歴史が好きで経験豊かな「車中泊旅行家」が、滝沢馬琴の「南総里見八犬伝」にゆかりの深い、千葉県の房総半島にある「館山城」と「城山公園」の、見どころ及び駐車場・車中泊事情を紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊歴史旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づきまとめた、『一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台』をクルマで旅するためのガイドです。
~ここから本編が始まります。~
「城山公園」は花と富士山がきれいだが、「館山城」に行くなら「八犬伝」のことを知らないと、親しみは湧いてこない。

館山城&城山公園 DATA
城山公園
〒294-0036
千葉県館山市館山362
☎0470-22-8854
(城山公園管理事務所)
24時間出入り可能
入場、駐車場ともに無料
「館山城」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2024.02.29
「館山城」での現地調査は2024年9月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2026年3月に更新しています。
館山城&城山公園

館山城は千葉県のどのあたりにある?

かつての「館山城」の跡地を整備した「城山公園」は、「内房」最大の観光都市「館山」の市街地からほど近い東京湾を見下ろす丘の上にあり、「JR館山駅」から約2.2キロ・クルマで10分足らず、また高速道路の「富津館山道路・富浦インター」からは、国道127号経由で約8キロ・20分ほどのところに位置している。
マイカーとバスツアーの観光客はもとより、「JR館山駅」から路線バスでもアクセスできるため、公共交通機関で「内房」に遊びに訪れた旅行客からも、ずいぶん親しまれているようだ。

出典:城山公園
昭和になって再建された「館山城(発見伝博物館)」はともかくとして、「関東の富士見百景」にも選ばれている「城山公園」には、椿・梅・桜・ツツジ等の花木が、季節に合わせて咲き誇るという。
館山城の歴史

現在の「館山城」は、歴史に基づく”復元天守”ではなく、1964年頃に福井県に残る”現存12天守”の「丸岡城」をモデルに建てられた「模擬天守」で、「館山市」の市制施行25周年記念事業として建造されたものだ。
そのため「史跡」としての価値は薄く、「日本100名城」にも「続日本100名城」にも選ばれていない。

にもかかわらず人気があるのは、「館山城」の城主だった「里見氏」が、江戸時代後期の作家 「滝沢馬琴(曲亭馬琴)」が残した当時の長編ベストセラー小説、「南総里見八犬伝」のモデルとされたからに他ならない。
その話は後述するが、
史実によると「里見氏」は、「源義家(八幡太郎義家)」の流れをくむ「清和源氏」の一族で、戦国時代に「安房国」を掌握し、房総半島に勢力を伸ばして戦国大名となって以降、長きにわたり小田原の「北条氏」と争っていたという。
「秀吉」には冷遇されたが「家康」に救われ、1600年の「関ヶ原の戦い」の後には「常陸鹿島領」3万石が加増され、都合12万2000石の外様大名へと登り詰める。
しかし1622年に改易(領地没収)され、大名家としての地位を失ってしまった。
「南総里見八犬伝」はフィクションだが、実は「里見氏」の不遇な運命や、この地に残された伝説や伝承を、巧みに物語に盛り込んでいると云われている。
南総里見八犬伝

出典:一誠堂書店
「南総里見八犬伝」は、あの「葛飾北斎」が天才と認めた「滝沢馬琴」が、1814年から1842年まで、実に28年間あまりにわたって書き続けた超大作で、日本文学史における屈指の長編小説として知られている。
物語は「館山」を舞台に”戦国時代の勧善懲悪”を描いたもので、「八つの珠」を持つ8人の武士(八犬士)が運命によって集まり、主君である「里見家」を守るために戦うという壮大なストーリーだが、原作が全98巻・106冊にものぼるボリュームなので、ここで紹介しきれるものではない。
それより着目すべき点は、
普通ならそんな昔の話が、今になって注目されるはずがなさそうなのに、偶然なのか意図的なのか、近年立て続けにNHKの人気番組で取り上げられ、おまけに2024年には実写版の映画まで公開されたことだろう。
すなわち、約200年ぶりにスポットライトを浴びている。

出典:日刊スポーツ
とりわけ筆者の記憶に残っているのは、2023年上半期に放送された朝ドラ「らんまん」のヒロイン「寿恵子(浜辺美波)」ちゃんが、この「南総里見八犬伝」にドハマリしていたこと(笑)。
だがそれは、脚色だったようだ。

出典:NHK
また2025年の大河ドラマ「べらぼう」では、「津田健次郎」演じる「滝沢馬琴(曲亭馬琴)」が、「蔦重」こと「蔦屋重三郎(横浜流星)」に見出されるが、「南総里見八犬伝」を書いた時には、既に「蔦重」はこの世にはいなかったため、その物語にはふれられなかった。
しかしまだ、2024年に放映された実写版ムービーの「八犬伝」がある。
内容は小説の「南総里見八犬伝」と、それを描く『滝沢馬琴の暮らしぶり』の”2重構造”で描かれているのだが、それにしてもこの映画は素晴らしかった。
主人公「滝沢馬琴」を「役所広司」、「馬琴」の友人にして人気絵師の「葛飾北斎」を「内野聖陽」、そして「馬琴」の妻「お百」を「寺島しのぶ」が演じているのだが、その絡みが実に巧妙で、むしろそれがこの作品の見どころとも云える。
映画「八犬伝」はAmazon Prime Videoで視聴することができるので、行かれる方にはぜひお勧めしたい。
観れば2時間ほどで、「南総里見八犬伝」のおおかたのあらすじも理解できる。
なお昭和40年前後生まれの世代には、「八犬伝」といえばコレかも。
NHKの連続人形劇『新八犬伝』(全464回)は、1973年4月から1975年3月にかけて放送されていた。
このサイトでは懐かしい当時の映像も観られるが、筆者はもう中学生になっていたので、ほとんど観てはいない。
館山城(八犬伝博物館)

さて。
前述したように、今の「館山城」は昭和になって「館山市」の市制施行25周年記念事業として建造されたもので、外観はお城だが、中は「八犬伝博物館」になっている。

最大の見ものは、「南総里見八犬伝」 の江戸時代の版本(当時の実物)だ。
館内には他にも登場人物や名場面を描いた錦絵・浮世絵のほか、前述したNHK人形劇「新八犬伝」で実際に使われた人形(辻村ジュサブロー作)も展示されている。
『らんまんの寿恵子ちゃん』なら、小躍りするだろうと思うが(笑)、
ここで「南総里見八犬伝」と初めて出会った人が、それを理解して帰るのは不可能に近いだろう。むしろこの博物館は、既に物語を知っている人間が、それを”再確認”しに行くところのように感じた。

もちろん最上階の展望台まで上がれば、天気の良い日は東京湾の彼方に「富士山」を望むことができるが、それは下の「城山公園」の展望所からでも無料で見られる。
500円とはいえども「館山城」は有料施設なので、そのあたりを心得たうえで、入館するかどうかを判断しよう。
館山城(八犬伝博物館)
〒294-0036
千葉県館山市館山362番地先
☎0470-22-8854
(城山公園管理事務所)
おとな500円

なお「城山公園」の中には、「館山城」の「八犬伝博物館」とは別に、「館山市立博物館 本館」もある。
こちらでは原始から古代の「安房」を探るコーナーを皮切りに、対岸の「鎌倉」との関わりで育まれた中世文化、さらに「北条氏」と東京湾の利権をめぐる抗争をしながら、江戸時代初めまでこの地を支配した戦国大名「里見氏」の興亡、そして「里見氏」滅亡後の江戸時代の人々の暮らしなどが、時代を追って展示されている。
「館山城」の入館料500円は両博物館の共通券なので、料金的にはかなりリーズナブルだと思う。

出典:館山城・城山公園公式サイト
最後に、「城山公園」全体のイラストマップをご紹介。
両博物館の見学を含めると、所要時間は2時間前後になるだろう。
詳細は公式サイトで確認を。
館山城の駐車場

「館山城」を含む「城山公園」には、第一・第二を合わせて130台が収容できる無料駐車場があり、24時間開放されている。
トイレもあるのだが、残念ながら公式サイトには『車中泊禁止』と明記されている。
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