「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

川湯温泉の共同浴場は、温泉通に人気の名泉。
川湯温泉街の商店主らが共同出資し、この公衆浴場が誕生したのは昭和33年(1958年)。筆者とほぼ同じ頃に誕生した建物は、既に還暦を過ぎた年季入りのおゆ場だが、手入れはしっかり行き届いている。
浴場は内湯のみで、浴槽は温泉と真湯(わかし湯)のふたつが用意されており、露天風呂はない。
温泉分析書によると、泉質は成分総計4,134ミリグラムの含食塩明礬緑礬泉(硫化水素型)で、pH値はなんと1.8。
あの草津温泉を上回る強酸性のお湯だ。源泉は地下10メートルから自噴しており、その熱を生かして地下水を温め、真湯の浴槽と蛇口に送っている。
さすがは温泉通が通うだけのことはある名泉。屈斜路湖で温泉めぐりをするなら、最後はここで〆るといい。
所在地 : 北海道川上郡弟子屈町川湯温泉3-1-7
電話番号 : 現地電話なし
期間 :通年
休み : 水曜
時間 : 8時~20時(冬季は9時から)
駐車場 :駐車場あり(無料)
料金: 大人250円
石鹸・ボディシャンプー(なし) シャンプー(なし) ドライヤー(不明)
川湯温泉の車中泊事情
公衆浴場の前には湯の川を利用した足湯がある。この一帯が川湯温泉のプロムナードなのだが、いつ行っても人影はまばらだ。
近年この温泉地にお金を落としているのは、修学旅行とインバウンドが大半だと思うが、先細り感は否めない。
こんなアクセスの悪い場所に、道外からわざわざ来てくれる日本人の個人客は、温泉マニアか長期で北海道を周遊している車中泊旅行者くらいのものだろう(笑)。
実は公衆浴場のすぐ近くには、写真の広々とした無料駐車場があり、かつては多くのキャンピングカーや車中泊の旅人がこの地を利用してきた。
その理由のひとつには、「HO」という北海道のローカル誌に、温泉街の中のホテルが協賛し、無料クーポン券を配布していたことも挙げられる。
しかしそうなると、こうなる(笑)。ただ、これだけなら「清く正しい車中泊旅行者」にとっては、無関係な話だった。
だが2010年頃に駐車場にあるトイレが夜間閉鎖となり、我々は事実上の「締め出し」を食らった。
同時に「HO」からも川湯温泉は消えた。
その後の有様は悲惨と云うしかない。
北海道では洞爺湖温泉街が同様の措置を取り、今ではすっかり閑古鳥のなく温泉地に成り果てている。
さて両温泉地は、この先どのように盛り返していくのか… 頼みのインバウンドはいつまで彼らを養ってくれるのか…
そして本当に我々は温泉街の敵なのか味方なのか…
もう答えは出ているような気はするのだが(笑)。
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