この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」は、プロの観光ガイドが経営する、私営の車中泊スポット
RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり【目次】
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」 最寄りの温泉と買い物施設
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」 アクセスマップ
「RVパーク」は個人経営がおもしろい
ご承知の人も多いと思うが、RVパークは日本RV協会が推進している「滞在可能な車中泊専用施設」の総称で、2018年7月現在、全国で104件がその認定を受けている。
ただその経営母体は様々で、道の駅やホテル・温泉館の駐車場の一画を割いているところがあるかと思えば、純然たる個人経営のところもある。
つまりキャンプ場と同じく、設備やサービスにはバラツキがあるわけだ。
筆者はこれまで10件ほどの施設を利用してきたが、おもしろいと感じたのは個人経営のRVパークだ。
往々にしてオーナーは自らキャンピングカーを保有し、クルマ旅と車中泊を楽しんでいる。ゆえに何が必要かを熟知しており、施設の実用性が高くなる。
そんな個人経営のRVパークが、筆者が注目している道東の「清里町」にできたというので、さっそく足を運んできた。
オーナーの菅野又(すがのまた)氏は室蘭出身の「道内移住者」で、豊かな自然に恵まれたこの清里の地が気に入り、それまでの職業とは全くかけ離れた「ネイチャーガイド」として、今の別荘を拠点に「人生の楽園」をスタートさせた。
現在は「NPO法人きよさと観光協会」に所属し、「さくらの滝」や「神の子池」など周辺の観光地をガイドするほか、世界遺産の知床にも精通している。
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」のロケーション
小清水の「清」の字と、斜里の「里」の字をもらって独立したという「清里町」は、知床半島の「うとろ」から1時間ほどのところにある北海道有数のジャガイモ産地で、農道から見える風景は「プチ美瑛」。
晴れていれば斜里岳の美しい稜線が見える、のどかな町だ。
近くで有名なのは、サクラマスが豪快に跳ねる「さくらの滝」。
その「さくらの滝」から10キロほど離れた別荘地の一画に、「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」はある。
ただ、清里町には観光客の宿泊施設がないに等しく、素晴らしい観光資源を有しながらも、団体ツアーの「通過点」にならざるを得ない事情を抱えている。
実は筆者は、以前からそのことを注視していた。宿泊施設がないということは、インバウンドとは無縁。
言い換えれば、ここは車中泊の旅人とライダーの天国で、かつて富良野や知床がそうであったように、「古き良き北海道の佇まい」が今も感じられる貴重なエリアだ。
その意味からするとRVパークの開設は理に適っており、明らかに需要はあるだろう。
そもそも、RVパークを利用するには「くるま旅クラブ」の会員になり、年会費を払わなければならない。
さらにそのRVパークの中でも、最高位にランクされる宿泊料金を取る以上は、この2つにはない明確なセールスポイントの訴求が必要だ。
なお施設名には「知床」がつくが、「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」から、知床半島の玄関「道の駅 うとろ・シリエトク」までは、約64キロ・クルマで1時間15分ほどはかかる。
オーナーにガイドを依頼する場合は別として、自らここを起点に知床観光をするには、少し距離がありすぎる。
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」の施設
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」のサイトは、雑木林を菅野又氏本人が扱い慣れないチェーンソーを持って伐採し、ユンボで根っこを掘り起こして整地したという。
かように「北の国から的手作り感」があちこちに見られるため、雰囲気はいい。
だが、設備を道の駅や町営の高規格オートキャンプ場と比較すれば、到底かなわないのは紛れもない事実だ。
ただ私営の私設は公共とは違って、一気に快適化は進まない。写真はオープンして1年ほどの時なので、数年経てばもっと充実したものになると思う。
例えば、炊事用のシンクがココにはあるが、このままではタンクに給水できても、食器や野菜を洗うことはできない。
横にテーブルを加えるだけで、炊事場は格段に使いやすくなり、車内にキッチンを持たない車中泊カーにも優しい施設になれるはずだ。
RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり オフィシャルサイト
「RVパーク 知床清里町ウエネウサルみどり」 最寄りの温泉と買い物施設
緑の湯
☎0152-27-5511
おとな450円
10時~21時・年末年始定休
地元の小さなローカルスーパー「みどりマート・オオタ」まで550メートル。