この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「新穂高ロープウェイ」は、上高地からは見られない北アルプス随一の難所が見える。
新穂高ロープウェイは、全長3,200メートル、標高差1,039メートルのスケールを誇り、第1ロープウェイは全面ガラス張り、第2ロープウェイは2階建ての大型ゴンドラで北アルプスの空中散歩が楽しめる。
だがそんな説明だけで、600円の駐車場料金と大人往復2,900円を支払うなんて、筆者には到底できない(笑)。
このロープウェイの本当の楽しさを分かるには、少なくてもそこから見える山のことを少しは知る必要がありそうだ。
とっておきの新穂高ロープウェイの楽しみ方【目次】
ジャンダルムが見られる
まず新穂高ロープウェイの終点「西穂高口駅」の屋上には、標高2,156メートルを誇る展望台がある。
吉永小百合が着物姿でソフトバンクのCMを撮影した場所といえば、ピンと来る人もあるはずだ。
ここからは槍ヶ岳がよく見える。山頂の左下にある小さな尖りが、「アルペン踊りを踊りましょ」に登場する「小槍」。
その槍ヶ岳は、上高地からは見られない。
いっぽうこちらは西穂高岳のピーク。
夕方近い時間だったが、秋でもここまで山がスカッと見えるのは珍しい。
西穂高岳、槍ヶ岳、笠ヶ岳といった北アルプスの蒼々たる山が、まさに360度の大パノラマで眺望できるこの展望台は、「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」にも二つ星として掲載されているが、ここでもっとも注目したいのがジャンダルムだ。
槍ヶ岳には何とか登ったが、ジャンダルムは高所恐怖症の筆者の限界の遥か彼方を行く道だ(笑)。
しかも、普通は西穂高岳か奥穂高岳を目指さない限り、お目にかかることさえできない。
なぜそんなジャンダルムを紹介したかというと、この千石園地からは西穂高岳を経て奥穂高岳、北穂高岳、さらに槍ヶ岳へと続く北アルプスの縦走ルートが伸びている。
ジャンダルムはその最大の難所とも云われているが、勇気があればここから一本道で行ける(爆)。
上高地に降りて行ける
それは冗談として。
面白いことに、この標高2000メートルを超える山の道は、梓川に沿って歩く大正池から上高地への平坦な道とほぼ平行して走っている。
ゆえにマップのように、途中にある西穂山荘から上高地に下ることが可能だ。
この道であれば、さして登山経験がなくても降りられる。
カヌーのように友人と同伴し、1台を平湯温泉の「あかんだな駐車場」に置き、もう1台を新穂高ロープウェイの有料駐車場に置けば、普通ではできない上高地の散策が日帰りでも楽しめる。
もちろんハイキングの装備では危険。きちんとした登山用のシューズと服装は欠かせない。
新穂高ロープウェイへのアクセス
ハイシーズンは、第一ロープウェイが発着する「新穂高温泉駅」周辺は、路上駐車もあって駐車場に行き着くまでに大混雑が予想される。
そのため、その手前の「野の山山荘」に通じる道をUターンするように登り、第二ロープウェイの「しらかば平駅」にある有料駐車場を利用するほうが無難だ。
中間のしらかば平駅には、ビジターセンターと露天風呂、さらには足湯もある。