車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「道の駅 和田宿ステーション」の車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
2023年に開業した「道の駅 和田宿ステーション」は、もともとあった農産物直売所をリニューアルして登録した、どこか懐かしい匂いのする道の駅
道の駅 和田宿ステーション DATA
道の駅 和田宿ステーション
〒386-0701
長野県小県郡長和町和田2834-5
☎0268-88-0008
営業時間
4月~10月:8時~17時
※8月13日・16日 8時~13時
11月~3月:8時30分~16時30分
月曜定休
※ただし12月~7月は第2月曜のみ
標高820メートル
「道の駅 和田宿ステーション」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第58回
登録日/2023年2月28日
「道の駅 和田宿ステーション」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2024.07.24
※「道の駅 和田宿ステーション」での現地調査は2024年7月が最新です。
道の駅 和田宿ステーション
「道の駅 和田宿ステーション」の
最寄りの温泉&周辺買い物施設

「道の駅 和田宿ステーション」のロケーション
2023年9月にオープンした「道の駅 和田宿ステーション」は、途中でビーナスラインと交差する国道142号沿いにある道の駅で、「美ヶ原高原」から約15キロ、クルマで25分ほどのところにある。
「美ヶ原」と「道の駅 美ヶ原高原」の紹介は、こちらの記事をご覧いただきたいのだが、結論から云うと、「道の駅 美ヶ原高原」は立ち寄るにはおもしろいが、涼しさが得られる点を除けば、「旅の宿」として利用するメリットは感じない。
そのため筆者は「道の駅 和田宿ステーション」か「道の駅 マルメロの駅ながと」での車中泊を勧めている。
かつては約26キロのところにある「道の駅 マルメロの駅ながと」が最寄りだったが、新設された「道の駅 和田宿ステーション」は、それを10キロ近く短縮する場所にできている。
いっぽう国道142号は「諏訪」と「軽井沢」を結ぶ山越えの幹線道路で、2022年に和田峠を貫く有料の「新和田トンネル」が無料化され、利用者の増加が見込まれているようだ。
ちなみに「諏訪大社・下社春宮」から「道の駅 和田宿ステーション」までは、約22キロ・25分、また「道の駅 和田宿ステーション」から軽井沢の「旧軽銀座」までは、約53キロ・1時間15分ほどになる。
とはいえ、
さすがに観光客がこのルートで「諏訪」から「軽井沢」を目指すことは稀だろう。

出典:みんカラ
しかしリピーターなら、ビーナスラインの「霧ヶ峰」を超えた先の「落合交差点」で、ワインディングがきつくなる「美ヶ原」には向かわず、国道142号で「道の駅 和田宿ステーション」を目指すほうが断然ラクでいい。
筆者は「ビーナスライン」のベストビュースポットは、「白樺湖」から「霧の駅」までの区間だと思っていて、特に落合から先はハイエースでも毎回きつく、できれば「美ヶ原」を避けて通りたい。
さて。
ここからは筆者の勝手な推測による「やじうま的な余談」なので、パスして次に進んでいただいてもかまわない。
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客観的に考えれば、『こんな片田舎の町で、たった10キロ・クルマで10分足らずの場所に、なにゆえ2件も道の駅が必要なのか?』と感じるのが普通だ。
たとえ該当地域の住民でなくても、道の駅には様々な名目で国土交通省から補助金が出ており、民間の店舗とは違って、数があればあるほどいいわけではない。
実は「道の駅 和田宿ステーション」の前身は、1995年に整備された「和田宿青空市場組合」が営む「特産物直売所」だった。
当時は「特産品直売所」が全国的にも珍しく、県内外から新鮮な野菜・山菜類・各種の花などを求める客が訪れ、買うのに行列ができるほど混み合っていたという。
同じ長和町に「道の駅 マルメロの駅ながと」がオープンしたのは1997年だが、当初は気を使っていたのか、直売所はご覧のようなお飾り程度のものだった。
しかし2020年に「道の駅 マルメロの駅ながと」の構内に、大規模でハイセンスな農産物直売所の「マルシェ黒曜」がオープンし、状況は一変する。
右側の24時間トイレは変わっていないので、それと比較してみればどれだけ拡大されたかがよく分かるはずだ。
この時同時に「道の駅 マルメロの駅ながと」の指定管理者も変更となったが、新たな指定管理者の軸足は「道の駅の管理」より、「ビジネス」にあるように感じる。
この強力なライバル店の出現で、「和田宿ステーション」は想像していたより、大幅に業績が落ち込んだに違いない。
もっとも、本気で東京のコンサルティング会社が直売所を手掛ければ、素人同然の地元組合の直売所など、一瞬でふっとばされるのは当然だ。
伊豆半島を筆頭に、全国各地の成功例を数えあげたらキリがなく、既にノウハウは確立されている。
こうなることを、町が予見できていたかどうかまでは分からない。
ただ、組合から突き上げを食らって困った長和町が、その打開策としてあれこれ理由をつけて、県と国に泣きつき、なんとか「道の駅」化に漕ぎ着けたというのが、『当たらずとも遠からず』な登録の真相ではないかと思えなくもない。
民間では大型スーパーマーケット同士が激突して、マーケットを奪い合うのは珍しいことではないし、地元の商店街を守るために制定されていた「大規模小売店舗法」はとうの昔に廃案となり、今は自由競争に等しくなっている。
それから云えば、「道の駅 マルメロの駅ながと」に否があるわけではない。
とはいえ、
温泉と直売所は互角に戦えたとしても、値頃でボリューム感のある食堂に、観光案内所、さらにコンビニまで揃えた「道の駅 マルメロの駅ながと」は、誰が見ても魅力的で手強いのは確かだろう。
そんなガリバーともいえる「道の駅 マルメロの駅ながと」に対して、「道の駅 和田宿ステーション」が今後、どう立ち向かっていくのか…
熱のあるうちに、誰もが納得のいく「切り口」を見いだせなければ、未来は厳しい。
ただ筆者は、「道の駅 和田宿ステーション」に「地元愛」を感じた。
「黒曜石」の特産地である長和町は「日本遺産」の構成要素になっているのだが、実は筆者はここで初めて、この日本遺産のことを知った。
これは今の商売しか眼中にない「道の駅 マルメロの駅ながと」にはない、「ささやかなスキ」かもしれない。
日本政府は『「道の駅」は、道路利用者に安全で快適な道路交通環境を提供することや、地域振興の場となることを目的に一般道に設けられる休憩施設のこと』と明言している。
「道の駅 和田宿ステーション」の施設
「道の駅 和田宿ステーション」は、冒頭にも書いたように、まさに20世紀に作られた道の駅のような感じで、典型的なボックス型のレイアウトになっている。
駐車場は全体的にフラットで、大型車の区画も端に設けられており、車中泊はしやすいと思う。ただ国道142号は通行量の多い道なので、できるだけ駅舎前を選ぶほうが静かだろう。
24時間トイレは駅舎の中に作られており、中はピカピカのウォシュレットだ。
野菜直売コーナーは長年実績があるだけに、地元の人たちは朝のうちに買っていくのかもしれないが、訪ねたのが11時半過ぎにしては、ちょっと寂しい内容だ。
正直、これでは県外からの客は間違いなく「道の駅 マルメロの駅ながと」に流れてしまうだろう。
ただ裏返せば、旅人は新鮮野菜をさして求めてはいない。
むしろこういう都会では売っていなくて、日持ちのする商品のほうがいい。
いっぽう、意外にも充実していたのは特産品のコーナーだった。
アクセスの上では、「諏訪」からも「美ヶ原」からも「道の駅 マルメロの駅ながと」より先にこちらを通るので、長和町らしい素朴な商品を街から来る人に見せるのは効果的だと思った。
最後は食堂だが、こういう看板をつけてしまうと、メニューを見る前にイメージが先行するので、どうかと思う。
実際のメニューは、いたってポピュラーでリーズナブルなのだから、それをストレートにPRしてくれたほうが、地元の人も旅人も安心で親近感が湧くのでは。
総じて、ここは「道の駅 マルメロの駅ながと」の真逆をやればいい。
相手が都会的センスで若い客層を狙うのなら、昭和・田舎・アットホームを軸に、おっちゃん・おばちゃんを喜ばせればいい(笑)。どっちが使おうと、1000円札に変わりはない。
施設が刷新されて車中泊環境としては問題がないので、後は何がセールスポイントなのかが鮮明になれば、『こじんまりしていて空いているこちらがいい』という人は増えるはずだ。
「道の駅 和田宿ステーション」には、ゴミ箱だってちゃんと屋外に置いてある。
そういう手を抜かない「真面目さ」「誠実さ」を、僕らは道の駅に求めている。
「道の駅 和田宿ステーション」の車中泊好適度
「道の駅 和田宿ステーション」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:館外にあって24時間利用可能
缶・ビン・ペットボトル:同上
かつては「道の駅マルメロの駅ながと」のローソン前にも置かれていたが、現在は店内に移動しており、可燃ゴミはここでしか処分できない。
なお本来、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 和田宿ステーション」 最寄りの温泉&周辺買物施設
和田宿温泉 ふれあいの湯
道の駅から約650メートル・徒歩10分
☎0268-88-0001
おとな600円
営業時間:10時~21時(受付最終20時30分)
月曜定休
コンビニ
セブンイレブンまで約6キロ。
スーパーマーケット
「ツルヤ立科店」まで約15キロ。
「道の駅 和田宿ステーション」のアクセスマップ
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