この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅しかおい」は、併設している「神田日勝記念美術館」がダントツのお勧め!
「道の駅しかおい」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第19回
登録日/2003年8月8日
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2010.09.10
2020.08.03
2022.08.07
道の駅しかおい【目次】
「道の駅しかおい」のロケーション
「道の駅 しかおい」は、帯広を中心とする「十勝エリア」と、然別湖のある「東大雪エリア」、そして蕎麦で有名な新得から南富良野に通じる「狩勝峠」のいずれからも、まずまず近い場所にある。
とはいえ「十勝エリア」は、近年リニューアルされた道の駅が増えたことで、車中泊環境が飛躍的に向上しており、「道の駅 しかおい」にまで足を向ける旅人は少ない。
写真は2017年の移転リニューアルで大きく変わった「道の駅ぴあ21しほろ」。
「道の駅 しかおい」から約30キロ、クルマで30分ほどのところにある。
また然別湖には「道の駅うりまく」のほうが近い。
そこからなら道内でも屈指の秘湯「鹿の湯」までは、約21キロ・クルマで30分ほどで行くことが可能だ。
さらに道東自動車道の開通で、今は登りのきつい「狩勝峠」をトンネルで楽々と抜けられるようになったため、その存在感はかなり薄れていた。
そんな「道の駅 しかおい」に旅人を呼び戻したのは、2019年に放送された広瀬すず主演のNHK朝ドラ「なつぞら」だ。
「道の駅 しかおい」には、十勝で農業をやりながら絵画に取り組み続けたリアリストで、1970年に32歳という若さで病死した農民画家・神田日勝(かんだにっしょう)の記念美術館がある。
「なつぞら」では俳優の吉沢亮が、その神田日勝がモデルとされる「山田天陽」役を好演していた。
この「馬」と題された有名な絵は、制作中に病に倒れ、後ろ足が全く描かれないまま、結果的に彼の遺作となった作品だ。
ベニヤ板に直接ペインティングナイフで描くワイルドなタッチは、荒野だった十勝に入植し、そこで開拓民として人生を全うする中で培われた、神田日勝の心身にみなぎる力強さが伝わってくる。
以下の公式サイトにはその他の作品も掲載されているが、美術館で見る本物の作品からは、初期の「北の国から」と同じ”あの想い”が感じられた。
開拓民の書いた絵を開拓民が見て、納得しなければ意味がない…
神田日勝記念美術館 公式サイト
というようなわけで、特にドラマをご覧になられた方には、ぜひ、ここにも足を運んでほしいと思う。
少なくとも…
「道の駅おとふけ」にできた「なつぞらエリア」を見るよりも、鮮明にドラマのシーンが蘇ってくるに違いない(笑)。
神田日勝記念美術館
開館時間 : 午前10時~午後5時
休館日 : 毎週月曜日(*ご利用案内をご確認ください)
観覧料 : 一般 530円
中身に対してこの料金は、素晴らしく安いと感じた。
道の駅 しかおいの施設
まず、「道の駅 しかおい」の普通車173台を収容できる駐車場は、北海道の道の駅らしく広大かつフラットで、車中泊に支障はない。
ただそれは「道の駅 しかおい」の駐車場が、噴水やカリヨンがある「千の公園」と、「神田日勝記念美術館」の駐車場を兼ねていることと無関係ではないだろう。
「道の駅 しかおい」で車中泊に適しているのは、トイレに近い駅舎の前だ。
こちらが無人の情報コーナーを兼ねた24時間トイレ。
外観は古いが、中はちゃんとウォシュレットに改修済だ。
「道の駅 しかおい」の駅舎。
売店には十勝の道の駅らしく、たくさんの野菜が並んでいる。
十勝は酪農のイメージが強いかもしれないが、国内で最も進んだ畑作と酪農経営が行なわれていて、実は豆類、・じゃがいも・小麦といった多くの作物で全道一の生産高を誇っている。
またハンドメイドらしき雑貨類もよく揃っているので、見ていて楽しい。
ただきちんとした食堂はなく、飲食スペースはカフェだけのようだ。
周辺の新しい道の駅の品揃えと陳列技術が素晴らしいため、このあたりまで見てくると売り場の粗が見えて、さすがに購買意欲が失せてくる(笑)。
最新設備と比べるのは気の毒な話だが、利用者にすればそれは致し方のないことだ。
最後に。
「道の駅 しかおい」では、24時間トイレの前に飲料水が補給できる給水場が用意されているのがありがたい。
特に北海道では、水場があると自炊した鍋や皿を洗う車中泊旅行者の姿を多く見かけるのだが、残飯まで流すことなく、一度キッチンペーパーで拭き取った食器だけを洗うのであれば、地元の人たちだって目くじらを立てて咎めはしない。
しないで済むならそれが一番だが、長いクルマ旅ではなかなかそうはいかない。ゆえに「節操」というものを忘れなければそれでいい。
でないと、この給水場は単なる「お飾り」、それこそ税金の無駄遣いになってしまう。施設というのは「使ってナンボ」。
鹿追町の町長さんだって、聞けば必ずそう答えるはずだ(笑)。
現在の車中泊の世界には、車中泊の長旅をしたことのない人間の「机上の空論」が渦巻いている。
いい大人が自らができもしないことを、あたかも「当然のルール」が如く声高に叫ぶ姿は、現実を知る人間にとっては「みっともない」にもホドがある(笑)。
前述した神田日勝の、
開拓民の書いた絵を開拓民が見て、納得しなければ意味がない…
のと同じ話だ。
ただし「道の駅 しかおい」には、可燃ゴミはもちろん、ここの自動販売機で買って飲み終わった缶やペットボトルを捨てるゴミ箱すらない。
これを「不親切」と云わずして何というのか、筆者には別の言葉が浮かばない。
しかし幸いにも、可燃ゴミは前述した「道の駅ぴあ21しほろ」までキャリーし、そこで専用のゴミ袋を買えば引き取ってもらえる。
さらに空き缶やペットボトルは、専用の袋でなくても半透明の袋に分別して渡せば無料で済む。
もしゴミの廃棄を含めて、それ以上の快適を求めたいのなら、約40キロ・クルマで45分ほど離れたところにあって、ひとり1泊500円で車中泊ができる「上士幌航空公園キャンプ場」を利用するといい。
北海道は本州みたいに「道の駅」にかじりついたまま、長旅ができるほど甘くない。
ゆえにその時の状況に応じて、都合の合う車中泊スポットを使い分けることができると、旅の快適度は大きく変わる。
その時に、あなたの一番役に立つサイトといえば…
そりゃ~、間違いなくここだよ!(爆)。
「道の駅しかおい」の車中泊好適度
ゴミに対する対応
可燃ゴミ:なし
缶・ビン・ペットボトル:なし
【プロの寸評】
「道の駅 しかおい」には、早期のリニューアルを期待したい。
然別湖に近いのだから、得意のモンベルショップを引っ張ってくれば、十勝エリアの他の道の駅と十分張り合えると思う。
道の駅しかおい 公式サイト
「道の駅しかおい」の最寄りの温泉&買物施設
湯宿くったり温泉レイク・イン
※約17キロ・クルマで20分
☎0156-65-2141
おとな600円
12時~22時(受付最終21時)・無休
※冬季営業(12月~4月)15時~22時・月曜定休
コンビニ
セブンイレブンが向かいにある。
スーパーマーケット
約1.5キロのところに「フクハラ鹿追店」と「Aコープ鹿追店」がある。