この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

名古屋近郊で、天然温泉が隣接する車中泊スポット
この伊勢湾岸道のハイウェイオアシスは、我家(大阪府吹田市)から富士山方面に行く途中にあることから、オープン以来何度も車中泊をしてきた「勝手知ったる」ねぐらのひとつだ。
要不要は別として(笑)、写真のデラックストイレ(Ladys)や観覧車など、開業当時から様々な話題を振りまいてきた。
ただし、自慢のデラックストイレは夜10時に施錠される。
つまりハイウェイオアシスの駐車場で車中泊をすると、夜中に目が覚めてトイレに行きたくなれば、かなり離れた本来のパーキングエリアのトイレまで歩かなければならない。
それが面倒なので、筆者はいったんハイウェイオアシス側の駐車場にクルマを停めて日帰り温泉に行き、戻ったらクルマでパーキングエリアまで移動して車中泊をしている。
またGWのように混雑する日は、ここから歩いて温泉まで行くこともある。
次は、日帰り温泉「かきつばた」について。
建物はハイウェイオアシスの駐車場から見えないところに建っている。ハイウェイオアシスの奥にあるファミリーマートを超えると、写真の温泉に続く写真の階段があり、そこまで行って初めて施設を確認することができる。
つまり、事前に日帰り温泉があることを知らなければ、まずわからない(笑)。
料金は890円と「スーパー銭湯」にしてはやや高め。と感じる人は多いと思うが、ここは天然温泉で、露天風呂はかけ流しになっている。
特筆すべきは、そのお湯が「弱アルカリ性の高張性」であることだ。
ちなみに「弱アルカリ性」とは、俗に云う美肌の湯で、「高張性」は温泉が人の細胞の浸透圧より高いことを意味している。そのため、高張性温泉につかると温泉成分が細胞膜を通して入り込みやすくなり、ミネラルなどの成分が濃縮されるとともに、汗などの水分が出ていきやすくなる。
すなわち、老廃物や毒素などが排出され、自然のデトックス 効果が期待されるというわけだ。
ただし、いいことばかりではない。カラダから汗などの水分が出ていきやすいということは、長湯をすれば「脱水症状」に陥りやすいということ。露天風呂にはその注意書きがちゃんとしてあった。
それ以外にも、今時のスーパー銭湯には必ずと云っていいほど備えられている、「高濃度炭酸泉」「サウナ」「ほぐし湯」なども揃っている。
都会にある「極楽湯」などのチェーン店と比べれば、コスパはけして悪くない。もちろん「立地」と「温泉」という観点からすればの話である。
それ以外に伝えておきたい話といえば、名古屋めし(笑)。ハイウェイオアシス側のフードコートでは、一番奥の店でこの味噌カツが食べられる。
それ以上に筆者を喜ばせてくれたのは、パーキングエリアの売店に売っている「カクキュー」の八丁味噌。
愛知県人でたぶんカクキューを知らない人はいない。
創業は、江戸幕府3代将軍徳川家光の時代に当たる正保年間。「八丁味噌」の由来は、岡崎城から西に八丁行ったところの、三河国額田郡八帖村でカクキューが創業したことに由来するというから驚きだ。
1892年(明治25年)から宮内省への味噌納入を開始し、1901年(明治34年)に宮内省御用達を拝命するなど、その歴史は輝かしい。
もちろん、筆者はここで味噌と好物の「味噌煮込みうどん」を仕込み、これから伊豆へと向かう(笑)。
今回は10日間の長丁場なので、どこかの晩飯になるだろう。
なお、ここは名古屋城や熱田神宮、あるいは常滑といった愛知県の人気観光スポットに行くのも便利な場所にある。
2020年6月 更新
いっぽうこちらは一般道からアクセスできるハイウェイオアシス側の駐車場。駐車場は数ヶ所あるが、ここは温泉に一番近い第三駐車場だ。
名古屋の都心部には道の駅がないため、ここは唯一とも云える無料の車中泊スポットなのだが、残念なことに夜間は閉鎖される。
締め出されはしないようだが、気が引けるのは致し方あるまい。ただ2021年までにはスマートインターを併設する計画があり、既に建設工事は始まっているようなので、完成すれば余計な気遣いは無用になるだろう。