この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

いつか、酪農の町・中標津のランドマークになるかも?
京都に住んでいたことのある筆者は、初めてこの牛文字を見た時、当然のように「五山送り火」の大文字を思い出していた。
「ほほう、さすがは牧場だらけの中標津。夏は牛の字を燃やすのか…」
だが、事実は違っていた(笑)。
実はこの牛文字は、地元の農家・酪農ヘルパー・修理屋・運転手・JA職員などで組織する『五郎’S会』のメンバーが提案したものだという。
『五郎’S会』とは、ドラマ「北の国から」の主人公、黒板五郎の生き様をこよなく愛する人たちの集まりらしい。雑誌に載せるような話でもないので、ウラまでは取っていないが、それはそれで面白い(笑)。
聞くところでは、モアン山に牛を描いた当時は、牛乳の消費低迷が取り沙汰され、消費拡大のために「牛乳」という文字も提案されたそうだが、いろいろあって現在は「牛」の一文字で定着しているとのこと。
そのいっぽうでは「大事な景観資源を損なっている」という声もあるらしいが、北海道中の主たる景勝地を知る筆者は、「現状維持」に断然賛成だ(笑)。
この「牛文字」を見た人の脳裏に、中標津という町の名前が刻まれ、そこから「養老牛温泉」「開陽台」「神の子池」などを思い出してくれることになれば、それはもう見事な芸術作品、十分にアートの使命を果たしている。
田舎にありがちな、ワケのわからない銅像を町長の名前入りで建てるよりも、ずっとずっとずっと素晴らしい!
ちなみに中標津は、健さん主演の映画の舞台にもなっている。
「遥かなる山の呼び声(1980年)」は、道東の中標津町と別海町の牧場を舞台にした映画で、監督は山田洋次、キャストに高倉健、倍賞美津子、そして子役には「北の国から」の純くんこと吉岡秀隆(子役)が出演している。
さらに「遥かなる山の呼び声」は、2018年に阿部寛と常盤貴子を起用したNHKのBSプレミアムドラマでリバイバルされた。
そんな中標津を知らないようじゃ、北海道で「リピーター」を気取るのは時期尚早かも(笑)。
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