この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
周辺の道北内陸部は、シニア世代の北海道リピーターが好んで滞在する避暑地
名寄・ライン【目次】
「名寄・ライン」の概要
道北といえば、空と海と大地がひとつになった、長い海岸線を走るスケールの大きな「オロロン・ライン」や「オホーツク・ライン」のイメージが強い。
だがその「背骨」にあたる山間部には、旭川と稚内を結ぶ最短ルートを築くための、高規格道路化が着々と進んでいる。
2021年7月時点では、道南の大沼公園ICから札幌を経由して道北に至る、有料の「道央自動車道」が「士別剣淵IC」まで通じており、そこから先は旭川を起点に士別・名寄を経由して稚内市に至る、総延長約250キロに及ぶ国道40号が、部分的にバイパス化されている。
とはいえ、観光よりも産業道路としての色彩が強いため、この道を利用しているのは、物資を輸送する大型トラックと地元住民が大半だ。
たが最近は、それに混じってキャンピングカーの姿も目立つようになってきた。
彼らが目指しているのは、シニア世代の北海道リピーター達が集う「森林公園びふかアイランド」のオートキャンプ場だ。
「名寄・ライン」の観光事情
道北の内陸部は、南に広大な農場と森林、そして北には牧場と殺伐としたサロベツ原野が広がる「未開の大地」が大半で、わざわざクルマから降りてまで見に行きたくなるようなところは限られている。
そこへもってきて、日本海側を走る「オロロン・ライン」と「オホーツク・ライン」に通じる道の数も少ない。
ゆえにルートをよく考えて行動しないと、時間と燃料の無駄遣いになりやすい。
「名寄・ライン」のお勧め観光スポット
サロベツ湿原
1万年ほど前のサロベツ一帯は巨大な汽水湖で、 そこに生えた植物が枯れて、分解されないまま泥炭となって積み重なり、 6千年以上の年月をかけてできたのが今のサロベツ湿原と云われている。
幌加内
もうひとつのお勧めは、入り組んだ入江が連続し、以前は幻とも呼ばれた「イトウ」が潜む朱鞠内湖(しゅまりないこ)だ。
現在は養殖に成功しているようだが、朱鞠内湖にはネイティブのイトウの大物を狙ってやってくる釣り人が、今でもたくさんやってくる。
ただ朱鞠内湖を堪能するなら、湖畔からその景観が味わえる、前述の「朱鞠内湖キャンプ場」に行くほうが断然いい。
名寄ラインの主な見どころ・食べどころ
「名寄・ライン」の車中泊事情
このエリアで長期滞在を目論むのなら、前述したとおり、炊事やゴミ処理の環境が整ったオートキャンプ場が一番だ。
車中泊旅行者の「長期滞在」を支えているのは、必要な生活物資が調達できるコンビニとスーパー、そして100円ショップに「ユニクロ」や「しまむら」のようなアパレル量販店と、ホームセンターや家電専門店、時にはクルマの修理工場、さらには総合病院が必要という場合もある。
しかし広い道北でそれらが揃うのは、旭川・名寄・稚内の3つの町しかない。
その3つの町を結ぶ「名寄・ライン」沿いには道の駅も点在しており、「旅の宿」として使う場合は重宝する。