この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「道の駅 かみしほろ」は2020年にオープンした、東大雪のタウシュベツ川橋梁にもっとも近い道の駅
「道の駅 かみしほろ」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第52回
登録日/2020年3月13日
筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2020.08.03
2022.07.31
道の駅 かみしほろ【目次】
「道の駅 かみしほろ」のロケーション
「道の駅 かみしほろ」は、十勝エリアの北部に位置する道の駅で、JR帯広駅から約37キロ・クルマで50分ほどのところにある。
クルマ旅なので、音更(おとふけ)や中札内(なかさつない)などの十勝エリア中南部にある町の観光地を、ひととおり見てから移動して来るのは可能だが、帯広を核とする十勝エリアは、事実上釧路を抜いて道東最大の都市圏となっており、新旧合わせた見どころの数は極めて多い。
そのため、できれば小刻みに車中泊スポットを移動しながら観光するほうがいい。
十勝エリアでは最低でも2泊はしたいものだが、利便性で云うと、2022年に移転リニューアル・オープンしたばかりの「道の駅おとふけ なつぞらのふる里」が、車中泊スポットの筆頭格といえるだろう。
そしてその観点に立つと、「道の駅 かみしほろ」は隣接する東大雪エリアの玄関と捉えたほうが、利用価値が鮮明になる。
「道の駅 かみしほろ」当局にもその意向はあるようで、ここは十勝エリアにある他のどの道の駅より、アウトドア色が強いイメージと商品構成を打ち出し、明確に差別化を図っている。
さて。
東大雪といえば、今はもう朽ち果ててしまうのを待つしかない「タウシュベツ川橋梁」をご存知の方が多いと思う。
「タウシュベツ川橋梁」は、北海道遺産に選定された糠平湖畔にある「旧国鉄士幌線コンクリートアーチ橋梁群」のひとつだ。
ただし、この写真が撮れる場所まで行くのは簡単じゃない。
そこで見学するための方法と、詳しい行き方を以下の記事にまとめている。
かつてはゲートの鍵を「十勝西部森林管理署東大雪支署」まで出向いて借りなければならなかったが、2022年4月からは「道の駅かみしほろ」のインフォメーションで借りられるようになっている。
なお「そこまでは…」という人には、「タウシュベツ川橋梁」を遠目から眺められる展望台が、道の駅から約30キロ・クルマで30分ほどのところにある。
この「タウシュベツ展望台」は、誰でもいつでも自由に行くことができるし、駐車場もあって何より無料なのがいい。
さらにそこまでの道中には「東大雪自然館」があり、現地の詳しい情報を得ることができる。
なお「タウシュベツ川橋梁」が見られるのは、例年5月から8月頃までとされており、9月には完全に水没して見られなくなるので、事前の情報確認は欠かせない。
また東大雪へのドライブ帰りにお勧めなのが、ナイタイ牧場の奥に設けられたナイタイテラスだ。
晴れていれば中高年は誰もがここで、松山千春の「大空と大地の中で」を思わず口ずさんでしまうかもしれない(爆)。
「大空と大地の中で」を知らない人は、ちょっと走って「道の駅 あしょろ銀河ホール21」まで行くと、大音量でその名曲を聞くことができる(笑)。
冗談はさておき、
「道の駅かみしほろ」からは午前中に「タウシュベツ展望台」まで出かけ、その帰りにナイタイテラスに寄って、ランチを食べてくるくらいのスケジュールがちょうどいいと思う。
最後は期間限定のお楽しみだが、「道の駅 かみしほろ」から約4キロのところにある「上士幌航空公園」では、毎年8月中旬に「北海道バルーンフェスティバル」が開催される。
なお会場はキャンプ場を兼ねているので、東京ナイズされた「道の駅 かみしほろ」がいまひとつ肌に合わないという人は、こちらでのんびり過ごすのも悪くないと思う。料金はひとり500円で、ゴミはすべて無料で捨てられる。
「道の駅 かみしほろ」の施設
先に「東京ナイズ」という言葉を使ったが… それにしても、
流行のアウトドアをダシに、見事なまでに”東京色”に染められちまったもんだな。
というのが筆者の「道の駅 かみしほろ」に対する第一印象だった。
コンサルにすれば、「してやったり」というところなのだろう。
しかし筆者には、この演出は「知床」にしか見えない。
地元の人にすれば、なおさらそうなんじゃないの?
上士幌で出会えるのが牛さんだということは、半日もいれば分かる。
しかもその「香水」が、風に乗って道の駅まで漂ってくる日があるから厄介だ。
筆者はそれが苦手で、ここでの車中泊には細心の注意を払っている。施設がどうのこうの前に生理的な問題なので、こればっかりはどうしようもない(笑)。
もっとも…
この道の駅は「旅の目的地になる道の駅」というコンセンプトを掲げており、道の駅を「旅の宿」として利用している筆者のスタイルとは真逆。
ゆえに尻の座りが悪いのは当然だ(笑)。
ところで。
先に見せたCHUMS(チャムス)や、今では押しも押されもせぬ高級ブランドとなったスノーピークのキャンピングギアを、ここまで揃えられる店は都会にもそうそうは見当たらないだろう。
シロウトは「他にないから売れるだろう」と思うかもしれないが、もし筆者がこれらを買うとしたら、きちんとした商品知識を持つアウトドア専門店のスタッフに接客を求めたい。
それを考えたら、モンベルでもスノーピークでもかまわないので、彼らに「インショップ」として、スタッフごと出店してもらえば良かった。
そうすればブームが去ったら「お疲れ生」で済むはずだが、直営で品揃えをしてしまったら、もうそうはいかないだろう。
深読みするなら、このロケーションだけに、彼らからインショップの出店を断られたのかもしれない…とさえ感じる。
というわけで
道の駅の役割を拡大解釈して手を広げたのはいいが、最後までコンサルが面倒を見てくれるのかどうか…
そこにも注目をしたいものだ。
筆者は若い頃に大手流通企業の中堅グループ会社で、10年近くバイヤーという職業についていた。なのであながち的外れな話ではないと思う(笑)。
実は「道の駅 かみしほろ」から約10キロ・クルマで10分ほどのところに、2017年にこうなることを予見してコンサルのプランを却下し、地元の主婦をリーダーに知恵を結集して作り上げた「道の駅 ぴあ21しほろ」がある。
すぐ近くなので、その「等身大の道の駅」との違いを、実際に見て感じてきていただきたい。
どちらが”十勝の道の駅”らしいのか…
正直、筆者のように金もロクに落とさない旅人が語るのはおこがましいが、少なくとも東京独自のマーケティング法から弾き出された答えが、「道の駅 かみしほろ」にあることは確かだ。
案の定、2021年版「北海道じゃらん」の「道の駅 満足度ランキング」では初登場ながら総合1位に輝いている。
評価されているのは、個性的なテイクアウトコーナーとフードコートに加えて、本格的な和牛ステーキが食せるレストランまでが揃う、充実のグルメにあるようだ。
ただそれは分かり切った話。若い観光客の望みは、それ一択しかない(笑)。
なので物販のことは他のサイトにおまかせして、ここでは我々にとって大事な車中泊の話に移ろう。
全部で普通車265台もの収容台数を誇る「道の駅 かみしほろ」の駐車場だが、車中泊には駅舎の前に広がる舗装された第1駐車場が便利だ。
24時間トイレは写真の左側にあり、もちろん中にはウォシュレットが完備している。
ただし第1駐車場は、全体的に緩やかなうねりがあるため、多かれ少なかれの傾斜はある。そのため明るい時間に一度、車中泊のしやすそうな場所を下見しておくほうがいいかもしれない。
「道の駅 かみしほろ」の車中泊がらみで特筆すべき点は、このキャンピングカー専用エリアだ。電源があるわけではないが、予約は不要、誰でも無料で自由に使える。
設置された意図はわからないが、本来の駐車場とは独立しており、道の駅から少し離れた場所にあるので、営業時間中でもゆっくり休める。
ただトイレはないので、車中泊時には第1駐車場に移動する人が多い。
しかし…
キャンピングカーでなくても、同じように過ごしたい車中泊旅行者はいるはずだ。
その中の真面目な旅行者は、このネーミングのせいで入庫することをためらわざるを得ない。
なぜ、そんなにキャンピングカーにだけ寛大なんだ?
筆者の調べでは、ざっくり云うと車中泊旅行者のうちキャブコン・バスコンはあわせて約15%、ハイエースは全サイズ合わせて同じく15%、ワゴンタイプの軽自動車が20%、残るミニバン・ワゴン・SUVなどの普通車が50%くらいの構成だ。
コンサルは売上に関係しないところでは、マーケティングをしないのか…
「道の駅 かみしほろ」の車中泊好適度
ゴミに対する対応
可燃ゴミ:フードコート横にあり
缶・ビン・ペットボトル:同上
パンやお菓子の袋やブリックパックのジュースといった少々の可燃ゴミと、空き缶くらいは捨てられると思うが、自炊で発生する生ゴミなどは、ショップのレジにて販売している専用のゴミ袋100円(10リットル)を買い求めれば、営業時間中に引き取ってもらえる。
【プロの寸評】
不必要なまでに垢抜けさせ過ぎ。
ここまでしてしまうと、逆に「田舎者が見えを張っているように見えるだけ」だし、もともとあった人間味が薄れて、居心地もいまひとつになる(笑)。ここはまさに東京人が創り出した「机上の北海道」でしかない。
そのため車中泊をするなら「道の駅ぴあ21しほろ」のほうが落ち着けるし、ゴミもはるかに捨てやすい。
道の駅 かみしほろ オフィシャルサイト
「道の駅 かみしほろ」 最寄りの温泉と買い物施設
ふれあいプラザ浴場
道の駅から約1キロ・クルマで3分
☎01564-2-4126
おとな300円
月~金:14:00~22:00
土日祝:13:00~22:00
第1・第3月曜定休
コンビニ
セブンイレブンまで900メートル
スーパーマーケット
約9キロのところに「Aコープ 士幌店 ASPO」がある
「道の駅 かみしほろ」のアクセスマップ
十勝 車中泊旅行ガイド
道東セカンドルート 車中泊旅行ガイド
道東 車中泊旅行ガイド


日本全国 車中泊旅行ガイド
クルマ旅のための車中泊入門サイト
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