この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
輪島は自然と生活文化の見どころに恵まれた、中高年にあう観光地
輪島と聞いて、横綱「輪島大士」を思い出す人は、筆者より年上か、同じ昭和の中頃生まれの世代だと思う(笑)。
輪島は伝統工芸の漆塗や、海の幸が並ぶ朝市で有名な奥能登の中核都市だが、2015年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説「まれ」の舞台となったことで、若者にも認知が広まった。
また近年は港周辺の再開発が進み、生まれ変わった観光施設も多くある。
ここではそんな輪島の見どころを、金沢から珠洲へ向かう順に紹介していこう。
輪島の観光&車中泊情報【目次】
能登出身の名横綱「輪島」の軌跡
せっかくの機会なので、最初に少し能登出身の名横綱を振り返ろう。
初土俵からわずか3年半という超スピード出世で横綱へと上りつめ、史上初の学士・本名横綱となったこの男は、左の下手投げを得意とし、左前ミツを引いて右からおっつけて寄る相撲が武器で、全盛期にはトレードマークの「金の廻し」にひっかけて「黄金の左」と称賛された。
とりわけ若い時からふてぶてしかった「北の湖」を、1974年の7月場所で、結びの一番・優勝決定戦と、立て続けに「黄金の左」で下した相撲は懐かしい。
当時の筆者は15歳。中学3年の時のことだった。
ただ、現役時代から金遣いが荒いことで知られ、引退後は抱えていた金銭問題が原因で廃業。その後はプロレスラーとなるが、目立った活躍のないまま、ひっそり身を引いた。
本名・輪島博は2018年の10月に70年間の人生を終えるが、もし相撲界にとどまっていたなら、輪島の町のどこかにきっと、その栄光を称える記念館が建てられていたに違いない。
優勝回数は歴代7位の14度。今の日本人力士には、ちょっと期待できそうにない立派な成績だ。
なお顕彰碑は、出身地の石川県七尾市石崎町にあるらしいが、筆者もまだそこには行けていない。
NHKの朝ドラ「まれ」の舞台となった「間垣の里」
あわせて「間垣の里」から2キロほど山の中に入ったところに流れる、いっぷう変わった桶滝(おけだき)を紹介しておこう。
桶滝の落差は約30メートルで、滝としてはそれほど大きいほうではないが、大きな岩床に開いた穴の中を水が流れ落ちる珍しい形状で、石川県の天然記念物及び名勝に指定されている。
遊歩道の入口前には、クルマが2.3台止められるスペースがある。そこから桶滝までは歩いて5分ほど。
わざわざというほどでもなく、マイナスイオンを浴びるにはいい距離だ。
1000年以上の歴史を誇る「輪島朝市」
200軒以上の露店が立ち並ぶ「輪島朝市」は、通称「朝市通り」と呼ばれる約360メートルの商店街で毎朝行われる。
歴史は古く、平安時代に神社の祭礼日などに作物や魚介を持ち寄り、物々交換しあっていたのが始まりとされ、室町時代には毎月4と9のつく日に、明治時代以降は毎日市が立つようになり、現在に至っている。
市には鮮魚や干物だけでなく、加工品も数多く並ぶ。
能登の伝統的な調味料「いしる」は、いわしを発酵させて作る魚醤。
とはいえ、買いやすいのはこういう小物ですな(笑)。
♪空にそびえる くろがねの城 スーパーロボット マジンガーZ♪
これがメロディーとともに歌える人は、「朝市通り」にある「永井豪記念館」にも足を運ぼう。
以前はなかった食事処もずいぶん増えているようだ。
さて。買物や食事をしたとしても、朝市の観光はせいぜい2時間もあれば十分だ。
上の記事に書いているが、朝市の駐車場もマリンタウンの駐車場も、12時を過ぎるまでに出庫すると有料になる。
そこでここから先は、朝市と合わせて足を運びたい周辺スポットの話をしよう。ちょっと見づらいかもしれないが、お勧めのスポットは下のマップに丸印をつけてある。
輪島ドラマ記念館
「いろはばし」の袂に建つ「輪島ドラマ記念館」の目印は、連続テレビ小説「まれ」を見ていた人には懐かしい、この大きなデコレーションケーキのイミテーション。
ここにはドラマに登場した「サロンはる」や、まれが友達とよく集まっていた「朝市食堂まいもん」のロケセットが主に展示されている。
前述した「間垣の里」もそうだが、輪島一帯の観光地はこのドラマでも数多く取り上げられており、見ればプラスアルファの興味も湧く。
ちなみに、主演の土屋太鳳ちゃんがたっぷり登場する、ドラマ「まれ」の詳細と動画は、今でも「NHKオンディマンド」で見ることが可能だ(笑)。
輪島ドラマ館 オフィシャルサイト
入場無料
8時~17時・無休
輪島漆塗会館
1階は輪島漆器商工業協同組合に加盟する約60件の塗師屋の作品を一堂に集めた展示販売スペースで、2階は輪島塗の工程や職人の世界、さらに歴史文化に関する資料展示室になっている。
輪島漆塗会館 オフィシャルサイト
※サイト内に入館割引券が掲載されている。
☎0768-22-2155/大人300円/8時30分~17時・
無休/1階は無料(出入り自由)
やぶ新橋
「輪島ドラマ記念館」から川沿いに歩くこと約500メートル・5分。
「輪島漆塗会館」の斜め向かいにある食事処「やぶ新橋」は、輪島市内屈指とも呼べる人気の食事処だ。
写真は刺身定食1650円。中高年が輪島市内でランチを食べるなら、ここがイチオシだと思うが、行列は必至。
輪島キリコ会館
「輪島キリコ会館」は、2015年3月に「輪島マリンタウン」の敷地に移転リニューアルされたミュージアムで、「朝市通り」から歩いて10分もかからない。
キリコとは巨大な灯籠のこと。
ここでは能登の伝統的な「キリコ祭り」に使われる大キリコ7基とキリコ24基が展示されている。
また2階のスクリーンシアターでは、そのキリコ祭りの映像も楽しめる。
輪島キリコ会館 オフィシャルサイト
☎0768-22-7100
大人630円
8時~17時・無休
世界農業遺産に登録された「白米千枚田」
棚田は日本各地に数々あれど、この「白米千枚田(しろよねせんまいだ)」ほど「絶景」という言葉が似合う棚田を、筆者は未だ見たことがない。
ただ2011年に世界農業遺産「能登の里山里海」に認定されて以降、地元ではそのシンボル的な存在となった「白米千枚田」のPRに力を注いでおり、休日の昼間は渋滞することが多い。
輪島のベスト車中泊スポット
往々にして名の通った地方都市というのは、車中泊環境に恵まれないところが多いのだが、輪島は例外と云っていい町だ。
そこでその車中泊事情と車中泊スポットを別記事に仕立て、より詳しくご覧いただけるようにしている。
能登半島 車中泊旅行ガイド