この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
神威岬は北海道の「三大絶景岬」のひとつだが、出かける前の確認がオススメ。
筆者の経験上、北海道で「絶景」と呼べる岬は、日高の襟裳岬、礼文島のスコトン岬、そしてこの神威岬の3つだと思う。
ただし襟裳岬とスコトン岬は、本州と連絡しているフェリーターミナルから遠く、そう簡単には訪ねられない。
それゆえ、札幌から約100キロ・高速道路を使えば2時間ほどで行くことができる神威岬に、ご覧のような絶景を期待して訪れる旅人は多いのだが、期待通りの感動を得るのはそう簡単ではない(笑)。
少なくてもこれから記すふたつの留意点をアタマに入れてから、出発するようにしよう。
神威岬には夜間立ち入りできない。
これは2000年に、初めて筆者が神威岬を訪ねた時の失敗談でもあるのだが、国道229号から神威岬に向かう道路の入口にはゲートがあり、現在は午前8時から午後7時までしか通行することができなくなっている。
つまり空いている早朝に観光しようとしても通れない。後述するが、神威岬はむしろ陽が高く昇ってから行くほうがいい。
岬の先端に通じる道は、クローズされることがある。
神威岬には2つの「絶景」がある。
ひとつは積丹ブルーの海に突き出た岬そのもので、尾根に通る細い道が、日本離れした「最果て感」を醸し出している。
そしてもうひとつは…
すれ違うのにもひと苦労する尾根道を歩き、神威岬の先端まで到達した者だけに見ることが許される「神威岩」の絶景だ。
といっても、神威岩が待つ先端までは「チャレンカの小道」にある「女人禁制の門」から30分ほど(笑)。
ゆえにかつては、健脚でなくてもこの2つの絶景を楽しめるのが「普通」だった。
だが2012年に異変が起こる。
大雨による土砂崩れで、写真奥の遊歩道が通行不能になってしまった。
連続で北海道に来るようになった2008年以降、筆者はだいたい3年に1度のペースで神威岬を訪れているのだが、遊歩道の修復が完了し、再び先端まで行けるようになったのは2015年の夏。なんと復旧までに3年の歳月が過ぎていた。
土砂崩れ以降、管理当局では岬の遊歩道の通行には極めて敏感になっており、定期点検の日はもちろん、風が強い日もクローズになる。
写真は2018年、もちろん遊歩道は健在だが、運の悪い日を選んでしまった。
ゆえにダブルの感動を得たい人は、行く前に電話で「その日は先端まで行けるかどうか」を確認するほうが確実だと思う。
問い合わせ先:積丹観光協会 ☎ 0135-44-3715
先に「神威岬はむしろ陽が高く昇ってから行くほうがいい」と書いたのは、これもあってのこと。ホームページに観光協会の営業時間の記載は見当たらなかったが、通常は9時か10時からだろう(笑)。
なお現在は、土砂崩れで先端の神威岩が見られなくなった間に、駐車場から別ルートでアクセスできる展望所が設けられている。
この写真はこの展望台から望遠レンズで撮影した。レンズは200ミリもあれば十分だが、撮れるアングルはひとつしかない。
最後に。神威岬は風が強いだけでなく冷たい日が多い。またガスが出れば歩いているうちに細かな霧で髪の毛が濡れてしまうので、念の為ウインドブレーカーと帽子は持参しよう。
2021年7月2日更新
この日は、神威岬の「旬の絶景」を狙って足を運んだ。
季節を問わず、晴れれば驚くほど美しい積丹ブルーの海が見られる神威岬だが、初夏にはブルーとグリンの世界に華やかなイエローが加わる。
その正体はユリ科の「エゾカンゾウ」。
北海道では各地の原生花園や礼文島、本州なら尾瀬や霧ヶ峰でも見られるが、積丹ブルーを背景に咲く神威岬の景観は格別だ。
この日は風もなく絶好の撮影日和に恵まれたが、さすがに汗ばむ陽気でゴール後にソフトクリームを所望。
しゃこたんブルーソフトクリーム。たいへんおいしゅうございました。