この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
日本離れした景観の中での車中泊
朱鞠内湖(しゅまりないこ)は、日本一のそば畑を誇る北海道幌加内町の雨竜川上流に位置する人造湖で、日本最大の湛水面積(広さ2,373ヘクタール)を有している。
入り組んだ湖岸と大小の島が浮かぶ景観は天然の湖と遜色なく、とても人造湖とは思えない。
そんな朱鞠内湖の畔にあるのが、これから紹介する朱鞠内湖畔キャンプ場だ。
日本離れしたそのロケーションは、数多ある北海道のキャンプ場の中でも、明らかに群を抜いている。
場内は第1.2.3にサイトが区分され、林間や芝生などの好きなロケーションを選んでテントを張ることができる。その中で筆者が愛用しているのは、第2サイトの湖畔に突き出した岬のような一画だ。
理由は自然に満ち溢れたこの景観とシンクロできることに加えて、もうひとつ挙げられる。
それは釣りだ。
朱鞠内湖には、かつて「幻の魚」と呼ばれたイトウが生息している。イトウは日本最大の淡水魚で、体長は1メートルから1.5メートルに達する。
日本では北海道の一部の河川・湖沼にしか生息しないため、釣り人の間ではその希少さと大きさから人気が高く、幻の魚と呼ばれてきた。
もっとも現在は養殖に成功しており、河川への放流も行われているようだ。
釣りは主にルアーやフライで狙うが、ルアーならミノーやスプーン、フライならストリーマーなどを用いる。
釣期は5-6月と10-12月。ただし、希少種なので捕獲はせずキャッチ・アンド・リリースが励行されている。
なお、朱鞠内湖でのイトウ釣りは有料でひとり1000円。また釣り針はシングルフックでバーブレス(針は一本でかえしのないもの)のみ使用可能となっている。
最後は施設について。
敷地内にはコインシャワーとランドリーも揃い、場所は限定されるが電源も用意されている。
そのため、ワイルドな雰囲気を楽しみながらも、快適な車中泊キャンプができる。
●宿泊:大人ひとり1泊600円
●電気使用料:1泊200円
●一日遊漁券:大人1100円
残念なのは、ゴミが引き取ってもらえないこと。
これだけ同外からの旅行者が多い北海道のキャンプ場で、有料施設にもかかわらず「ゴミ持ち帰り」にしているのは、もはや「責任回避」というしかない。
この馬鹿げたルールを決定した人間は、本州で発生したゴミを、一度北海道の自宅まで持ち帰ってみたらどうだ。
地元生活者が処分できている以上、ゴミ焼却炉うんぬんは、そうする理由にはならない。いったい毎日何万人の道外利用客が来るというのだ?
朱鞠内湖畔キャンプ場
〒074-0742 北海道雨竜郡幌加内町字朱鞠内湖畔
☎0165-38-2101