この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「別海町ふれあいキャンプ場」は、温泉隣接・管理良好・好立地。まさに100点満点がつけられる低料金高規格オートサイト。
別海町ふれあいキャンプ場【目次】
「別海町ふれあいキャンプ場」のロケーション
別海と云えば、人の数より牛の数のほうが多いことで有名な酪農の町。
もちろん自慢はこれ。
味もいいが、還暦過ぎの筆者世代が子供の頃に慣れ親しんだ、「テトラパック」が未だに流通しているのは、さすがに別海町くらいのものだろう(笑)。
さて。市街地を外れると、すぐにこういうデッカイ牧草地が現れ、なぜかタンチョウの姿をよく見かける別海町は、釧路・霧多布・根室、さらに野付半島や弟子屈といった、道東の主だった観光地と放射状に通じる絶妙なところにある。
そのためライダーの中には、ここにテントを張って、周辺各地を日替わりで観光する人も多い。
筆者はキャンピングカーなので、ここを拠点にして各地を周ることはないが、時間に余裕のある時は連泊して、キャンプ場からクルマで40分ほどかかる尾岱沼の漁港に、カレイを釣りに出かけることもある。
なお行くなら、別海の市街地にあるホーマック系列のホームセンター「ニコット」でイソメを買って出かけよう。尾岱沼に釣具屋はない。
また近場では、クルマで5分もかからない場所にパークゴルフ場がある。310円と有料だが、36ホールあるので終日いっぱい楽しめる。
ただし、コースは長くてタフなうえに起伏が大きいので、女性には少し手強いかもしれない。
「別海町ふれあいキャンプ場」の施設
繰り返しになるが、「別海町ふれあいキャンプ場」は、居心地・料金・利便性のどれをとっても合格点がつけられる、北海道でも指折りの車中泊に適したキャンプ場だ。
低料金でコインランドリーや電源などの設備が整い、温泉が隣接していて買出しなどの便が良いこと、さらに根室や野付半島などの観光スポットにも近く、人気が高いのも頷ける。
筆者は2000年からこのキャンプ場を利用しているが、取材で北海道を訪れるようになった2008年以降は、電源が利用できるこのキャンプ場に数日間連泊して原稿を仕上げることが多い。
ここでの基本連泊スタイル。
フリーサイトに駐車場が隣接しており、ほぼオートに近い状況で車中泊キャンプができる。
別海は霧雨の日が多く、夏でも寒いため、シェルターは虫よけよりもむしろ「防寒」に役立っている。
車中泊の一等地はここ。
駐車場の端ではサイドオーニングが出せるのだが、管理棟とトイレに近いところは、テレビ映りが悪い。
アンテナにもよるとは思うが、この位置まで来れば、ワンセグなら全チャンネルの電波が拾える。
ただし電源から離れるので、コードは30メートル以上必要だ。足りない場合はコードリールがレンタルができる。
炊事棟は屋根付きで、清掃がよく行き届いている。
ここに限らず北海道のキャンプ場は水が冷たいので、6月や9月に行くなら、ゴム手袋を持参するといい。
ジンギスカン鍋のように、しつこい汚れを洗うには必需品になる。
管理棟横にはトイレとコインランドリーがある。
またトイレには2017年にウォシュレットが設置された。
料金は入場料ひとり300円、キャンプサイト利用料400円、電源代400円。
残念ながらペットは入場不可。ゴミは有料袋で回収してくれる。
別海町ふれあいキャンプ場
〒086-0216 北海道野付郡別海町別海141-4
0153-75-0982
「別海町ふれあいキャンプ場」の管理人
筆者と同じく別海のオールドファンならよくご存知だと思うが、2013年まで長らくこのキャンプ場の管理に携わっておられた管理人さんは、すこぶる面倒見が良く、多くの旅人に慕われていた。
しかしその後任で来た管理者は、どちらかといえば「お役人」タイプの人物で、自らキャンプをするようなタイプではなさそうに思えたし、キャンパーともあまり息が合わなかったようだ。
そのため顔見知りだった、「後期高齢者の常連さんたち」は1.2年で激減した。
2016年に来てみると、筆者よりもずいぶん若い夫婦が受付で出迎えてくれた。
新しく管理人を引き受けた稲富氏は、若い頃にバイクで旅をし、ここに来るまでは土産品の営業で道内の観光地を回っていたそうだが、彼の「気配り」と「熱い思い」は、明らかに前任者にはなかったものだ。
また赴任後2ヶ月しか経たないうちに、ライダーサイトを設け、管理棟も中のレイアウトを一新して開放的な雰囲気に変えるなど、意欲も旺盛で頼もしい。
ちょっとこの先が楽しみになってきたぞ。
そして2017年。この年は稲富氏の行動力に驚かされた。特にライダー向けに整備すると話していた一画の充実度は、目を見張るものがある。
テントの横までバイクが乗り入れられる「バイク・オートサイト」。安心なうえに荷物をテントサイトまで運ぶ必要がなく、ライダーの疲労は大きく軽減される。ありそうでなかった発想だ。
イベント用に使われていた巨大なシェルターもライダーズサイトに移動。雨からライダーのテントを守る頼もしい屋根に再利用されている。
変わったのはそれだけではない。
昨年はコミュニティースペースでしかなかった管理棟の奥に、保健所から許可を得て飲食スペースを開設。
夕方6時前から8時の間は、ここでサッポロクラシックの生が飲める。
さらに管理棟入口横には、耐火煉瓦でできた本格的なピザ釜も。
こちらは管理人のハンドメイドだが、ピザ生地は奥さんが練りあげるそうだ。
ただ残念なことに我々がカウンター席に着いた時には既に「売り切れ」。よって、その焼きたてのピザの絵はない。代わりにメニューを載せておこう。
2018.7
念願の石窯ピザを食べてきた(笑)。
まずは薪で窯をガンガンに加熱。ピザはレンガの蓄熱で焼き上げる。
これで700円はかなりのお得感。そりゃ、売り切れるのは当然だ。
もちろんテントサイトもそのままではない。老朽化が激しかった炊事棟とBBQ炉は修理が施され、シルバー層の旅行者から要望の高かったシャワートイレも設置されるなど、目だたない場所にも改善の手は伸びている。
稲富氏の代になってキャンプ場の料金体系が変わり、「値上げ」にはなった。
筆者が懇意にしていた、後期高齢者のキャンピングカーオーナーたちが激減しているのは、そのことと無関係ではないかもしれない。
しかし、これから新たに北海道を目指そうとしている世代に、このキャンプ場が存続できる基盤ができてきたことは喜ばしいことだ。
心配せずともベテランの爺さんたちは、まだまだ他にも「アジト」を隠し持っている(笑)。
ゆえに遠慮することなく、思う道を進んでほしいと願う。
「別海町ふれあいキャンプ場」 最寄りの温泉と買い物施設
日帰り利用できる温泉がある郊楽苑は、キャンプ場の山手にあり、歩いて5分ほど。一時は600円したが2016年から500円に値段が下がった。
特筆すべきはその泉質だ。
褐色のモール温泉で、pH値は7.9の弱アルカリ性。しかもメタケイ酸含有量は163.9もあり、美肌効果は抜群といえる。
モール温泉で有名な十勝川温泉に比べても成分含有量はほぼ2倍、体感でも明らかにお湯は濃かった。
別海町ふるさと交流館(旧:郊楽苑) 公式サイト
☎0153-75-0711
大人510円
11時~21時(受付最終20時30分)・月曜定休
コンビニは、約1キロのところにセイコーマートがある。
生鮮食品の買物に便利なのは、クルマで5分ほどのところにあるコープさっぽろだ。ダイソーも入っており、隣はセブンイレブン、向かいにコインランドリーがある。
「別海町ふれあいキャンプ場」のアクセスマップ
釧路・根室 車中泊旅行ガイド
道東 車中泊旅行ガイド



