車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、紅葉シーズンに裏磐梯の五色沼を車中泊で訪ねたい人に向けてまとめた実用性の高いガイドです。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
~ここから本編が始まります。~
裏磐梯の「玄関」、五色沼。
筆者の五色沼の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.07.23
2010.08.24
2011.10.28
2012.10.16
2024.10.13
「五色沼」の現地調査は2024年10月が直近です。
車中泊で行く、秋の裏磐梯・五色沼ハイキング

五色沼とは
まず、「五色沼」はひとつの沼の呼称ではなく、複数の沼が点在する地域の名称で、水質や植物により、赤・青・緑などの色彩を放つ沼が点在することに由来している。
その「五色沼」のひとつである「毘沙門(びしゃもん)沼」から「磐梯山(ばんだいさん)」を展望すると、山頂部が大きく崩落しているのがよくわかる。
それは1888年に発生した水蒸気爆発によるもので、火砕流が川をせき止め、このあたりには「桧原湖」「秋元湖」「小野川湖」を筆頭に、数百に及ぶ湖沼が形成された。
その後数十年間にわたって、「裏磐梯」は荒涼とした原野のままだったが、『裏磐梯緑化の父』と呼ばれる「遠藤現夢」が、私財を注いで植林を行い、現在の姿に生まれ変わった。
五色沼自然探勝路
「五色沼自然探勝路」は、「毘沙門沼」から「柳沼」にいたる全長3.6キロ、所要時間約70分のハイキングコースになっている。
クルマは「毘沙門沼」か「柳沼」のどちらかに近い無料駐車場に置き、帰りは路線バス(会津バス)で取りに戻るといい。
ちなみに写真は、2012年当時に運行していた「桧原湖周遊レトロバス」で、家庭や宿泊施設から回収した天ぷら油を、リサイクル燃料にして走っていた。
読者の中には懐かしい人がいるかも知れないが、現在は引退して役場の車庫でおとなしく余生を送っているそうだ。
なお筆者は「毘沙門沼」に近い、この「裏磐梯ビジターセンター」前の駐車場にクルマを停め、事前に少し予習をしてから出発することをお勧めしている。
どの観光地でもそうだが、事前知識があるとないとでは、見どころや見方が変わる。
それを自宅で調べて行くのは面倒でも、こうして直前に得られるのなら利用する価値は大いにある。
しかも得られるのは紛れもなく”最新情報”で、紅葉の進み具合もわかるはずだ。
ただし、「裏磐梯ビジターセンター」は2023年10月から大規模な改修工事に入っており、リニューアルオープンは2025年4月頃の予定となっている。
駐車場の詳細には後ほど詳しく触れるとして、ここからは「五色沼自然探勝路」の様子を紹介していくことにしよう。
「五色沼自然探勝路」は高低差がほとんどないので、息が上がることはないと思うが、途中にはトイレも売店もないので、飲み物は持参して行くほうがいい。
また道中にはデコボコした箇所が多いので、最低でもスニーカー、くじいたりするリスクを避けて安全を期すなら、トレッキングシューズの使用が望ましい。
「五色沼自然探勝路」の途中には、ところどころにベンチが置かれているので、お弁当を広げることも可能だ。
ただし、ゴミを放置するとやばいことになりかねない。
クマに関しては、人が多い時間帯はそう心配はないと思うが、静かな早朝や黄昏時に散策したい人は、こういうBear BELLを用意して出かけよう。
もし買いに行く時間がない場合は、「道の駅 ばんだい」のモンベルに売っている。
ちなみに、「五色沼」で紅葉が美しいのは「柳沼」の周辺だ。
五色沼の駐車場と車中泊事情
前述したとおり、「五色沼自然探勝路」には「毘沙門沼」と「柳沼」の、それぞれ近くに無料の駐車場がある。
毘沙門沼側の駐車場
無料駐車場は上のマップの3ヶ所だ。
❶裏磐梯ビジターセンター前駐車場
一番分かりやすいのは、「裏磐梯ビジターセンター」前の駐車場だろう。
「裏磐梯ビジターセンター」前の駐車場は、正確に云うと「五色沼東園地」の駐車場で、奥には24時間利用できるトイレがあって車中泊が可能だ。
朝一番から「五色沼」のハイキングに出かけたい人には、ここがベストといえる車中泊地になるだろう。
❷五色沼入口駐車場
「裏磐梯ビジターセンター」前の駐車場のすぐ隣りにある。
ただし奥に見える「五色沼入口観光プラザ(裏磐梯観光協会)」のトイレは夜間閉鎖されるので、車中泊には適さない。
❸五色沼駐車場
「毘沙門沼」の畔にあるので「五色沼自然探勝路」へはもっとも近い。
敷地には食堂と土産屋も揃っている。
そのため日帰り利用にはお勧めだが、やはりトイレが夜間閉鎖されるため、車中泊には適さない。
なお「裏磐梯ビジターセンター」とは遊歩道でつながっており、ここに停めても歩いて行くことはできる。
柳沼側の駐車場
わかりやすいのは、「柳沼」のすぐ近くにある「裏磐梯物産館」の駐車場だ。
お土産を買わなくてもクルマは無料で停めさせてくれるが、トイレは館内にあるため、車中泊には適さない。
「柳沼」側からスタートしたいのなら、「裏磐梯物産館」から200メートルほどのところにある「桧原湖第一駐車場」がお勧めだ。
ここは24時間使える公衆トイレがあって、車中泊もできる。
五色沼へのアクセスルート
五色沼へのアクセスルートは2つあるが、それは「裏磐梯」をピンポイントで周るのか、「会津若松」から「米沢」に向けて進む途中で立ち寄るのか、旅の目的に応じて選べばいいと思う。
磐梯山ゴールドライン・ルート
「磐梯山ゴールドライン」は、猪苗代湖に近い「道の駅ばんだい」の横から「桧原湖」に向かって、「磐梯山」の西側中腹を縫うように走る全長約18キロの観光道路。
かつては有料だったが2013年に無料開放されており、日程に余裕がない人は、高速道路から近いこの道を利用するといい。
オーソドックスなのは、前日に猪苗代まで来て「道の駅ばんだい」で車中泊し、翌日の朝から「五色沼」に向かって出発する作戦だろう。
喜多方・ルート
「裏磐梯」の自然だけでなく、文化や特産品にも触れて帰りたい人には、「会津若松」から「喜多方」経由がお勧めだ。
「喜多方」市内には昔ながらの白壁土蔵と、有名な「喜多方ラーメン」の店が軒を並べており、それらを訪ねてまわるのは自然散策と趣きが違ってまた楽しい。
なお「喜多方」には温泉併設の「道の駅 喜多の郷」があるので、「猪苗代」と「裏磐梯」より車中泊に適している。