この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「日本最北の地」では岬より、山の手に広がる丘陵地帯に注目すべし。
日本最北の地「宗谷岬」の見どころと車中泊事情【目次】
「宗谷岬」の本当の見どころ
「日本最北の地」と呼ばれる宗谷岬だけに、いかにも最果て感漂う寂しげなところかと思いきや、実は拍子抜けするほどキレイに整備されている(笑)。
その理由は霧多布岬や襟裳岬と違い、岬の先端部が開けた平地にあるからだ。
その宗谷岬では、まず遠く北方領土を見つめる、この偉人の話から始めたい。
間宮林蔵は江戸時代後期の幕府役人として、北海道から樺太、千島列島で20年以上の歳月を過ごした。
樺太の探検では間宮海峡を発見し、その名前は今も世界地図に残されている。
林蔵は間宮海峡を発見した後、今度は北海道測量という大事業に着手し、伊能忠敬の大日本沿海輿地全図(だいにっぽんえんかいよちぜんず)の北海道部分を完成させている。
カラフト探検の影に隠れているが、それもまた彼の大きな業績だ。
こちらは、北緯45度31分22秒にある宗谷岬が、日本最北の地であることを示すモニュメント。
わずか43キロ先にサハリンを望む宗谷岬のランドマークで、夜間はほとんど誰も見ないにもかかわらず、ライトアップされている(笑)。
さて。林蔵くんに出会えたからといって、先を急ぐのはちょっと性急。
必ず後で後悔することになる。
「宗谷岬駐車場」の車中泊事情
「宗谷岬」の無料駐車場には、50台はゆうに収容できそうな広さと、きれいなトイレがある。
左の白い建物がトイレで、個室にはなんとウォシュレットも完備されている。
またトイレは国道238号を挟んだ向かいにもあり、そちらも同じくウォシュレットがある。
路面はおおむねフラットで車中泊に向いているが、すぐ脇を国道238号が走っているため静かとは言い難い。
さすがに夜間は訪れる人もなさそうだが、周囲には民宿が何軒かあるので治安はそんなに悪くない。
実は筆者は2000年に初めて北海道をクルマで旅した際に、ガソリン切れのため、やむなくこの「宗谷岬駐車場」で車中泊をしたことがある。
だがその日は、深夜になってからフレンディーのポップアップルーフが吹っ飛ぶかと思うほど風が強くなり、安眠どころではなかった(笑)。
もしここで車中泊をするなら、風を想定した場所取りを心がけよう。
ちなみに宗谷岬のすぐ近くにはガソリンスタンドがある。
本当はここで給油して猿払の道の駅まで進むつもりだったのだが、このスタンドの閉店時間は驚くほど早く、開店は本当に遅かった。
それはたぶん…20年を経た今でも変わるまい(笑)。
もうひとつの車中泊スポット「宗谷岬公園 駐車場」
宗谷岬には写真の「宗谷展望台」の前の坂を上ったところに、「宗谷岬公園」の無料駐車場があり、そちらにもウォシュレットのあるトイレが用意されている。
「宗谷岬公園」の駐車場。全体に傾斜はあるものの、国道から奥まっているぶん静かに過ごせる。
稚内公園のトイレ。
稚内公園から宗谷岬を眺めると、なだらかなカーブを描く海岸線であることがよくわかる。
丘の上にはその見晴らしの良さを利用して設けられた、明治時代の「旧海軍望楼」が残されている。
日露戦争当時は、ここから当時最強といわれたロシアのバルチック艦隊が、宗谷海峡、津軽海峡、東シナ海のどこを通過し、ウラジオストクに集結するかを見張っていたというだけに、司馬遼太郎の「坂の上の雲」を知る人なら、ぜひ訪れてみたい場所のひとつだと思う。
また大正12年に、宮沢賢治が稚内港から樺太へわたる連絡線で作詩したとされる、文語詩「宗谷(二)」の一節が刻まれた「宮沢賢治文学碑」など、ほかにも幾つかの石碑が並んでいる。
展望所を兼ねたゲストハウス・アルメニアは、地元で育てる宗谷黒牛を始め、オホーツク海でとれた新鮮な魚介類を味わうことができるレストランで、宗谷岬の名産品などの土産も扱っている。
「宗谷岬駐車場」最寄りの入浴施設と周辺買物施設
お風呂は歩いて行ける「最北の宿」が日帰り入浴を受け付けている。一時期休止をしていたようだが、2017年7月には再開していた。
2021年7月 更新
念の為、営業状況を確かめに行ってみたところ、現時点では休館中で営業していなかった。
たぶんコロナの影響だと思うのだが…
民宿 最北の宿
料金:大人500円
営業時間:15~20時
休館日:不定期
コンビニ
セイコーマートまで約10キロ。
スーパーマーケット
約7キロのところに「くみあいストア」がある。