この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「タウシュベツ川橋梁」には、苦労して行くだけの価値がある。
「タウシュベツ川橋梁」マイカー見学ガイド【目次】
②ひがし大雪自然ガイドセンター主催の「アーチ橋見学ツアー」に参加
「タウシュベツ川橋梁」とは…
「タウシュベツ川橋梁」は、北海道遺産に選定された糠平湖畔にある「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」のひとつ。
かつて上士幌町には旧国鉄・士幌線が走っており、鉄道橋として複数のコンクリートアーチ橋梁が使われていた。
後に士幌線は廃線になるが、橋梁自体はとり残され、特に湖の中にある「タウシュベツ川橋梁」は、現在まで古代ローマの遺跡を思わせる姿をとどめている。
しかも「タウシュベツ川橋梁」は、糠平湖の水かさが増える6月頃から湖面に沈み始め、10月頃には湖底に完全に沈みこむことから「幻の橋」とも呼ばれてきた。
そして60年以上にわたって放置され、修復もままならない「タウシュベツ川橋梁」は、今ただ静かに崩落の時を待っている。
そのため近年は廃線ファンだけでなく、その「歴史の証人」になりたいという人々が、続々とこの地を訪れるようになった。
だが… 2009年から北海道森林管理局・十勝西部森林管理署東大雪支署は、国道273号線から「タウシュベツ川橋梁」に通じる、糠平三股林道の一般車両の通行を規制している。
もともと糠平三股林道は事業専用道路なのだが、東大雪支署ではこれまで作業に支障のない限り解放し、原則的に一般車両も通行することができた。
しかし、この林道は上り下りのある幅約4m弱のダートで、路面状況が悪い上に対面通行が難しく、これまでにも路外逸脱の事故が発生したことから、観光客の増加による重大事故の発生が懸念されていた。
現在の「タウシュベツ川橋梁」の見学方法
現在「タウシュベツ川橋梁」の見学方法は以下の3つに限定されている。
①町が整備した、国道273号線沿いの「タウシュベツ川展望広場」から見る。
②ひがし大雪自然ガイドセンター主催の「アーチ橋見学ツアー」を利用する。
③「道の駅かみしほろ」に事前申請の上、個人で林道のゲートの鍵を借りて車で通行する。
①「タウシュベツ川展望広場」から眺望する
「タウシュベツ川展望広場」は、約750メートル離れた場所から「タウシュベツ川橋梁」を望むことができる展望所だ。
国道273号線をぬかびら源泉郷から旭川方面に8kmほど進んだ地点に駐車帯(一般車両5台、大型バス2台程度)があり、そこから森の中の散策路を200メートルほど歩いたところにある。
現在はここから見るのが、もっとも安上がりで簡単。とはいえ、写真の通り橋まではかなり遠い。
10台ほどが停められる駐車帯。どちらかといえば路上駐車に近い。
展望地までの散策路。ぬかるむと滑りやすいのでサンダルでは危険だ。
しかしこれでは誰もが感じる通り、明らかに物足りない…
②ひがし大雪自然ガイドセンター主催の「アーチ橋見学ツアー」に参加
かつては1人3500円(税別)だったが、2022年以降、見学ツアーは細分化しており、料金はホームページを見てもよくわからない。
これでは普通は参加しないと思う。
ひがし大雪自然ガイドセンター 公式サイト
③「道の駅かみしほろ」に申請して現地個人見学
筆者はまだ「十勝西部森林管理署東大雪支署」で鍵を貸し出していた2014年と2017年の夏に、③のマイカーで行く方法で「タウシュベツ川橋梁」を訪ねてきた(※2022年4月より、申請先が「道の駅かみしほろ」に変更。)
だが、その道のりは容易ではなかった。
事故を懸念するのは分かるが、この「道の分かりづらさ」はどうなんだ!
たぶんそう憤っているのは、筆者だけではないと思う。
そこでここからは、迷いやすいポイントを詳しくガイドしていくことにしよう。
現地個人見学の留意点
2022年8月更新
かつては十勝西部森林管理署東大雪支署(上士幌航空公園の近く)まで自ら出向いて鍵を貸りる必要があったが、2022年4月から「道の駅かみしほろ」のインフォメーションで借りることができるようになっている。
ただし鍵を借りるには事前にネット予約が必要。また以前は無料で借りられたが、今は協力金として1人1,000円が徴収される。
詳しいやり方は以下のサイトにわかりやすく記されている。
「タウシュベツ川橋梁」への往復を含めて、見学時間は最低でも2時間、できれば余裕を見て3時間は確保しておきたい。
また周辺マップも忘れずにもらおう。
なお「道の駅かみしほろ」での車中泊については、こちらの記事を参考に。
さて。
「タウシュベツ川橋梁」までは片道約30キロの道のりがあり、途中にはその他の橋梁が点在している。
それらも見学するなら、周辺マップを参考に寄り道しながら行くといい。
なおトイレは三叉林道の分かれ道を通り越した少し先にある「幌加防雪ステーション」の中にある。
「タウシュベツ川橋梁」へのアクセスで、最初に迷うのは林道への入口。
目印は国道273号に架かる「丸山橋」で、それを超えたすぐの三叉路を右折すると上の写真のダートに出る。
三叉路には一切看板は出ていないので、橋を見落とさないことが重要だ。
林道に入るとまもなくゲートが現れ、ここで借りてきた鍵を使う。
もちろん行きもゲート内に入った後で施錠することを忘れずに。
これで後は道なりに進めばOK… と誰もが思いがちだが、そうではない。
途中の何のヘンテツもないところに、「タウシュベツ川橋梁」に通じる細い分かれ道があり、その分かれ道から先は徒歩で進まなければならない。
この無関係な看板の手前に、4.5台ほどクルマが置けるスペースと上の写真の分かれ道がある。
ただ2017年には、周辺に2か所の駐車広場が設けられており、看板こそないが「ここがそこだ」ということが分かるようになっていた。
分かれ道を100メートルほど歩くと、いよいよ先が開け、ようやく「タウシュベツ川橋梁」が見える河原に到着する。