宿」の中間に位置する「道の駅 大桑」は、1993年4月に登録された「日本で最初の道の駅」のひとつだ。
駐車場は概ねフラットで、物販飲食施設も充実しており、特に20時まで食事ができるのはありがたい。
筆者もここで車中泊をしたことはあるが、「旅の宿」として見た場合、利用価値は福島宿周辺の道の駅より劣る。
〒399-5504
長野県木曽郡大桑村大字野尻160-27
☎0264-55-4192
営業時間
売店 9時~18時
レストラン11時30分~20時
(LO19時30分)
木曜定休
普通車75台