この記事には車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、旅先で思い浮かんだ出来事を本音のままに綴っています。

北海道を観る目に、深さと広がりが加算される。
北海道の旅を、よりいっそう面白くしてくれるのは「ドラマと映画」【目次】
きっかけは「北の国から」
意外かもしれないが、2000年に初めて北海道に行った時は、ドラマ「北の国から」さえ全て見ていたわけではなかった。
それでも富良野に行けば、麓郷の森や石の家に足を運び、人並みに分かったような顔をして記念写真を撮ってくる。
観光とは、えてしてそんなものだ(笑)。
翌2001年、「2002遺言」の放映が発表されたこともあり、家内とふたりで6月に「北の国から」本編24話とシリーズ全話を見た。そして翌月に北海道へ…
昨年とは驚くほど富良野の町が違って見えた。

それ以降、筆者は北海道に関連する映画やドラマを積極的に観るようなった。
中高年が見る北海道が舞台のドラマといえば、「朝ドラ」

出典:文春オンライン
これまでに、北海道を舞台に制作されたNHKの朝の連続テレビ小説を調べてみると、1967年に放送された日色ともゑがヒロイン役の「旅路」、1973年の高橋洋子がヒロインを演じた「北の家族」、さらに1999年の倍賞千恵子がヒロイン役の「すずらん」、そして2014年の「マッサン」、2019年の「なつぞら」と続く。
その中で、とりわけ大阪人の筆者に強い印象を残しているのが、サントリーで国産初の本格的なウイスキーづくりに成功し、後にニッカウヰスキーを立ち上げた、竹鶴政孝の人生を描いた「マッサン」だ。


さて。最新作の「なつぞら」は、帯広の牧場を舞台に描かれたドラマだったが、この作品は脚本家、大森寿美男氏のオリジナル作品とのこと。

出典:北海道新得町観光協会
モデルにあたるアニメーターは存在するようだが、北海道にはいわゆるゆかりの地はなく、ロケ地もほとんど分からない。
その中で、今でも誰もが手にすることができる「ゆかりのもの」として紹介できるのが、ドラマに登場する小畑雪之助(安田顕)が経営する「雪月」のモデルと噂される、帯広発祥の有名な菓子メーカー「六花亭」だ。
ドラマには、柴田牧場で作ったバターを使って、雪之助と息子の雪次郎が創り出した「バター煎餅」というお菓子が登場するのだが、どうやらそれは「六花亭」の「マルセイバタービスケット」をモデルにしているらしい。
ちなみに「マルセイバタービスケット」は今でも買うことができるが、人気があって有名なのは、写真の「マルセイバターサンド」のほうだろう。
北海道が舞台の大作映画といえば、高倉健と吉永小百合
さて、北海道を舞台に撮影された大作映画といえば、どうしてもこのふたりに行き着くと思う。
高倉健と吉永小百合は、それぞれ多くの主演映画を持つ身だが、実は青函トンネル工事を題材にした「海峡」(1982年)という作品で、共演を果たしている。
両者の主演作品には、撮影当時を偲ぶ建物やセットを今でも残しているロケ地が多いので、映画を観てから訪ねると感慨深いものがある。
写真は健さん主演の「鉄道員(ぽっぽや)」のロケ地になった「幾寅駅」。「道の駅南ふらの」の近くにあり、映画では「幌舞駅」の名前で登場する。

映画は高倉健の無骨さ・不器用さと、小林稔侍のなんとも「ほっこら」した友情関係が印象的で、北の国からの「純君」こと吉岡秀隆も出演していた。
なお、この作品では健さんの妻役は大竹しのぶ。倍賞千恵子はたぶん、NHKの連ドラ「すずらん」でスケジュールが合わなかったのでは…(笑)。
高倉健の主な主演映画とロケ地
「網走番外地」シリーズ(1965年~)
実際にあった囚人脱走計画事件がモデルになった作品で、冬の網走市が舞台。
幸福の黄色いハンカチ(1977年 )
偶然であった3人組が、釧路、網走、阿寒湖、帯広をドライブし、夕張でフィナーレ迎える感動の名作。
あまりにも有名なので、もしまだ見たことがないという人は下のサイトであらすじをご覧いただきたいのだが、個人的には刑期を終えた健さんがシャバに出て、初めてラーメンを食べた時の「食べ方」が強烈にカッコよく思え、ちょっとマネをしてみたくなった(笑)。
演技だけで「久しぶりに食べるラーメンへの期待感とうまさ」を伝えられる高倉健は、やっぱりすごい俳優さんだ。
また、役者としてまだ駆け出しだった武田鉄矢が乗っていた真っ赤なファミリも、夕張の「幸福の黄色いハンカチ想い出ひろば」に展示されている。
遥かなる山の呼び声(1980年)
道東の四季折々の映像も楽しめる、中標津町、別海町の牧場を舞台にした映画。
駅 STATION(1981年)
「駅 STATION」は、増毛町や雄冬岬などを舞台に、1981年に制作された高倉健主演の映画。
ストーリーは射撃の五輪選手でもある警察官と、3人の女性の切なく衝撃的な出会いと別れを、3話のオムニバス形式で描いたもので、倉本聰が高倉健のためにオリジナルの脚本を用意している。
スクリーンでは、倍賞千恵子の艶っぽい演技にご注目。
幸せの黄色いハンカチ当時からワンランクアップしたその色気は、世の殿方をすっかり虜にしてしまった。

居酒屋兆治(1983年)
函館市の金森レンガ倉庫でロケ。
南極物語(1983年)

吉永小百合の主な主演映画とロケ地
いっぽう、吉永小百合の主演映画は平成に撮られた「北の3部作」が有名だ。
北の零年(2005年)
中でも筆者の印象が強いのは、その最初に作品にあたる 「北の零年」(2005年、監督:行定勲)だ。この映画は渡辺謙と吉永小百合が共演した話題作だったので、劇場にも足を運んでいる。
舞台はサラブレッドのふるさと静内。「北の零年」は史実に基づいており、静内には淡路島から北海道静内へ移住を命じられた徳島藩・稲田家の人々が暮らした遺構が残されている。
北のカナリアたち(2012年)

北の桜守(きたのさくらもり)(2012年)
戦中から戦後にかけて、北の大地で懸命に生きた親子の約30年の軌跡を描いた物語。吉永小百合にとって記念すべき120作品目の映画で、舞台は網走。
アンドモア
最後に、北海道に行くならこの映画は見ておいても良いのでは… という作品をご紹介。どれも有名なので、レンタル店に置かれているはずだ。





