この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

断崖絶壁・さくら貝のビーチ・名画と映画のゆかりの地…「能登金剛」は、海岸美に満ちた外浦の人気観光スポット
「能登金剛」は、福浦港から関野鼻まで続く奇石断崖の海岸線の総称で、能登半島国定公園を代表する景観のひとつとされている。
能登金剛の観光&車中泊情報【目次】
ランドマークは「厳門(がんもん)」
幅6メートル、高さ15メートル、奥行きはなんと60メートルにも及ぶという「巌門」は、日本海の荒波によって削り出された天然の洞窟で、まさに「門」と呼ぶに相応しい景観だ。
洞窟には遊歩道が伸びており、「門」の中から日本海を見ることができる。
「厳門」は、「ヤセの断崖」とともに松本清張の小説「ゼロの焦点」の舞台となったことで、全国にその名を知られるようになったのだが、実はその150年以上も前の江戸時代に、ここを日本中に紹介した著名な芸術家がいる。
その芸術家の名は「安藤広重」。
今は「歌川広重」と学校でも教えるようだが、浮世絵の巨匠が日本全国68名所を描いた「六十余州名所図会」の中の「能登 瀧之浦」に、この巌門と鷹の巣岩・不動の滝が描かれている。
広重の独特な構図と実際の風景を見比べるには、現地に足を運ぶしかない。

ちなみに「厳門」からは、「鷹の巣岩」や「機具岩」を巡る遊覧船が出ている。
なお、クルマは食堂と土産物屋がある「能登金剛センター」の無料駐車場に停められる。ここは何も買わなくてもOKだ(笑)。
能登金剛エリアのリゾート地「増穂浦(ますほうら)」
「世界一長いベンチ」があることで有名な「増穂浦」は、「和歌浦」「由比ヶ浜」と並ぶ「日本小貝三名所」だ。
11月から3月にかけて吹く「貝寄せの風」が、浜に貝殻を運んでくる。有名なのは幸せをもたらすと云われるピンク色の「さくら貝」だが、実際に拾える貝殻は400種類にも及ぶという。
ここは「道の駅とぎ海街道」にクルマを置いて浜に出られる。
なお道の駅については、このあとに詳しい記事を用意している。
能登金剛のハイライト「ヤセの断崖・義経の舟隠し・関野鼻」
「ヤセの断崖」は、1961年に公開された松本清張原作の映画「ゼロの焦点」で、悲劇のヒロインが最後に身を投じた場所。
「ヤセの断崖」と書かれた案内板が立っているのは展望所で、「ヤセの断崖」はその左に見える岬の先端だ。
映画の影響を受けて、35メートルの崖上から、最盛期には18人もの飛び降り自殺者がいたというから驚く。当時は柵もなかったのだろう。
だが現在は、現地に行ってもその怖さはまったくわからない(笑)。
2007年に発生した能登半島地震により、名所であった崖が幅10 メートルにわたって崩落し、かつての面影は消えつつある。
ちなみに「ヤセ」の名は、断崖周辺の土地が痩せていたこと、あるいは断崖の上に立ち、身を乗り出して崖下を覗くと身がやせる思いがすることに由来するらしい。
「ヤセの断崖」の近くには、トイレのある公園と無料の駐車場がある。
さて。断崖に沿って設けられた遊歩道は、「義経の舟隠し」に通じている。
「義経の舟隠し」は、兄の頼朝の追っ手から奥州へ逃れる途中で、源義経が荒波から守るために48隻もの舟を隠したという伝説が残る入江。
「かぶと岩」「義経一太刀岩」「弁慶二太刀岩」などの奇岩が残る近くの「関野鼻」では、大河ドラマ「源義経」のロケも行われている。
「ヤセの断崖」「義経の舟隠し」「関野鼻」の位置関係はこの通り。多少歩かなければならないが、前述した無料駐車場にクルマを置いて散策できる距離にある。
鳴き砂のビーチ「琴ヶ浜」
「琴ヶ浜」は輪島市のはずれにある門前町の海岸で、歩くと「キュッキュッ」と女の人が泣くような音がすることから、「泣き砂のビーチ」とも呼ばれている。
砂が泣くメカニズムは、石英の粒を多く含む砂が歩行などの急激な動きによって表面摩擦を起こし、粒どうしが擦れる際に音が出るからだが、「琴ヶ浜」の砂は、0.4ミリほどの石英が約72%を占めている。

出典:NHK
ちなみに、2015年に放送された連続テレビ小説「まれ」のオープニングで、ヒロイン・土屋太鳳のダンスシーンのロケが行われたのはココ。
動画が見られないのは残念だね!
さて。「琴ヶ浜」には無料の立派な駐車場がある。
ここは海水浴もできる場所だけに、トイレと水場も用意されており、穴場の車中泊スポットではあるのだが…
困ったことに、いい波も立つ。
夏が終わった後のオフショアの休日は、駐車場ごと「サーフ天国」になるのでご用心を(笑)。
能登金剛のグルメスポット「ロードパーク女の浦」

能登金剛の車中泊スポット


