「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、15年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価し、車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる、各温泉地の魅力を紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
遠刈田温泉は蔵王の御釜に近くて、車中泊環境が揃った居心地のいい温泉地。
「遠刈田温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2013.08.19
2017.10.11
※「遠刈田温泉」での現地調査は2017年10月が直近で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年11月に作成しています。
遠刈田温泉の概要と車中泊事情
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遠刈田温泉のロケーション
古くは「湯刈田(とうがった)」を地名としていたことから、「とおがった」あるいは「とうがった」とも読む「遠刈⽥温泉」は、宮城県南西部に広がる「蔵王連峰」の大自然に囲まれた高原地帯にある。
江戸時代から、「御釜」を見下ろす「刈田岳」山頂に鎮座する、「蔵王権現(刈田嶺神社 奥宮)」への信仰登山の宿場町、あるいは足腰の病気に対する「湯治場」として賑わってきた。
ちなみに、
同じく「仙台市街」から1時間以内のところに、「秋保(あきう)温泉」がある。
同じ江戸時代に、仙台藩主「伊達家」御用達の温泉場として栄え、今も『仙台の奥座敷』として高い人気を誇っている。
団体様御一行を受け入れられる、大きな旅館やホテルが立ち並ぶ様子は、「遠刈⽥温泉」とはまさに好対照。
車中泊の旅人にとって、『どちらの居心地がいいか』は云うまでもないが(笑)、それほど温泉が好きというわけではない人も、南東北を車中泊でめぐるつもりなら、「遠刈⽥温泉」には着目すべきだと思う。
「仙台中心街」まで国道で約40キロ・1時間、さらに春から秋の蔵王のシンボルとされる「御釜」まで約16キロ・40分。
つまり「仙台」から東北を横断して山形県と行き来するコースを辿るなら、車中泊がしやすい「遠刈田温泉」は、『都合の良いクルマ旅の宿場』になる。
なお、「御釜」がどういうところかご存知ない方は、こちらをどうぞ。
遠刈田温泉の共同湯
開湯から400年余りの歴史を持つと云われる「遠刈⽥温泉」には、温泉街の中心に「神の湯」と「壽の湯(ことぶきのゆ)」の2つの共同浴場がある。
いずれも源泉は同じで、 泉質はナトリウム・カルシウム・硫酸塩・塩化物泉でph7.0の中性、褐色で濁りなく無味無臭。
ただし68度と高温のため加水。そのため男湯と女湯それぞれに、熱めとぬるめの2つの湯舟が用意されている。
紹介サイトによっては、「源泉かけ流し」と書いているものもあるが、設置者の「遠刈田温泉株式会社」の公式サイトは「加水」と明記している。
神の湯
2006年にオープンした新しい浴場で、外には足湯が併設されており、無料で利用することができる。
隣に有料の「町営駐車場」と無料の「神の湯 お客様駐車場」がある(詳細は後述)。
☎0224-34-1990
大人400円
9時~20時30分(受付最終20時)
石鹸・シャンプーなし
シャワー完備
館内の様子はこちらで。
壽の湯
1993年に建てられた宮大工の手による建築で、江戸時代の湯小屋を再現している。
隣に無料のお客様駐車場あり。
☎0224-34-1990
大人400円
6時~10時(受付最終9時30分)
12時~20時30分(受付最終20時)
石鹸・シャンプーなし
シャワー1台
館内の様子はこちらで。
遠刈田温泉の車中泊事情
まず無難なところでは、仙台方面に約15キロ・20分ほど離れたところにある「道の駅村田」が挙げられる。
しかしここは、山形方面から「御釜」を見て、「遠刈⽥温泉」に立ち寄って汗を流し、翌日は「仙台」方面か、「東北自動車道」で移動する人、もしくは北から「東北自動車道」か「三陸海岸」を下ってきて、「仙台」を見た後に「蔵王」を目指す人向きになるだろう。
いっぽう、「遠刈⽥温泉」には4つの公共駐車場がある。
消去法で云うと、まず②の「壽の湯 お客様駐車場」は、屋外に24時間トイレがないので車中泊はできないし、マナー上からも推奨はできない。
つぎに①の「神の湯 お客様駐車場」は、④の「町営有料駐車場」のトイレが使えるので、車中泊は不可能ではないが、「神の湯」が営業している20時30分までは落ち着かないし、やはりマナー上からも避けたほうがいいと思う。
ただ閉館後なら、マナーを気にする必要はあるまい。
というのは、④の「町営有料駐車場」には2.3メートルまでの高さ制限がある。
加えて料金も、入庫後60分までは無料だが、以降30分ごとに100円と安くはない。
なお左の建物が24時間使える公衆トイレだが、中までは確認できていない。
ウォシュレットが必要なら、近くにセブンイレブンがある。
そしてこちらが、最後の③「遠刈田温泉 お客様駐車場」。
中は和式だが、公衆トイレも近くにある。
ウォシュレットが必要なら、さきほど書いたように、近くのセブンイレブンが利用できるので、「旅の宿」として一晩利用するのなら、ここが気楽でいいと思う。
ちなみにこちらは、隣接して建つハンバーガーショップの「ZAO BOO」。
ただ営業時間は17時までと早いようだ。
筆者は行っていないが、「食べログ」では有名みたい(笑)。
続いて、自炊がしたい人にお勧めの車中泊スポットをご紹介。
筆頭に挙げられるのは、無料でキャンプができ、温泉・スーパー・コンビニが1キロほどのところにある「遠刈田公園」だ。
ただしキャンプをする際には、事前申請が必要だ。
面倒くさそうだが、情報によれば道路向かいの「サンスポーツランド」に断りを入れるだけでOKらしい(笑)。
水場とテントサイト。ただしクルマは乗り入れられない。
残念ながらトイレは和式だが、ここもコンビニまで歩いて行ける。
駐車場には、ざっと見たところ20~25台ほどは停められそうだが、オートキャンプができないので、いい季節の週末はキャンパーで激混み必至だろう。
また「遠刈⽥温泉」には2軒のRVパークもあり、好評を得ているようだ。
電源が必要な人と、山形方面に抜けるのではなく、再び仙台方面に戻って来る人には、予約ができるので利用価値があるかもしれない。