車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「道の駅 マルメロの駅ながと」の車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
日帰り温泉とコンビニが併設する「道の駅 マルメロの駅ながと」は、美ヶ原観光時の車中泊地にお勧め。
道の駅 マルメロの駅ながと DATA
道の駅 マルメロの駅ながと
〒386-0603
長野県小県郡長和町古町2424-19
☎0268-75-8735
営業時間
9時30分~17時30分
5月~11月は無休
標高 633メートル
「道の駅 マルメロの駅ながと」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第13回
登録日/1997年10月22日
※2020年6月にリニューアル
「道の駅 マルメロの駅ながと」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2012.09.15
2015.03.15
2016.07.17
2021.03.11
2021.06.26
2022.06.21
2024.07.22
※「道の駅 マルメロの駅ながと」での現地調査は2024年7月が最新です。
道の駅 マルメロの駅ながと

「道の駅 マルメロの駅ながと」のロケーション
「道の駅 マルメロの駅ながと」は、ビーナスラインの頂点に近い人気スポット「美ヶ原高原」から、約26キロのところにある国道152号の道の駅。
日本百名山に名を連ねる標高2034メートルの主峰「王ヶ頭」が、その中心に鎮座する「美ヶ原高原」は、長野県松本市・上田市・長和町にまたがる日本一広い高原大地で、周囲に視界をさえぎるものはない。
そのため北アルプス、南アルプスの連山はもちろん、独立峰の富士山や御嶽山を合わせると、日本百名山のうちの実に40座以上を見渡すことができる。
「美ヶ原高原」のすぐ近くには道の駅があり、特に夏は避暑を目的にやってくる長期滞在の車中泊利用者が増え、一時期「車中泊禁止」の情報が流れたが、実際は筆者のように「旅の宿」として利用する旅行者の車中泊は容認している。
とはいえ、
公園化された美術館の一画にあってクルマの出入りが激しく、温泉や買い物施設から遠く離れているため、人が云うほど「旅の宿」には適していない。
そのため筆者は昔から車中泊の旅人には、この「道の駅 マルメロの駅ながと」での車中泊を勧めてきた。
ちなみに駅名に使われている「マルメロ」はポルトガル語で、中央アジア原産の日本で云う「カリン」に近い果実を意味する。

出典:日本気象協会
古代ギリシアでは、その実を手にした「ヴィーナス」が描かれており、「マルメロ」は愛情や幸福の象徴にされてきた。

出典:長和町観光協会
それが理由なのか、寒さに強いことから特産品にしようとしたのか、単に景観をよくするために植えられたのか… そこまでは調べられなかったが、
道の駅周辺の国道152号には、その「マルメロ」の木が約3キロにわたって植樹され、別名「マルメロ街道」と呼ばれてきた。
ゆえにそのことが、道の駅に名前が刻まれる由来になったと聞く。
また2023年には、同じ長和町のさらに近い約15キロほどの場所に、やはり日帰り温泉が近くにある「道の駅 和田宿ステーション」が開業し、今はそちらでも同じように快適な車中泊ができるようになっている。
さて。
「道の駅 マルメロの駅ながと」がある、長和町の魅力と云えばゲレンデだろう。
といっても、それは八方尾根のようなダイナミックなコースではなく、高い晴天率とパウダースノーにある。
このあたりは吹雪になることが少ないため、筆者も広瀬香美の名曲「ゲレンデが溶けるほど恋したい」が、リアルタイムでラジオから流れていた時代に、何度か子どもたちを連れて、エコーバレーに足を運んでいる(笑)。
標高2000メートル近い「美ヶ原」に比べると、長和町の標高は600メートルほどと低く感じるが、それでも冬は雪がたっぷり積もるので、当然夏も涼しい。
また長和町は普通のそばの120倍以上のルチンを含み、通常は「そば茶」の原料として使われる「韃靼(だったん)そば」の特産地としても有名だ。
近くには「韃靼そば」が食せる、信州でも希少な店がある。
「道の駅 マルメロの駅ながと」の施設
こちらが2020年にリニューアルを受けた、「道の駅 マルメロの駅ながと」のレイアウト図だ。
駐車場は収容台数48台と手狭だが、AとBの2ヶ所に分かれているので、大型トラックを避けて車中泊ができる。
マップのA。
ここは24時間トイレに近いが、すぐうしろにトラッククレーンがある。また傾斜もあるので、24時間トイレに近い場所は騒音とダブルで気になるかもしれない。
24時間トイレの建物は独立している。
もちろん中は改修され、ウォシュレットに代わっている。
24時間トイレの並びにあるのは、2020年にリニューアルされた観光協会と情報室。
ただし休憩スペースは用意されていない。
いっぽうこちらはマップのBで、日帰り温泉に近く、路面も総じて平坦なうえに、普通車専用になっている。
そんなわけで、車中泊には静かなこちらのほうが好適だが、24時間トイレまで遠いのが唯一と云える難点だろう。
以前からあるおみやげ処「菜の花館」では、前述した地元のブランド商品「信濃霧山ダッタンそば」が手に入る。
また長野の名物「おやき」もふんだんに揃っており、店内でも温めて食べられる。
その隣には足湯もある。
続いて食事処だが、リニューアル後もメニュー豊富でボリュームのある「かりん亭」は健在だった。
うな丼1580円、オージービーフ・ステーキセット150グラム1480円、黒豚かつどん1380円、唐揚げ御膳950円…
こういう店があると、ライダーや若い旅人は喜ぶだろうね。
さらに敷地の一画には、24時間営業のローソンがある。
さて。
2020年6月にリニューアルを受けた「道の駅 マルメロの駅ながと」の目玉は、何と云っても新設された農産物・特産物の直売所「マルシェ黒耀(こくよう)」だろう。
「マルシェ黒耀」は、もはや道の駅の域を超えた「ハイセンスな売り場」で、農産物のみならず精肉などの生鮮食品もしっかり品揃えされている。
さらに、こんなインテリア雑貨のコーナーまであって、見て回るだけでも楽しい。
また観光客には、このように値頃で、友人や同僚に気楽に配りやすいような土産品まで揃えてある。
ここで気になるのは、「マルシェ黒耀」という店名だ。
「黒曜石」は黒や茶色の光沢を持つ火山岩の一種で、アクセサリーなどによく利用されているが、長野県和田峠周辺は「知る人ぞ知る」その古代からの特産地だった。
認知を広めるべく、長和町は文化庁が推進する「日本遺産」の構成要素に加えられ、おそらくその絡みを含めてどこぞから予算が降り、かくも立派な直売所ができたに違いないと思うのだが、
店名にまでしておいて、ここにその「黒曜石」を語る「日本遺産」の説明がまったくないことには、さすがに違和感が残った。
うえの写真は「道の駅和田宿ステーション」で撮影したものだが、実は筆者もそこで、この日本遺産のことを初めて知った。
考えてみれば冒頭の「マルメロ」もそうだが、この道の駅はネーミングに登場するキーワードに関する説明が見当たらない。
そこで公式サイトを見てみたら、なんとそこには由来どころか、「マルシェ黒耀」のことしか記されていなかった(笑)。
ネーミングの件もそうだが、2020年以降は少し道の駅全体のイメージというか空気感が違ってきたようにも思える。
道の駅を何度もリピートしていると、現場が醸す空気感にも敏感になるものだ。
そこで指定管理者のことも調べてみると、案の定「道の駅 マルメロの駅ながと」の指定管理者は、2020年の「マルシェ黒耀」の出店を機に、「株式会社マルメロエイト」に変わっていた。
2019年10月に創業された「株式会社マルメロエイト」は、㈲タツケン、㈱竹内農産、㈱長門牧場、㈲鷹山ファミリー牧場、㈱日本ウォルナット、㈱中原樹脂工業、斎藤木材工業㈱、信州うえだ農業協同組合の8社で組織されており、代表取締役は㈲タツケンの竹内達也社長とのこと。
見たところ、過去に流通業サービス業に携わったような形跡は見受けられない。
筆者はそこに、「道の駅 マルメロの駅ながと」の危うさを感じている。
店舗の売上げはコンサルティング会社と継続して契約すれば、この先もどうにかなっていくのだろうが、問題は売上や利益に直接関係しない「道の駅」本来の運営面だ。
たとえば、これはローソンの都合かもしれないのだが、2022年までは店外に置かれていた可燃物のゴミ箱が、2024年には店内に引っ込められている。
利益に直結する人件費を抑える視点に立てば、可燃物のゴミ箱の撤去は実に有効な手段で、経営に重きを置く責任者ほどやりたがるわけだが、以前は分かっていてもあえてそうはしなかった。
そもそも長野県自体が「道の駅」のありように関する意識が低く、例えば隣の群馬県にある「道の駅川場田園プラザ」のように、車中泊の旅人も100%に近い満足が得られるところは、県内に50件以上の道の駅がある中で、唯一「道の駅信州蔦木宿」くらいしか思いつかない。
これまでの「道の駅 マルメロの駅ながと」は、それに近い位置にあった。
道の駅が指定管理者次第であることは、既に多くの事例が証明しており、筆者が「こりゃダメだな」と感じたいくつかの道の駅では、交代劇も起きている。
その発端はどこも、立場をわきまえない「ホームページ」にあった。
「公式サイト」の趣旨を制作業者がどうこうすることなどできるはずがなく、そこには間違いなく責任者の意思が現れる。
ライターが道の駅の駐車台数を書くだけでもコストは発生するわけで、それをも削減してしまうのが「デキる経営者」でもあるわけだ(笑)。
ちなみにここは、南信州にあるこの道の駅とよく似てきた。
幸いなことに、
昔ながらの雰囲気を持つ「道の駅和田宿ステーション」が近所にできたので、我々は居心地が悪くなればそちらに行けばいいだけの話だが、これはちょっと野次馬的に興味深い話。
果たして「道の駅 マルメロの駅ながと」は、これからはどうなっていくのだろう。
「道の駅 マルメロの駅ながと」の車中泊好適度
「道の駅 マルメロの駅ながと」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:ローソンの店外にあり、24時間利用可能。
缶・ビン・ペットボトル:同上
というのは2022年までの話になる。
この環境で外に出してくれているということは、たぶんFCなのだろう。
良識ある車中泊の旅人なら、ゴミの処分と引き換えに缶コーヒーの1つでも買うと思うが、1枚あたりにすればタダ同然の地域指定ゴミ袋を「いい値」で売られるより、こうして24時間ゴミを文句も云わずに引き取ってくれるコンビニを作るほうが、考えようによっては合理的で、資本主義にマッチしている。
そこまで考えての措置なら、この道の駅の責任者はただもんじゃないね!(笑)。
だが2024年の今はもう、ただもんじゃないこの道の駅の責任者はいなくなって、ゴミ箱はすべて店内に収納されている。
そもそも、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 マルメロの駅ながと」の温泉&買い物施設
長門温泉 やすらぎの湯
道の駅に併設。
☎0268-68-2601
大人500円
10時~21時30分(受付最終21時)・火曜定休
コンビニ
24時間営業のローソンが敷地の中にある。
スーパーマーケット
「ツルヤ 立科店」まで約8キロ。
「道の駅 マルメロの駅ながと」のアクセスマップ
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