「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。

「富士宮やきそば」の強みは、どこで食べても変わらないということ。
「富士宮やきそば」の特徴
「富士宮やきそば」といえば、2006年から始まったB級グルメの人気ナンバーワンを決める「B-1グランプリ」を思い起こす人も多いと思う。
なぜなら「富士宮やきそば」は、その第1回と第2回において優勝、さらに第3回でも特別賞に輝いた「不滅のB級グルメ」なのだ。
その特徴は上記の通り。
●富士宮やきそば専用の麺を使用する。
●油かす(富士宮では「肉かす」と呼ぶ)を使用する。
●仕上げにいわしの削り粉をふりかける。
今では登録商標となっている「富士宮やきそば」は、そのクオリティーを維持するために、市内の製麺会社(マルモ食品、曽我めん、叶屋、木下製麺所)と仕入れ契約を交わす、調理法も規定に従う、商標使用料を支払うなど、その名称を使用して販売するための細かな条件が定められている。
しかし、規格の統一には功罪がある。
メリットは、「富士宮やきそば」の看板を掲げる店であれば、どこで食べてもほぼ同じ味が食べられるという安心感だ。
それは並んでまで地元のうまい飯を食べようとまでは思わない中高年にとって、まことにありがたい話だと思う。
ゆえに理屈からすれば、それは屋台にもインスタントにも当てはまる。
いっぽうデメリットは、「さぬきうどん」のように「調理法の異なる店の食べ歩き」ができないという弊害。
なにより食べ歩きをモットーとする「フードライター」泣かせの料理だということだろう(笑)。
でも、違わないからいいんじゃないかな。
味が想像できるうえに、安くて早くてうまい。
しかも、この麺は「一度食べたら忘れられない」ほどモッチリしていて、富士宮に行けば何度でも食べたくなる。
まさに旅人冥利に尽きる「ご馳走」だ。
富士宮市内にある、「富士宮やきそば」のおいしい店
そこで富士宮市内の「静岡県富士山世界遺産センター」と「富士山本宮浅間大社」のすぐ近くにあり、両者の観光を兼ねて行ける店を2軒紹介しよう。
まずは「富士山本宮浅間大社」の参拝者向けに用意された食事処として、昔からその門前にある屋外フードコートの「お宮横丁」。
ここには、まちおこし団体のふじのみや本舗が経営する「富士宮焼きそば学会」のアンテナショップと、昭和23年創業の老舗で地元のファンが多い「すぎもと」、さらに”塩”富士宮やきそばが食べられる「むすびや」の3軒の「富士宮やきそば」が食べられる店がある。
また他にも「静岡おでん」や「富士山餃子」、さらに地ビールからデザートまで、多種多様なグルメが楽しめる。
次は、「見事なまでに規約に忠実な富士宮やきそば」を出してくれる「さの食堂☎0544-26-5869」。筆者は食後に「食べログ」を見たのだが、地元の評判も上々のようだ。

世界文化遺産「富士山」 車中泊旅行ガイド
車中泊でめぐる「富士山ー信仰の対象と芸術の源泉」をテーマにした、オリジナルのマイカー旅行ガイドです。




