「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊歴史旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づきまとめた、『一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台』をクルマで旅するためのガイドです。

~ここから本編が始まります。~
「忍城」は、城そのものよりエピソードがおもしろい。

忍城 DATA
忍城
〒361-0052
行田市本丸17-23
☎048-554-5911(行田市郷土博物館)
場内は終日無料開放
郷土博物館
おとな200円
9時~16時30分(受付最終16時)
「忍城」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2022.05.13
「忍城」での現地調査は2021年5月が最新で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2025年9月に更新しています。
忍城【目次】
忍城プロフィール

「忍城」は日本100名城ではなく、続日本100名城に名を連ねている室町時代からの古城だ。
北を「利根川」、南を「荒川」に挟まれた扇状地に建つ、広大な沼地と自然堤防を生かした要害堅固な城で、幾度も城攻めを受けたが、一度も落城しなかったことから、関東七名城のひとつに挙げられていた。
その名城ぶりを語る逸話が、1590年(天正18年)に「豊臣秀吉」の小田原征伐に伴って勃発した、豊臣方の水攻めだ。
2万対500とも云われた戦力差があったにもかかわらず、「石田三成」率いる豊臣軍の攻撃に耐え抜いたことから、「浮き城」または「亀城」の別名がついた。

その実話をスペクタクルに映画化したのが、後述する「のぼうの城」だ。
この戦いでも忍城は落城はしなかったが、小田原城が先に陥落したことにより、降伏・開城となった。
「徳川家康」の関東入部後は、その四男「松平忠吉」が「忍城」に配置され、以後、忍藩10万石の政庁となる。
「忍城」の城下町は、中山道の裏街道宿場町と、利根川の水運を利用した物流ルートを兼ね備えていたことから繁栄を遂げ、その後の城主も、老中「阿部忠秋」、「松平忠堯(奥平松平氏)」と、主に徳川の親藩・普代の大名が務めてきた。
しかし廃藩置県と同時に廃城となり、土塁の一部を残して取り壊されたが、現在は本丸跡に御三階櫓が再建され、水堀や沼地の一部が水城公園として整備されている。
映画「のぼうの城」

プロフィールをご覧いただけば、「忍城」が江戸幕府にとっても重要な存在だったことが分かるが、筆者のように遠路はるばるやってくる人の動機は、やはり「忍城」が映画「のぼうの城」の舞台であることにあると思う。
その「のぼうの城」は、「和田竜」の歴史小説を原作に、2012年に公開された歴史映画だが、中身はスペクタクルに近い。
この映画を見るまで、筆者は「忍城」のことを知らなかったが、以来いったい本物はどういう城なんだろう、と気になって仕方がなかった。
それから10年の歳月が流れ、運よく「忍城」を訪ねるチャンスが舞い込んだ。
映画のストーリーは、くどくど書くより素晴らしいメイキング映像が見つかったので、そちらで紹介したい。
ただし13分30秒と長いので、ギガが気になる人はホドホドにね(笑)。
行田市郷土博物館

最初に「1番大事なこと」から記そう。
「忍城」のランドマークといえる「御三階櫓」の入口は、この「行田市郷土博物館」の中にある。
つまり200円支払って、この博物館に入館しないと、行くことができない構造だ。

「セコッ!」と思うかもしれないが(笑)、大半のお城の天守や櫓は有料なので、料金の200円は安いほうだ。
ただ時間がない人にとって、このやり方は余計な時間がかかるので、ちょっと迷惑。
『忍城が観たい人=行田市の産業や歴史に興味がある』という構図は成り立たない。
我々は修学旅行生や社会見学にきた生徒じゃないんだから(笑)。

かつての「忍城」本丸跡地に、1988年(昭和63年)に開館した「行田市郷土博物館」は、「行田の歴史と文化」をテーマにした展示を行っている。
行田市は日本屈指の足袋(たび)産地(行田足袋)として知られ、『和装文化の足元を支え続ける足袋蔵のまち行田』として、日本遺産に認定されている。
さて、足袋といえば…
大河ドラマ「いだてん」の主人公「金栗四三」もだけど、やっぱ筆者のような若者には、日9の「陸王」だよね~(笑)。

館内にドラマに登場する「勝ち虫」の展示があったので、「えっ、もしかして?」と調べて見たら、なんと「忍城」はそのロケ地だった!
正直云って、これが入館した最大の成果だったかもしれない(笑)。
忍城 駐車場&アクセスマップ

「忍城」には2ヶ所の無料駐車場があるが、近いほうが「第2」で、遠いほうが「第1駐車場」になる。

筆者が利用したのは、こちらの第一駐車場。博物館の入口までは多少遠くなるが、「忍城」の城内を見て歩くなら、むしろこちらのほうがいいかもしれない。
忍城周辺の観光&車中泊スポット

「忍城」周辺の見どころでホットな場所と云えば、2021年放送のNHK大河ドラマ「青天を衝け」の前半の舞台になった、深谷市にある「血洗島」だ。
「忍城」から、ドラマの主人公・渋沢栄一の記念館までは、約23キロ・30分ほどで行くことができる。

また「忍城」と「血洗島」の両方を周る際に利便性が良いのは、無料のバラ園を併設している「道の駅 めぬま」だ。
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