この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅しほろ温泉」は、リーズナブルにモール温泉が利用できる道の駅
「道の駅しほろ温泉」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第22回
登録日/2006年8月10日
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2012.10.24
2013.07.30
2014.07.13
2017.07.08
2020.08.03
2022.07.29
道の駅しほろ温泉【目次】
「道の駅しほろ温泉」のロケーション
JR帯広駅から約40キロ・1時間。また道東自動車道の「本別インター」からは約40キロ・40分と、特別便利な場所にあるわけではないが、日帰り入浴ができる「しほろ温泉プラザ緑風」を併設しており、自慢のモール温泉を目当てにやってくる地元の利用客も多い。
北海道遺産にも選ばれているモール温泉は、世界でも珍しい純植物性の天然温泉で、長い年月をかけて堆積した植物が、黒炭に変化する過程で生じるフミン酸やフルボ酸などの有機酸を含んでいる。
肌への刺激が少なく、天然の保湿成分が化粧水の役目を果たしてくれることから女性に人気が高く、とりわけ「しほろ温泉の湯」は強い石鹸効果を持ってるため、湯上り後もスベスベ感が持続するという。
2020年にモール温泉のメッカとも呼べる十勝川温泉に、「道の駅 ガーデンスパ十勝川温泉」がオープンしたが、温泉は若い女性客向けの美容を強く意識したスパになっており、料金も1500円とそれなりだ。
そのため今でも、「しほろ温泉プラザ緑風」の温泉につかって、そのまま車中泊をしていく人は多い。
「しほろ温泉プラザ緑風」の入浴料金は大人500円だが、実は北海道情報誌の「Ho」には、毎月無料で入浴できるクーポン券がついてくる。
なお「Ho」は毎月25日発売で、コンビニに行けば売っている。
「道の駅しほろ温泉」の施設
「道の駅しほろ温泉」は、赤枠で囲まれたAの「しほろ温泉プラザ緑風」エリアと、黄枠で囲まれたBの「駐車公園・公衆トイレ」エリアに分かれており、車中泊旅行者はBを利用するのが”暗黙の了解”になっている。
両方あわせて「道の駅」である以上、それを強要されることはないと思うが、Bには24時間利用できるトイレがあるので、大半の利用客はそれを受け入れている。
結果としては、それが「いい意味での隔離」となり、人目を気にせずのびのびと過ごせる「道の駅しほろ温泉」の評判は、瞬く間に全国の車中泊旅行者の間に広まっていった。
ただしBの駐車場には、中央に傾斜がある。
駐車場の一番奥にある、24時間使える公衆トイレ。
以前はそれほど気にならなかったが、2022年になってもまだウォシュレットに改修されていないのは、さすがにどうかと思う。
トイレの中に貼られた注意書き。
これだけ立派な建物だと、雨の日にはこの中で野宿をするライダーやバックパッカーもいると思う。
だって、ここは北海道だもの(笑)。
「道の駅しほろ温泉」ではゴミの持ち帰りを推奨する一方で、早くから旅行者の可燃ゴミを有料で引き取ってくれていた。
2022年7月更新
かつて存在した北海道開発局が提唱してきた「エコステーション」は、2022年現在は既に消滅しており、今はゴミ回収が各道の駅の個別対応になっている。
電話で確認したところ、士幌町の管轄内にある「道の駅しほろ温泉」では、現在は30リットルの袋が100円。
缶とペットボトルは透明の袋(中が確認できればOK)に入れて渡せば1袋100円で引き取ってくれるとのこと。
ただ同じ行政区にある「道の駅 ぴあ21しほろ」では、45リットルの袋が120円。缶とペットボトルは透明の袋にいれて渡せば無料で引き取ってくれる。
ただ両者の缶とペットボトルの回収に違いがあるということは、たまたま「道の駅 ぴあ21しほろ」のスタッフが、お行儀のいい筆者に気を利かせてくれたのかもしれない(笑)。
Bの駐車場横にあるモール温泉の足湯。
今度は「しほろ温泉プラザ緑風」の中を紹介しよう。
写真は温泉の休憩室。
気さくに利用できるリーズナブルな食堂。温泉に加えてこの2つがあれば、雨の日でも問題なく過ごせる。
さらに裏庭には、無料パークゴルフ場まで備わっている。
ただ無料とはいえ、コースは狭く、北海道にしてはイマイチだ。
それでも、どう見たってここがシニア世代の車中泊旅行者に喜ばれないはずはない(笑)。
とりわけ2010年代中頃の人気ぶりはすざましく、日によっては「車中泊村」と呼びたくなるような光景が広がっていた。
だが、ここに長期滞在している車中泊旅行者の姿には、首をかしげたくなることも多かった。
カーテンだけ閉めたままで、スライドドアを開けっぱなしにしているハイエースはもちろん、中にはワイパーやサイドオーニングに、洗濯物をぶら下げているクルマも見かける。
もっといえば、ここでハスカップのジャムを作っていた旅人にも筆者は出会ったことがある(笑)。
そんなクルマが数台並べば、そこはもう「車中泊村」。迂闊に停めれば自分まで「村民」に見られかねない。
そのため2015年以降は、あまり近寄らないようにしていた。
幸い2017年にクルマで20分ほどのところに「道の駅ピア21しほろ」が移転オープンし、十勝エリアにもっと快適な車中泊スポットが誕生した。
以降、筆者は温泉は「道の駅しほろ温泉」、車中泊は「道の駅ピア21しほろ」と使い分けている。
それから5年が経過した2022年現在の「道の駅 しほろ温泉」。
車中泊旅行者が分散したことと、代替わりが進んだことで、以前ほどの賑わいはなくなっているようだが、相変わらず真っ昼間から動きそうにないクルマが駐車場には並んでいる。
別に彼らが悪いことをしているわけではないのだが、筆者はもう「道の駅 しほろ温泉」を、色眼鏡なしに見ることができなくなっている(笑)。
温泉には立ち寄っても、もうここで車中泊をする自分は想像できない。
「道の駅しほろ温泉」の車中泊好適度
ゴミに対する対応
可燃ゴミ:プラザ緑風の食堂にあり(かなり捨てづらい)
缶・ビン・ペットボトル:同上
これは2020年当時の情報になるが、パンやお菓子、あるいは空きペットボトルの1本くらいなら、温泉行く途中でここに捨てられるかもしれないが、それ以上となると「普通の神経の持ち主」には無理だと思う。
なので、車中泊好適度では「なし」という判断をしている。
「道の駅しほろ温泉」の温泉&周辺買い物施設
しほろ温泉プラザ緑風
大人500円
11時~23時(受付最終22時)
コンビニ
セイコーマートまで約10キロ
スーパーマーケット
Aコープ 士幌店 ASPOまで約12キロ