この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
オルカはクジラよりもエキサイティング!
礼文島に咲く高山植物と同じく、広い北海道でも初夏の知床でしか出会えない海の野生がオルカ(シャチ)だ。
肉食で海洋系食物連鎖の頂点に立つシャチは、ジャンプや頭部を海面に出して周囲を見渡すスパイホッピングといった活発な行動をとる習性があり、船上ウォッチングに適している。
また、シャチは好奇心旺盛で、興味を持ったものを近寄って確かめる習性がある。ただし食べる必要のないものを襲うことは少ないと考えられている。
人懐こさを見せるいっぽうで、その行動範囲は広い。
シャチは哺乳類最速とも云われる泳ぎの達人で、餌を求めて1日に100キロ以上移動することが確認されており、ここではロシアと日本の国境を何度も出入りしている。そのため、いつも近くで見られるとは限らない。
オスは単独で生活するが、メスと子供たちは群れで暮らす。背びれの根元にある灰色のサドルパッチは一頭ごとに違っており、個体識別時の基準になるそうだ。
この日は両方近くで見ることができて、ラッキーだった。
この時期に見られるもうひとつの名物がミズナキドリ。
本当にすごいのは鳥の数ではなくその捕食シーンで、まるでミサイルのように海に飛び込み、水中で小魚を捕まえる。わかりやすく云うと海のカワセミだ。
筆者がそれを初めて見たのは、たしかNHKのBS番組「ワイルドライフ」の「アリューシャンマジック クジラと海鳥 驚異の大集結」だったと記憶しているが、残念ながらこの日は期待の捕食シーンは見られなかった。
ホエール・ウォッチング
羅臼のホエール・ウォッチングの「花形」はマッコウクジラ。ハクジラの中では最大で、成長したオスには体長20メートルを越す個体もいる。
ただし遭遇確率が高まるのは7月後半からで、シャチと同時観察できる可能性は極めて低い。
予約方法と留意点
クルージングは数社が行っているが、筆者は国内だけでなく海外の撮影チームもガイドし、テレビでもすっかりお馴染みになった長谷川船長のエバーグリーン号がお気に入り。これまで5度お世話になったが、まったく撮れなかったのは1度しかない。
予約はメールでも電話でもできるが、お勧めなのは「道の駅知床らうす」のすぐ裏手にある、「知床ネイチャークルーズ」の事務所まで直接足を運ぶことだ。
カフェと雑貨店を兼ねており、スタッフからも直近の状況を聞くことができる。
なお、この時期に羅臼を訪れる団体ツアーは、オルカ・ウォッチングをオプションに入れていることが多いので空席情報の確認は早めにしよう。
知床ネイチャークルーズ
☎0153-87-4001 7時~21時・不定休
料金・出港スケジュール等の詳細はオフィシャルサイトで確認を。