この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に北海道での車中泊旅行における不便さを、旅行者目線から解説するという観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

持ち帰りたくても、北海道での長旅では誰も持ち帰れない燃えるゴミや資源ゴミを、あなたたちはいったいどうしろというのですか?
北海道・車中泊旅行における、ゴミの削減方法と処理方法【目次】
今や車中泊・クルマ旅における「ゴミの削減方法」なんて、誰もが知ってる常識
誰もできないことを、さも当然のごとく云う「車中泊業界」と、その声に流されつつある「世論」
そもそも、ゴミは「出るもの」or「出すもの」?
自宅でも旅先でも、人は飲まず食わずでは生きていけない。
ツアーのような「上げ膳据え膳旅行」なら、余計なことをせずに食堂やレストランで出される食事だけを食べていれば、悩ましいゴミから開放されるかもしれないが、それでもガムやキャンディーひとつ食べるだけで、もう手元にはその包み紙が残ってしまう… それが日本という国だ。
ということは…
ゴミはもはや自然に出るもの。
すなわち今のゴミは、糞尿と同じ「生きていく上での必須排泄物」と考えるべきで、どこかに「公衆トイレ」のようなところがないと、誰だって「外」では困ってしまうことになる。
この子供にでも分かる話が、今の北海道では現実に起きている。
回収しない側にも、きっとそれなりの理屈はあるのだろう。
しかし人は往々にして「やりたくないこと」を理由づけするのがうまいし、ましてや役人はその達人だ(笑)。
だが日本には、こういう格言があるのをご存知だろう。
為せば成る 為さねば成らぬ何事も 成らぬは人の為さぬなりけり
ケネディー大統領も尊敬する上杉鷹山が、再建に成功した当時の米沢藩よりは、政府・政治家先生と太いパイプを持ち、東京からお金を引き出してこれる、今の北海道のほうがきっとはるかに恵まれているはず…
どうよ、大差で北海道知事に再選した鈴木直道くん(笑)。
この実態を見るかぎり、”令和の北海道”は少なくても”平成の北海道”より、その価値を引き上げているとは到底思えない。
車中泊旅行時の「ゴミの削減方法」なんて、今や旅人なら誰もが知っている常識。
道路や生け垣に、ゴミをポイ捨てしてはいけない。
そんなことを知らない日本人がいないのと同じで、今どきキャンプや車中泊をしている人間で、「ゴミの削減方法」を何一つ知らない人がいるなんて思うのは、ちょっと人をバカにしている話だ(笑)。
それを新聞やテレビで説教臭く報道されたんじゃ~、うっとうしくてたまらない。
ちなみに筆者だって、このくらいのことは知っているし、実践もしている。
車中泊旅行中にゴミを削減する基本の「キ」
トレーや包装紙は、買った店で処分する。
だが、これを混み合っている店内のサッカー台でやるのは根性がいる(笑)。
なので一度クルマに持ち帰って解体し、100均で手に入るジッパー付きのビニール袋に入れ替えるのだが、そうすると今度はトレーなどのゴミを店に返しに行きにくくなる。
そこでちょっとお金を出して、その店で使っている店名入りの袋を1枚一緒に買っておき、ゴミをそれにまとめて入れて、店内に持ち込んでお返しする。
以前はエコバックを使っていたが、今は下手すりゃ万引き犯と間違えられる(笑)。
だが「わたしゃ、ここで買い物しましたよ」と分かるようにしておけば、わずか3円か5円でその心配は軽減される。
なお、それを見せる相手は店員よりも一般の買い物客のほうがいい。
この人たちを敵に回すか味方に付けるかは、大きな違いだ。
できれば「ああ、旅人さんは大変なんやなぁ」くらいの同情が呼べるくらいが望ましいだろう(笑)。
さらに、北海道では用心が必要だ。
既に道の駅が近くにあるセブンイレブンやセイコーマートでは、店内にもゴミ箱を置いていない店があるため、ローカルなスーパーにも、店内にゴミ箱を置いていない店がある。
要は、道の駅に捨てられない → 近くのコンビニ → 近くのスーパー と汚染されていくわけだから、それは理に適った”悪い連鎖”の典型だ。
なので筆者は最初に、ゴミ箱があるかどうかを確認してから買い物をするのだが、普通はサッカー台の下にあるので、そこになければ「ない」と思っていい。
確実にあるのは、イオンとその系列のマックスバリュだ。
イオングループは全国統一のオペレーションで運営されているので、それに従ってサッカー台の下にはゴミ箱が置いてある。
そこまで~?!
と思うかもしれないが、今やこれが「北海道・車中泊クルマ旅のベテラン」と呼べばれる人の間では、常識になりつつある。
買った店で捨てられないゴミは、小さく粉砕してかさばらなくする。
その典型はペットボトルだ。
2ℓも500mlも同じ値段で買える麦茶を、捨てやすいからと小分けで買うのは、よほどの善人か世間知らずだろう(笑)。
だが2ℓのペットボトルは車内でかさばるうえに、これがそのままポイ!できるゴミ箱はそうそうない。
だったらジョキジョキと切り刻みましょう、大胆に(笑)。
またカップ麺などは、切り目を入れて小さくたたみ、ガムテープで留めればこのようにコンパクトにできる。
残ったスープの捨て方は?
もちろん答えは用意している(笑)。
この時のために、1本は500mlのペットボトルを買っておこう。具がないスープだけならトイレに流しても叱られはしない。
捨てられないなら、捨てられるところまでキャリーする。
北海道を旅する人にとっての「ゴミはお持ち帰りください」は、「自宅まで」という意味ではないのは明白だ。
なのでこの表示は、「お金は落としてくれても構わないが、ゴミはここに落とさずに出て行きなさい。行き先はしらんけど」
と解釈するしかなく、感想は「なんちゅー横柄な」になる(笑)。
日本語がわかるインバウンドの観光客なら、「あっそ」でポイ!だ。
キャンプでは「ゴミは空になったクーラーボックスに入れて持ち帰る」と習うものだが、長旅では明日も明後日も使うクーラーボックスに入れるわけにはいかない。
となると、誰だって匂いが気になるゴミを袋のまま車内に置きたくないし、置けてもせいぜい2日分くらいが限度だろう。
そうなるともう、車外に積んでキャリーをするしかない。
筆者は20年前からそうできるよう、クルマのバックドアにサイクルキャリアを搭載している。
もちろんそれは今でも同じだが、近頃はちゃんとした使い方をするようになった。
北海道に来始めた当時はまだしも、それから20年経って環境は良くなるどころか、悪化して行くのだから
そりゃ、バカバカしくもなるでしょう!
かつては、リアラダーにゴミ箱を縛り付けたキャンピングカーもよく見かけたが、今ではそれもほとんど見ない。
きっと似たような気分だと思う(笑)。
我々は本来ならしなくていい、「余計な手間と投資」を強いられているわけで、サイクルキャリアの価格を見てみなさいよ。
取付料を入れたら、一等クラスの部屋で北海道を往復できるくらいの額になる。
誰もできないことを、さも当然のごとく云う「車中泊業界」と、その声に流されつつある「世論」
いやいや、そこまで云うか~(笑)。
書いた本人は一般常識のつもりだろうが、北海道を旅する人間には「書いている方が非常識」としか思えない。
そこまで云うなら、北海道で「実際にやって手本をマニュアル化」して見せろよ。
クズ扱いしている人間よりもできなかったら、あんたはクズにもなれないことになるんだぜ。その覚悟がホントにあるのか確かめてみたいものだ。
ちなみに「RVパークとキャンプ場を利用する」は、答えにならない。
圧倒的多数の車中泊の旅人が北海道で求めているのは、「公衆トイレ」と同じ位置づけになる「ゴミの廃棄場所」であって、誰でも無料で24時間、手元に溜まった「燃えるゴミ」と「燃えないゴミ」が捨てられる場所だ。
本州ではそれを「道の駅」が務めるから困らないが、北海道は例外なのかい?
では聞こう。
国土交通省が「北海道の道の駅だけには例外を認める」なんて云うと思う?
もしそんなことになったら、頑張っている本州の道の駅が黙っちゃいない。
それに「北海道のようにゴミを一切回収しない道の駅」がスタンダードになったら、さきほどの記事はそれを「後押し」していることになる。
車中泊の業界さん、あなたたちは誰に飯を食わせてもらっているわけ?
ちなみにここまで書く限り、筆者はそれなりの根拠を調べてまわっている。
抜本的な解決法は、実に簡単
業界がやるべきことをひとことで云うと、
北海道の道の駅すべてに、「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」の設置を「義務付けられるよう働きかける」
付け加えるとしたら、
通常はゴミ袋の購入で支払われている税金が未納にならないよう、全国共通の「道の駅用指定ゴミ袋」を国交省に発行してもらうよう働きかける。
が正解だ。
税金がどこに落ちるのかは国民の預かり知らぬことで、そうすれば、もう「不法投棄」にはなることはない。
本来「音頭取り」が得意なマスコミは、こういう流れを作るのに適している。
既に何万人も車中泊をしている人がいるのだから、そういう人ばかりを選んだ集計結果を発表すれば、それが正論になるなんてのは常道手段でしょ。
たまには、いつもやられている反対をやってくれよ(笑)。
筆者は北海道では、もはや「お願いですからゴミ箱を置いてください」の段階は終わったと受け止めている。
24時間使えるトイレ・24時間使える駐車場に、24時間使えるゴミ箱を、道の駅の認可規定に盛り込んでしまえば、もはや駅長の判断なんぞ関係なくなる。
それに既に置いてくれている道の駅には、なんの迷惑もかからない。
夢物語と思うかもしれないが、これが自民党の衆議院選挙時のマニュフェストに記載されれば、いとも簡単に「正夢」になる。
無職同様のおっさん国民である筆者と違って、トヨタやパナソニックも関係している「業界」なんだから、コネクションのひとつやふたつはあるだろう。
いずれにしても…
このくらいのスケールで考えない限り、筆者が天国から下界を見る頃になっても、きっと北海道は「相変わらずやなぁ」のままだと思う(笑)。
道の駅の有料ゴミ回収は、本来は違法かも?
最後はこの話で締めくくろう。
北海道の道の駅の中には、行政地域専用の家庭用ゴミ袋を購入すれば、営業時間中に引き取ってくれるところがある。
今の北海道では確かにありがたいし、旅行者の中にはそれを全部に拡大してほしいとまで云う人たちもいる。
だが…
これは絶対とまでは云い切れないが、少なくともグレーであることは間違いない。
なぜなら「袋」が違う。
本来、事業者である道の駅が使わなければならないのは、「事業用」と明記されたこういう袋で、コンビニも使用している。
それは上の「上士幌町」のゴミ袋と比べて見ればよくわかる。
以下の記事に詳しく書いているが、道の駅は「事業系ゴミ」の対象施設なので、本来は「家庭ゴミ」を回収日に出すことはできないはずだ。
だがそこには「抜け道」があって、道の駅は事業ゴミ系の決められた方法で処分しなければならないが、「お客様のゴミまで回収までしなければならない」とはなっていない。
つまり「自分たちが出したものだけ適切に処分すれば、違法にはならない」とも解釈できるわけだ。
だが中には、そんな屁理屈が通用しないと分かっている道の駅があり、その板挟みの中の「苦肉の策」として、このような対応が出てきたわけだ。
この件に関して、我々旅人は感謝はしても、「肯定」するわけにはいかない。
いかなる事情があったとしても、商業施設がお客様からゴミを有償で回収することは違法。極端に云えば脱税行為になる。
道の駅は商業施設の事業所であって、工場とは違う。
ゆえにそこで回収されるゴミは、誰が捨てたものであってもすべては事業系ゴミとみなされ、
また商業施設は社会通念上、お客様のゴミを回収する義務がある。
確認したことはないが、おそらく政府もこれに近い見解を示すだろう。
そうしなければ、日本中の店舗からゴミ箱が消え、町や道路は置き捨て・ポイ捨てのルツボと化してしまう。
結論として
どうあがいても、道の駅は「公衆ゴミステーション」という定めから逃れることはできない。
その意味では、北海道はその引導を渡される「恥ずべき立役者」になってしまえばいいとさえ思うほどだ。
大事なことは、酷い目に合わされている本州からの旅人が、怒りをぶつけることで、それもできれば「大きな塊」であるほうがいい。
今の時代に、署名活動なんて要らない。
若者と同様、SNSに実際に迷惑したことを書き流すだけで、それがいつか功を奏するに違いない。
日本全国 車中泊旅行ガイド
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