この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「宇津ノ谷峠」は「日本遺産」の構成要素として有名だが、道の駅は高速道路のPAに近い形状で、車中泊環境は劣悪。利用は休憩に留めたほうがいい。
「道の駅 宇津ノ谷峠」のロケーション
歴史が好きな旅人であれば、弥生時代の稲作を現在に伝える「登呂遺跡」や、徳川家康が幼年期と晩年を過ごした「駿府城」に近いこの「道の駅 宇津ノ谷峠(うつのやとうげ)」が、どういう道の駅かが気になるのはよく分かる。
加えて「宇津ノ谷峠」は、1590年(天正18年)に豊臣秀吉が小田原攻めに向かう大軍を通すために整備したとされる峠越えの道で、江戸時代には「東海道」として参勤交代の大名行列や多くの旅人らが往来している。
その様子が歌川広重の浮世絵にも描かれていることから、2010年に国の史跡に指定され、さらに文化庁は2020年7月に、地域の文化財を一つの物語にまとめて伝える「日本遺産」として、「駿州の旅」を新たに認定した。
具体的には、旅ブームをもたらした弥次喜多の活躍や歌川広重の浮世絵「東海道五十三次」をテーマに、登場する名所や名物を紹介する内容で、その構成要素に「宇津ノ谷峠」も含まれている。
「道の駅 宇津ノ谷峠」の施設
結論は、ここでの車中泊は「絶望的」と云うしかない。
理由は一目瞭然。
高速道路並みのスピードでクルマが流れる国道1号の、間際にある傾いた駐車場で熟睡するのは、相当疲れていなければ難しい(笑)。
「道の駅 宇津ノ谷峠」は国道1号の道の駅で、形状は高速道路のパーキングのように「上下線別々」になっている。
そのうえ「宇津ノ谷トンネル」をはさんで、静岡市(上り線・下り線)と藤枝市(上り線のみ)に、都合3ヶ所の駐車場が分散しているからややこしい。
筆者が利用したのは藤枝市(上り線)の方で、「おかべ茶屋」の中に小さな食堂がある。またここの「茶っきりあんぱん」はおいしいと評判のようだ。
隣には休憩スペースも用意されている。
また可燃物のゴミ箱も置かれている。
だが、トイレの近くの駐車場は傾斜があって車中泊はしづらい。
こちらは、「おかべ茶屋」からウナギの寝床のような細い駐車帯を過ぎたところにある駐車区画。
「おかべ茶屋」横の駐車区画よりは寝やすそうだが、トイレにはクルマで行きたくなるほど遠い。
そこで宇津ノ谷トンネルを超えた静岡市の駐車場に移動しよう。
上り線で車中泊をするとしたら、この場所が1番マシということになりそうだ。
なお静岡市の下り線側には物産館があるようだが、筆者は寄っていない。
また近くにある「道の駅 玉露の里」にもまだ足を運べていないが、車中泊経験者のブログを見る限り、あまりいいことは書かれていない。
どうしても道の駅での車中泊にこだわりたい人は別だが、もし静岡市内で快適に車中泊がしたいのなら、他にもっといい場所がある。
