「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介。
店では「うに丼」、テイクアウトで「うにめし丼」を。
人気の「うにめし丼」が食べられる丸善食堂【目次】
利尻島のウニがおいしい理由
利尻島の特産品で、もっとも有名なモノといえば「昆布」だ。
利尻島近海で採れる昆布は、甘さとコクが 強いうえに稀少であるため、大半は京都の料亭に送られ、ほとんど市場には出回らないという。
その希少で美味いとされる理由は、利尻島に流れ込んでくる暖かい親潮に関係があるらしい。
また、利尻山から流れ出るミネラルたっぷりの天然水が、美味しい昆布を育むとも云われている。
さて。その希少品種である「リシリコンブ」を食べて育つのがウニだ。
利尻島の近海で採れるウニには、エゾバフンウニとキタムラサキウニの2種類があり、いずれも漁期が限られている。
オレンジ色で濃厚な味がする写真のエゾバフンウニは6~8月末、薄いベージュ色でさっぱりとした味わいのキタムラサキウニは、4~9月中旬が解禁期間となる。すなわち、いずれにしても夏に「旬」を迎える。
礼文島・利尻島で売られているバフンウニの大半は、ミョウバンを使用せず、塩水に浮かべて保存しているのが特徴だ。
ミョウバンを使用するとウニに苦味が移り、味が落ちる。
もっとも… これが手に入るなら、あとは白米さえ炊ければ自前で「うに丼」を作るのはいとも簡単な話。それだけで夫婦なら2,000円近い節約にもなる(笑)。
丸善食堂
ここからは「旅でそんなことは面倒!」という人向けに、利尻島で評判の「うに丼」を食わせる店を紹介する。
噂の丸善食堂があるのは、利尻島の鴛泊フェリーターミナル2階。
入口にはきちんと種類と値段が告知してあるので安心だ。
こちらがメニューだが、ウニ専門というわけではなく、ラーメンもやっている気さくな食堂なので入りやすい。
さっそく「生うに丼」を注文。
ちなみに写真はムラサキウニ。筆者が訪ねた日はバフンウニの解禁直後で、まだ店には届いていなかったようだ。
ただ、丼にはサッパリしていて一度にたくさん食べても飽きない、ムラサキウニのほうが適しているという人もいる。
しかも、これほど身がしまったムラサキウニには滅多にお目にかかれない。
丸善食堂の「うにめし丼」
いっぽうこちらは「うにめし丼」。
「全国ご当地どんぶり選手権」で、2011年(第2回)・2012年(第3回)と2年連続でグランプリを獲得した、丸善食堂のオリジナルメニューだ。
「利尻昆布の出汁」に「うにの煮汁」を加えて炊き込まれたご飯の上に、生うにとイクラをトッピングしたアイデア的にも優れた丼で、まさに「ご当地」と呼ぶにふさわしく、史上初の殿丼(殿堂)入りを果たしたという(笑)。
通常3,000円はくだらない「うに丼」に比べ、「うにめし丼」は1,200円とリーズナブルなのも嬉しいね。
確かに量は少ないが、手頃な価格で利尻の「うに丼気分」が楽しめるうえに、フェリー利用客のためにテイクアウトができるというのは素晴らしい発想だ。もちろん冷めてもおいしかった。
そして最後に。「うに丼」はどこでも味わえるが、「うにめし丼」はここでしか口にも手にも入らない。
丸善食堂 アクセスマップ
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