「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
標高2410メートルの日本一高所にある天然温泉
「みくりが池温泉」【目次】
「みくりが池温泉」の歴史
広大な雪原にポツンと建ってみえる「みくりが池温泉」が、1軒宿として開業したのは1957年(昭和32年)。
後に「世紀の大事業」と呼ばれる黒部ダムの建設工事が始まった翌年にあたる。
当初は工事関係者や登山客相手の完全な山小屋だったそうだが、1964年に立山高原バスが室堂まで乗り入れ、1971年には立山黒部アルペンルートが全線開通したことで、観光客も多く訪れるようになったという。
現在の建物になり、旅館的要素を併せ持つようになったのは1982年。以降は春のアルペンルートの再開にあわせて営業を開始している。
その意味では、立山黒部アルペンルートの誕生から現在までを見守り続ける「生き証人」とも呼べる存在だ。
もしかすると石原裕次郎も、「黒部の太陽」のロケの合間にここのお湯で疲れを癒やしたことがあるかもしれない(笑)。
「みくりが池温泉」の源泉
さて。「みくりが池温泉」の源泉は、開業当初から近くに湧く地獄谷の温泉を引湯している。
硫黄の香りが漂う白濁のお湯は、無加水・無加温の完全なる源泉かけ流しで、泉質はph2.28の単純酸性泉だ。
源泉温度は45℃だが、引湯の途中で「いい湯加減」になる。なお男女ともに浴室は内湯のみで、露天風呂はない。
「みくりが池温泉」では食事もお勧め
「みくりが池温泉」の食堂は、富山のソウルフードが充実しているだけでなく、味も良くてお勧めだ。
筆者は白エビのからあげとブラックラーメンを注文したが、どちらも十分満足できるものだった。
立山駅で下山後に車中泊をするなら、室堂散策の帰りに、ここで入湯するのも悪くないと思う。
ただし硫黄成分が入っているので繊維が弱るため、お気に入りのTシャツなどは着ないほうがいい。
営業期間:4月中旬~11月下旬のアルペンルート開通期間
☎076-463-1441
日帰り入浴受付時間:9時~16時
入浴料金:大人700円
シャンプー・リンスあり
宿泊・食事も可能
立山黒部アルペンルート 車中泊旅行ガイド
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