この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

ニッポンのウヰスキーの「黒歴史」が分かる。
ニッカウヰスキー余市蒸溜所【目次】
一番の見どころは、ニッカウヰスキーの足跡を飾る「ウイスキー博物館」
イントロダクション
ドラマや映画のロケ地というのはどこでもそうだが、この「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」も、NHK連続TV小説「マッサン」を見ていた人とそうでない人では、見方も見どころも大きく違ってくると思う。
ちなみに、2014年9月から2015年3月まで放送された「マッサン」の平均視聴率は21.1%、つまり日本人の5人に1人以上が見ていたことになる。
放送直後の来場者数は従来の3倍以上に増えたといい、2015年には余市の町中に、こんな情報施設が設けられていた。
かくのごとく… 筆者も毎日見ていた「マッサン」の話を書き出すと長くなる。
ゆえに、それは後ほど詳しく触れるとしよう(笑)。
とりあえずここでは、「マッサン」を知らない人にもよくわかるよう、ザクッと「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」の見どころを紹介したい。
創業者・竹鶴政孝とニッカウヰスキー
さて。ニッカウヰスキーはもちろん、あのサントリーの第1号ウイスキー「白札」を生み出した男…
それがこれから紹介する竹鶴政孝(1894年 – 1979年)だ。
広島県竹原市の造り酒屋に生まれた竹鶴政孝(ドラマ「マッサン」では亀山政春)は、学生時代にウイスキーに興味を抱き、就職先の摂津酒造の援助を受けてスコットランドに単身留学する。
そこで本格的なスコッチウイスキーの製造技術を習得して帰国するが、その際に後に妻となるリタ(ドラマ「マッサン」ではエリー)を同伴した。
しかし帰国後、政孝は摂津酒造の大株主から、莫大な投資を要するウイスキー事業への参入を却下されて職を失う。
しかしこのタイミングで、サントリーの創業者・鳥井信治郎に請われ、同社でウイスキーの製造に尽力する。
そして京都にある現在の山崎蒸溜所を立ち上げ、待望の国産ウイスキー第1号「白札」(現在のホワイトの初代)を世に送り出すことに成功した。
しかし政孝が目指したスモーキーフレーバーの強い本物志向のウイスキーは、日本人の口に合わず、販売不振と今後のウイスキーつくりの方向性の違いを理由に、両者は袂を分かつことになる。
帰国から16年…
完全熟成の本格的なスコッチウイスキーづくりに執念を燃やす政孝は、サントリー時代から注目していた北海道の余市に、ついに独自の蒸溜所を作ることを決断する。
それが紆余曲折の末に誕生する、ニッカウヰスキーの生い立ちだ。
この話を知って行くのと、知らずに行くのは大違い。
これで少しは、日本のウイスキーの歴史に興味を抱いていただけただろうか(笑)。
一番の見どころは、ニッカウヰスキーの足跡を飾る「ウイスキー博物館」
まず、「ニッカウヰスキー余市蒸溜所」は無料で見学することができる。
30分おきにガイドによる案内が行われているので、時間があるならそのツアーに参加するほうがいい。
セルフでまわる場合は、「マッサン」を見ていなければ、巨大な単式蒸溜器(ポットスチル)が並ぶ「蒸溜棟」と、ウイスキーを熟成させる「貯蔵庫」には、さほど面白みを感じないと思う。その場合は素通りしてもかまわない(笑)。
筆者のイチオシは、竹鶴政孝とウイスキーの歴史がよく分かる「ニッカ館」と「ウイスキー館」から構成される「ウイスキー博物館」だ。
ここに、ニッカウヰスキーの第一号が展示されている。
また我々世代には昔懐かしい、往年のCMポスターも見ることができる。
いっぽう、「ウイスキー館」の中にあるバーカウンター「ウイスキー倶楽部」には、 世界のウイスキーがずらりと並び、一部は有料で試飲することができる。

こちらは、政孝とリタの二人が暮らした「旧竹鶴邸」。
玄関とリビングの一部が開放されているが、ここも「マッサン」を見ていない人にとっては、どっちでもいいところだと思う。
無料で試飲ができるのは「ニッカ館」の2F
お楽しみの無料試飲コーナーは「ニッカ会館」の2Fにある。
ここで飲めるのは「シングルモルト余市(ノンエイジ)」「スーパーニッカ」「アップルワイン」の3種類で、ひとり各1杯まで受け取れる。
我家のテイスティング担当は家内。悲しいことに筆者には毎回アップルジュースが渡される(笑)。
まあ、余市もスーパーニッカも知っているお酒なので、それほど悲しいとは思わないけど…
最後に。


ニッカウヰスキー余市蒸溜所 オフィシャルサイト
北海道余市郡余市町黒川町7-6
☎0135-23-3131
【営業時間】9時~17時・無休(年末年始除く)
【入場料】無料
【駐車場】無料駐車場あり
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