この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

利尻島をうまく旅する秘訣は、コンテンツの「重複」を避けて時間を有効活用すること。
クルマで旅する利尻島ガイド【目次】
初夏の利尻山は、冬山登山の経験が必要
利尻島は「縄文杉」で知られる鹿児島県の屋久島とよく似た地形で、島の中央に利尻富士の名で親しまれている標高1721メートルの利尻山が鎮座する。
深田久弥氏の著書「日本百名山」では、利尻岳の名で紹介され、第一番目に登場する名峰だ。
利尻山はポピュラーとされる鴛泊ルートでも、登山口にあたる3合目から山頂までの往復所要時間は約10時間。
ハイシーズンはそれに待ち時間が加算されるのだが、高山植物が咲く季節は残雪が多く、冬山経験者でなければ登頂は難しいという。
利尻島は車中泊で観光しやすい島
花の季節にお勧めなのはドライブだ。
地図を見ればわかる通り、利尻島は島の周回道路が整備されており、適度に見どころが点在している。
礼文島に比べるとクルマで走れるところが多いので、利便性は高く車中泊旅行者が観光しやすい島といえるだろう。
利尻島の外周は約65キロ。山に登らず島の周りをドライブがてらに観光するなら、半日あれば事足りる。
目的がそれだけという人は、人だけフェリーで渡って、現地でレンタカーを使うほうが経済的でスマートだ。日帰りなら夫婦でも1万円ほどで収まるだろう。
利尻島の観光事情

ガイドブックを見ると、利尻島には見どころがたくさんあるように感じるが、その大半は利尻山のビュースポットだ。
つまり中には「似たり寄ったり」というところも混ざっているため、初めて行く際には現地で「無駄な動き」をさせられないよう、最初に情報をよく整理することが大事になる。
具体的には「沼・湿地」・「展望台」・「グルメスポット」のように、カテゴリー別に分けて中身を調べ、かぶらないところを選ぶという「仕分け作業」が必要ということ。
たとえば、上の写真は利尻島のランドマークとされるオタトマリ沼の景観で、下の写真は姫沼だ。
オタトマリ沼は島の南に、姫沼は北にあるため、たしかに利尻山の見え方は違うのだが、それ以外に大差はない。
姫沼は野鳥が多く、バーダーには別の価値観があるとはいえ、それは万人向けではないだろう。
こちらは「逆さ利尻富士」が撮れることで知られる南浜湿地からの景観。
ややマニアックな場所とはいえ、ネットを探せば容易に見つかるスポットだ。
しかし、よほど利尻山が好きでなければ、はるばる訪ねていくほど価値があるところとは思えなかった。
すなわち「沼・湿地」のカテゴリーでは、オタトマリ沼が見られれば一般的には十分満足できるはずだ。
いっぽうこちらは、見返台園地展望台からの眺望だが、駐車場からわざわざ長い階段の山道を歩いて見える景観と、駐車場から降りてすぐ見える沼浦展望台の景観はほとんど変わらない。
ちなみに沼浦展望台はオタトマリ沼からクルマで2.3分のところにあり、そこからの景観が北海道の銘菓「白い恋人たち」のパッケージに使われている。
となると、知名度も利便性も沼浦展望台に軍配があがる。
こう書くと、いかにガイドブックが「旅行者の立場になって書かれていないか」がよくわかるだろう(笑)。
観光スポットを羅列しても、喜ぶのは自治体のお偉いさんだけで、多忙な旅行者には逆に迷惑なだけ。
ブロガーやYouTuberを含めて、プロやプロを目指す人間なら、最低でも旅行者が貴重な滞在時間を有効活用できる「気遣い」を持って情報発信するのは大前提。表現力はその次の話だ。
それに利尻島を観光する際には、もっと大事なことがある。
それは天気だ。島はどこでもそうだが、雨が降れば行くところもなければ、することもなくなる。
ゆえに天気予報を見て、渡る日をよく選ぶことが大事なのだが、北海道の天気予報は本当に当たらない(笑)。
したがって数日間滞在する場合は、「雨のコンテンツ」を事前に用意して行くほうがいい。例えば奇岩めぐりや、高山植物の鑑賞は晴れてなくても楽しめる。
他ではウニの美味しい行列店や、日帰り温泉、特産品直売所などが、時間を潰せる場所になる。
利尻島の主な見どころ・食べどころ
利尻島の車中泊事情
車中泊で行くなら島内には4つのキャンプ場があり、そこを利用すれば自炊ができる。
時間を贅沢に使い、天然水や海鮮素材を集めて自分流の料理を作るのも、クルマ旅ならではの楽しみだ。
それにサイトにシェルターを張っておけば、雨でも居場所が確保できる。
ちなみに長時間クルマの中に座ったままでいると、エコノミークラス症候群を発症する危険がある。
たとえば釣りは、晴れの日よりもむしろ雨の日のほうがよく釣れる。
利尻島では6月でもカレイが釣れる。フェリーターミナルでヒットしたのは、クロガシラと呼ばれる品種で、身が分厚く、煮付けるとすこぶるおいしい。
利尻島の車中泊スポット&車中泊関連施設
利尻島 車中泊旅行ガイド
道北 車中泊旅行ガイド



