この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」をリライトしたものです。
函館から恵山経由で大沼。そして富良野へ。
今年も北海道の旅が始まった。
8年連続14回目。高校野球じゃないが、2000年に家族で初めて北の大地を訪れて以来、これが筆者の北海道における車中泊旅のキャリアになる。
今年の北海道取材の主たる目的は、2016年6月に発売されるカーネル夏号の巻頭特集の取材。テーマは「大間から行く道南の旅」だ。
見どころの少ない道南だけにこだわるよりも、青森から下北半島と函館周辺をセットにした「一味違うクルマ旅」をガイドしたいと思っている。
北海道に入ったのは16日の夕方。
函館からすぐに恵山に回り、翌朝早く水無海浜温泉を撮影した。
水無海浜温泉は海岸の波打岸に湧き出ている無料の温泉で、潮の満干潮によって入れる時間が変わる。筆者は過去に2度ここを訪ねているのだが、いずれも曇天だったことから、「三度目の正直」に挑んだ。
こちらは駒ケ岳を抱く大沼公園。船に乗らずとも、少し歩けばこんな素晴らしい光景を目にすることができる。
さて。大沼からは富良野に向かったのだが、どうにも天気がすぐれない(笑)。
ようやく晴間が覗いた富良野からパッチワークの路に出て、昔懐かしい名木スポットを周った。写真はマイルドセブンの丘。もう40年近く前に放映されたテレビCMの舞台だ。
ただ、この日の美瑛は空も白んでしまうほどの猛暑日。
ここではいつも思うのだが、こんなアップダウンだらけの丘でレンタサイクルビジネスをするなんて、観光客をバカにしている…
普段はあまり好感を持てない隣国の人々だが、この日ばかりはさすがに同情というより、同じ日本人として「罪悪感」を感じた。
美瑛は自転車ではなく、バイクかクルマで巡る場所だ。
ちなみに、美瑛の名木は近づいて撮るより少し離れて写す方が絵になりやすい。
この暑い国のDNAを持つ彼は、SNSにどんなケンとメリーの木をアップロードしょうとしているのだろうか…
そんな想像をしたくなる写真が筆者は好きだ。
ところで、今年は富良野では「新たな発見」があった。
上富良野の日の出公園オートキャンプ場に、新たに「車中泊専用サイト」ができており、この日はそこを利用することに。
料金はこれまでのフリーサイトの駐車場と同じひとり500円だが、キャブコンでもゆったり停められるスペースが確保されている。
この日は偶然にも5年前にお会いした長野県のご夫婦とバッタリ再会。また北海道コースガイドにたくさん付箋を貼りこんでくれている、熱心な読者にも会うことができ、楽しい晩餐になった。
本当はここで3日ほど滞在して、原稿を書くつもりでいたが、日中のあまりの暑さにギブアップ。大阪と変わらない湿気には閉口した。そこで比較的カラッとしているオホーツク側に出ることにする。