この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

「道の駅 賤母(しずも)」は、中山道の「妻籠宿」に一番近い道の駅
道の駅 賤母 オフィシャルサイト
道の駅 賤母【目次】
「道の駅 賤母」のロケーション
「妻籠宿」は、六十九次ある中山道の42番目の宿場町で、隣接する馬籠宿とともに、木曽路を代表する観光名所となっている。
1970年代の高度経済成長に伴い、全国の伝統的な町並みが姿を消してゆく中で、馬籠宿はいち早く地域を挙げての「景観保全活動」に取り組んだことが評価され、1976年に国の「重要伝統的建造物群保存地区」の最初の選定地の一つに選ばれた。
「道の駅 賤母」は、その馬籠宿から約6キロ・クルマで10分足らずのところにある。
「道の駅 賤母」の施設
1994年にオープンした「道の駅 賤母」は、長野県の塩尻市と岐阜県の中津川市を結ぶ国道19号(旧:中山道)の道の駅で、国道を挟むように2つの駐車場を有している。
面白いことに、筆者が初めて訪ねた時は長野県の道の駅だったが、2005年の越県合併により、現在は岐阜県の道の駅になっている。
宿場をイメージした建物側の駐車場は、フラットで車中泊に適しているが、中央に大型車の区画がレイアウトされているため、静寂性は望めない。また国道19号を挟んだ駐車場にはトイレがなく、歩道橋を渡っていく必要がある。
さて。若者たちが書くサイトを見ると、「道の駅 賤母」の名物は本格的な石窯で焼き上げるピザのようだ。
「日本の原風景」が売りの木曽まできて、なんでイタリアンやねん!
と大阪人のおっちゃんは突っ込みたくなるのだが(笑)、そんなことにおかまいなく、その情報を見た観光客が次々とやってくる。
しかし中高年の旅人は、「同じ食べるならその土地らしいものがいい」と思っているし、実は売店に行けば、そういう商品がたくさん並んでいる。
そんなわけで、筆者は「栗きんとん大福」を選択した。
昼と夜の寒暖差が大きい木曽の栗は、粒が大きく甘いことで知られている。
それに砂糖を加えて炊き上げ、茶巾で絞ったものが本物の「栗きんとん」で、芋のあんこで甘栗を包んだ、正月に食べるあの「栗金団」とは別物。漢字では「栗金飩」と書く。
ほかでは越県合併を経験している「道の駅 賤母」だけあって、冷凍庫には仲良く長野県と岐阜県の名物が収まっている(笑)。
また永野芽郁がヒロインをつとめた、2018年上半期放送のNHK連続テレビ小説「半分、青い。」を見ていた人なら分かると思うが、中村雅俊が焼いていた「五平餅」も、このあたりの名物だ。
さらに木曽は地酒も多い地域だが、中でも「中乗さん」は、木曽に古くから伝わる民謡「木曽節」に登場する「筏乗り」から命名された、安くておいしい銘酒だ。
「木曽節」は、筆者の同年代ならこの歌詞を見ればわかるのでは。
♪『木曽のナア~なかのりさん 木曽の御嶽ナンチャラホイ 夏でも寒いヨイヨイヨイ』♪
加えてお酒だけでなく、こういうものまで置いてあるから悩ましい(笑)。
とどめに、「道の駅 賤母」では驚くべき「からすみ」と出会った。
酒飲みが知る「からすみ」は、ボラの卵から手間暇かけて作られる、濃いオレンジ色のねっとりした「高級珍味」だが、このあたりでは米粉でつくった蒸し菓子のことをそう呼ぶらしい。
いっぽう野外に目を向けると、「道の駅 賤母」の一画には、裏山から湧き出た「しずもの清水」が自由に汲める水場がある。
ゆえに「道の駅 賤母」の難点は、トラックが近くに停まることだけなのだが、国道19号は通行量の多い幹線道路だけに、それは避けられそうにない。
静かな車中泊を望む人は、4キロほどしか離れていない「道の駅 きりら坂下」のほうが無難だろう。

「道の駅 賤母」の車中泊好適度
「道の駅 賤母」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:館外にあり、24時間利用可能
缶・ビン・ペットボトル:同上
そもそも、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
しかも「道の駅 きりら坂下」は、それがごく当たり前に生じる環境だ。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 賤母」に最寄りの温泉&周辺買い物施設
クアリゾート湯舟沢
※クルマで約12キロ・20分
☎0573-69-5000
おとな平日600円・土日祝900円
10時~22時(受付最終20時30分)
コンビニ
デイリーヤマザキまで約3.5キロ。
スーパーマーケット
「Aコープ坂下店」まで約4キロ。
「道の駅 賤母」のアクセスマップ
日本全国 道の駅・車中泊好適度チェック!
中山道 車中泊旅行ガイド
「アラ還」からの車中泊


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