この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

本当に見るべきは、魚よりも「おんねゆ」に湧く「魔法の温泉水」のチカラ
「山の水族館」は、2012年(平成24年)7月に道の駅「おんねゆ温泉」内に移転・新規オープンした水族館で、テーマは「北の大地の水族館」。
滝つぼを下から見上げる日本初の「滝つぼの水槽」や、冬になると寒さで河川が凍りつくさまを再現する世界初の「四季の水槽」、あるいは40匹もの巨大なイトウが群遊する「イトウの大水槽」といった画期的な展示水槽が売りで、その他にも、ピラニアやピラクルーが泳ぐ熱帯淡水魚の水槽、ドクターフィッシュの体験水槽、ザリガニやカメと触れ合えるタッチングコーナーなどがある。
しかしこの水族館をプロデュースした中村元氏の考えを知ると、ピラニアやドクターフィッシュの必要性には違和感が残る。
彼は水族館のリニューアル検討会で、講師として次のように語ったそうだ。
①公共の水族館は建物にお金を掛け失敗していることが多い。
②水族館のお客は建物を見に来るのではなく、展示水槽を見る。どう見せるか展示の工夫が大切だ。
③水族館は大人が8割。動物園の大人5:子ども5とは違う。大人が魅力を感じない水族館は失敗する。
④水族館には魚よりも「水塊(すいかい)」に癒やしを求めて来る。
全くそのとおりだと思う。
そしてこれらの考えはどこかで体験したような気がしてきた…
そうだ、これはまさに旭山動物園の水族館バージョンではないか!

おそらく「山の水族館」はまだまだ大きく変わっていく可能性が高いと思う。
その意味では、水族館のカリスマプロデューサーで、マスコミにも強い中村元氏の存在は極めて大きい。
どんどんよい方面の実績を積み上げ、もっとコンセプトの地域特性が明確でユニークな展示水槽を増やしてほしいものだ。
さて。筆者がその糸口になると感じたのは、おんねゆ温泉郷の冷泉(通称「魔法の温泉水」)を用いた施設で育てた熱帯魚と水道水で育てた熱帯魚の対比展示だ。
これを見れば、素人目にも明らかに前者のほうが育ちがよく、カラダも大きいことがはっきり分かる。
この温泉水については、ウィキペディアの文面をそのまま転記しよう。
読売新聞は2006年に、「硫黄分を含まない温泉を引き込んだ水槽の“保養効果”は抜群」だと報じ、魚の食欲も増進していると伝えている。
2012年10月のSTV(札幌テレビ)では、ピラルクーが通常の2-3倍のスピードで成長することを伝え、温泉水の効果は調査中と報道している。 <中略>
さらに、2013年の毎日新聞は、温泉との因果関係は不明としながらも、「昔から、おんねゆ温泉はけがややけどに効くとされ、戦前には旧日本軍が湯治場として使った」と報じ、魚の肌つやがよくなることから、人間の肌つやにも利くと考え、科学的に証明されることを期待した。
同年の産経新聞は、魚が美しく成長が早いことについて、温根湯(おんねゆ)の温泉水は酸化還元電位の数値がとても高いための影響と報道している。
もしかすると、山の水族館の「本当の値打ち」はこちらではないのか…
ならばもっと料金を下げるか、無料開放して魔法の温泉水、すなわち「おんねゆ」の温泉効能を、より多くの人に訴求すべきではないのだろうか。
正直なところ、個人客に対する入場料金670円は、これまで説明した裏事情を考慮しても安くは感じない。
これでは割引特典がつく団体宿泊客を意識した設定と云わざるをえない。また年間パスポートの料金はあまりにも極端すぎる。
自然教育を意図した児童優遇政策かもしれないが、遠方から来てくれたマイカーやバイクの旅人への配慮も加味する必要があるだろう。
山の水族館 オフィシャルサイト
入館料
おとな670円(510円)、中学生440円(370円)・小学生300円(200円)
※( )内は団体割引価格、20名より
年間パスポート
一般1,000円、中学生660円、小学生450円
営業時間
8時30分~17時(受付最終16時40分)
休館日
夏季:4月8日~4月14日
冬季:12月26日~1月1日
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