「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
「鹿の湯」は、北海道を代表する秘湯・野湯
鹿追町市街地から約30キロほど離れた然別峡の山中にある鹿の湯は、ユーヤンベツ川の清流沿いに湧き出す、いわゆる秘湯・野湯だ。
雑誌やポスターへの露出も多く、ビジュアル面ではまさに北海道を代表するといっても過言ではあるまい。
カーナビゲーションは「然別峡野営場」にセットすればいいが、鹿の湯へ通じる道道1088号は、舗装されているとはいえ、途中にあるワインディングを避ける術はない。
川北温泉と同様で、「一度行けばもういい」という人もきっと多い(笑)。
ようやく辿り着いた然別峡野営場の受付。鹿の湯はキャンプサイトを徒歩で通り抜けた奥にある。
然別峡野営場
0156-66-4034(鹿追町商工観光課)
営業期間 7月1日~9月30日
定休日 期間中なし
駐車場 無料駐車場あり
アクセス 鹿追市街から車で約50分
料金等 入場料:大人250円 子供150円
無料の混浴だが水着の着用は禁止。
キャンプ場が営業している時期に女性が入るにはちょっと根性が要りそうだ。
湯船は定期的に清掃されるため、野湯としては概ね清潔。筆者が初めて訪ねた日は、まさにその「清掃中」で、残念ながら入湯することはできなかった。
そこで翌年の紅葉期に再訪。
今度は見事に貸切を引き当て、ゆっくり写真も撮ることができた。
スローシャッターは三脚がいるので、さすがに人がいると使いづらい。我々の職業は腕よりも運のほうが大事だ(笑)。
さて、笹濁りで温泉感をムンムンと漂わせているお湯は、 湯船に注ぎ口がなく底の岩の割れ目から湧き出しているようだ。
最初は熱めだが、深めの湯船に注がれるうち適温になるという。この日は実によい湯加減で、ひとり長湯を楽しんだ。
なお、営業期間は然別峡野営場と同じ… というか、その期間は清掃がなされ、清潔に入れる状況ということだろう。
また川が増水すると水没して入れなくなることもあるようだ。
ここからは吉報を。
長らく休業していた近くにある「かんの温泉」は、2014年夏頃にリニューアルされ営業を再開している。
然別峡野営場にはシャワーがないため、しばらくは鹿の湯入湯後にシャンプーやカラダを洗えるところがなかっただけに、女性には嬉しい話だと思う。