この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
金沢観光の一番最初に行くべきところは、「石川県立歴史博物館(石川赤レンガミュージアム)」
兼六園の「随身坂口」から歩いて3分ほどのところにある「石川県立歴史博物館」は、併設する「加賀本多博物館」とともに、「いしかわ赤レンガミュージアム」の愛称で親しまれ、国の重要文化財に指定されている。
かつての陸軍兵器庫で、戦後は金沢美術工芸大学に使用されていた建物は、博物館としてリノーベーションするにあたり、外観は創建当時の姿を忠実に復元し、内装には建物の文化財としての価値を損なうことなく、展示設備との調和を図ることに重きが置かれた。
そんな「石川県立歴史博物館」の中で、特に中高年旅行者にお勧めしたいのが、常設展示の第一展示室にある「加賀藩の政治と文化」のコーナーだ。
筆者は、『金沢観光を面白くするキーワードは「加賀百万石」』という記事を書いているのだが、ここには加賀藩成立の成染から、「城下町金沢」「金沢町人の暮らしと文化」、さらには「北前船と加賀・能登」といった内容が、実に分かりやすく展示されている。
中でも興味深いのは、第11代藩主・前田治脩(はるなが)の「参勤道中記」をもとに、日本最大級を誇った加賀藩の参勤交代を、大型壁面パネルと人形、そして映像を用いて紹介しているこのコーナー。
こういう貴重な数字まで残されているのも、戦禍を免れた加賀藩らしい。
しかも参勤交代のルートが、なんと現代の北陸新幹線とほぼ同じというのだから面白すぎる。
当時のお殿様が現代にタイムスリップしてきて、もし新幹線に乗ったら、どのくらい仰天するのか…
妄想は広がるばかりだ(笑)。
もうひとつ筆者を喜ばせてくれたのが、『金沢城下図屏風』をもとに、犀川大橋から現在の片町までを再現したという、「城下町金沢の暮らしと町並み模型」。
ジオラマ自体は珍しくはないが、このリアルさには驚かされる。
もちろん「兼六園」に関する詳しい展示もある。
つまり最初にここに来れば、自宅で「予習」してこなくても、「加賀百万石」の概要がアタマに入る。
しかも、その後に「試験」があるわけでもなく、金沢観光をしている間だけ、ざっくり覚えていられればそれでいい(笑)。
そのための入館料300円なんて、筆者にはタダみたいなものに思える。
9時~17時(展示室への入室は16時30分まで)
休館日:年末年始、資料の展示替・整理期間
石川県立歴史博物館 オフィシャルサイト