この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「ポークロ資料館」は、あっ!と驚くレアな歴史グッズが揃う雑貨屋
ポート黒田は「雛のつるし飾りまつり」で知られる伊豆稲取にある小さな地元物産店で、写真の三嶋神社へ続く交差点の一画にある。
店内には江戸時代の雛人形が展示されているため、東伊豆町観光協会でも紹介されているのだが、博物館のような説明書きがしてあるわけでもなく、隅っこのほうにさりげなく陳列されており、その面白さとか希少さは、店主から説明を聞いて初めてわかるといった感じだ。
とりあえず許可をもらってその雛飾りを撮影したあと、店の奥を見て「目が点」になった!。
あまりにも無造作な展示なので、興味がない人の目に留まりそうにもないのだが(笑)、「クロパトキン」の写真を見つけた瞬間、そこがお宝の山であることに気がついた。
クロパトキンはロシア満州軍総司令官として、日露戦争の奉天会戦(ほうてんかいせん)で日本軍と戦った人物である。
筆者は「坂の上の雲」を何度も見たので、その名前が記憶に残っていたのだが、その横にはあろうことか、バルチック艦隊を撃破した日本海海戦の詳細な資料が並んでいた。
たまたま筆者は伊豆に行く少し前の1月29日に放送された、BS朝日の「歴天 ~日本の歴史を変えた天気~ 日本海海戦」という番組を見ていた。
その中で東郷英樹の作戦がイラスト入りで紹介されていたのだが、まさにそれと同じものがここにある。
というか、情報の出どころがここというわけなのだろう。
その話を店主にすると、満面の笑顔となり、どんどん他のお宝も見せてくれた。
もちろん、もう雛飾りのことなど、どーでも良くなり、あっという間にマニアックで濃密な1時間が過ぎ去った(大笑)。
だが残念なことに、筆者は隣にある金目鯛料理専門店「なぶらとと」に予約を入れていたため、ここでタイムアウト。
そんな事情で、実際に目にできたのは「ほんの一部」だけだが、聞けば黒田家の先祖は、あの高田屋嘉兵衛とともに海運業を営んでいたという。
なるほどね~。
店を出て、こんな張り紙がしてあったことに初めて気づいた。
もっとも、ショーウインドウの下の方に奥ゆかしく貼られているため、ほとんどの人は気がつかないと思う(笑)。
またそこに記載されているのは、「ポークロ資料館」が所持する品の中でも「たいしたことのないものリスト」でしかない。
ケネディ大統領が唄うレコード、火縄銃原寸図面、大塩平八郎の乱古文書など、ここには博物館にあってもおかしくないようなお宝がまだまだある。
しかも見学は無料だ。
ポート黒田 ☎0557-95-2208
駐車場はないが、前が漁港なのでクルマは適当に停められる。