この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
観光客が一番聞きたいことは、「どこに行けば、これぞ兼六園!と呼べる美しい写真が撮れるのか」だ。
正直云って「兼六園のウンチクを読むだけで肩が凝る」と思っているのは、筆者だけではないと思う(笑)。
後楽園(岡山市)・偕楽園(水戸市)とともに、日本三名園のひとつに挙げられ、2009年3月16日発売の「ミシュラン観光ガイド」においては、最高評価の3つ星に選ばれているのだから、そりゃ~素晴らしい庭であることに間違いはあるまい。
で、どこから見ればその美しさが実感できるんだ?
ネットで検索される大半のガイドには、それが書かれていない。
兼六園は、広大な敷地に池・築山・御亭(おちん)を配置した、「池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)」なのだから、「美」は歩いて探すのが当たり前…と云わんばかりに、オフィシャルサイトを真似て、総花的に見どころを羅列するだけなら「不要の産物」。
まして自ら撮った写真も載せられないようなブロガーの記事など、まったく必要性を感じない。
老若男女が観光地で求めたいのは「インスタ映え」。
すなわちどこから観れば、「これぞまさに兼六園!という写真が撮れるのか」、「アップした写真に『いいね』がたくさんもらえるのか」。
当サイトでは単刀直入に、まずは「兼六園のベストフォトスポット」を紹介することから始めたい。誰だって忙しいんだから、当たり前だよ(笑)。
答えは「榮螺山(さざえやま)」
兼六園の中で一番高いところにある「栄螺山」からは、「霞ヶ池」を大きく「唐崎松」を小さくした、「池泉回遊式庭園」らしい奥行きのある写真が撮れる。
「栄螺山」は、13代藩主・前田斉泰が「霞ヶ池」を拡張した時に掘られた土を盛った築山で、頂上までの道が「さざえ」の殻のように、ぐるりと巻いていることからそう名付けられた。
頂上には傘の形の屋根をした御亭があり、その奥の狭い場所が「兼六園のベストフォトスポット」になる。
ちなみにこちらは、「栄螺山」から撮ったライトアップ。
余計な光線を避けるためにズームをかけて寄せているが、さすがにこれは、歴代のお殿様も見たことがない景色だろう。
もし目の当たりにしたら、照明機材にいくらでもお金を出してくれそう(笑)。
さて。スカッとしたところで、改めて「兼六園」のトリビアと見どころを紹介していこう。読めば「やっぱり兼六園が金沢のランドマークなんだ」ということがわかる。
兼六園の名前の由来は「六勝(ろくしょう)」
兼六園は、京都によくある寺の方丈や御殿の書院から見て楽しむ「座観式」の庭園とは違い、広い庭の中に大きな池と築山を配し、そこに設けた御亭や茶屋に立ち寄りながら、移動することで多種多彩な景観を味わえるところに魅力がある。
実は中国の「洛陽名園記」に、「相反する景観を調和させて対照の美を演出する」という意味から、優れた景観の代名詞に使われる「六勝」という言葉がある。そして兼六園の名は、その「六勝を兼ね備えた庭園」に由来している。
ちなみに名付け親は、江戸時代後期に将軍補佐兼老中を務めた「松平定信」。そりゃ、前田家も「嫌です」とは口が裂けても云えませんわな(笑)。
兼六園の見どころをサクッと紹介。
最後に「栄螺山」以外のフォトスポットを、おまけ代わりにガイドしよう。
唐崎松(からさきのまつ)
撮影的見地からすると、とにもかくにも、雪吊りで有名なこの「唐崎松」をどう写真に取り込むかが、兼六園での「腕の見せどころ」になる。
徽軫灯籠(ことじとうろう)
「唐崎松」との相性がいいのは、「虹橋」を渡ったところにある、元は雪見灯籠として園内に配置された「徽軫灯籠」。
内橋亭(うちはしてい)
もうひとつ、「唐崎松」と「霞ヶ池」とのコラボが撮れる被写体が「内橋亭」。蓮池庭(兼六園の始まりとなった庭園)内にあった四亭の中のひとつを移築した歴史のある建物だ。
ここは夜景も映える。
「瓢池(ひさごいけ)」と「翠滝(みどりたき)」
兼六園最古の作庭とされる場所で、「海石塔」と呼ばれる六重塔は、金沢城にあった石塔の一部を移したといわれている。
また、高さ6.6メートル、幅1.6メートルの「翠滝」は、兼六園にある一番大きな滝だ。
瓢池はライトアップ時の入口になる「蓮池門」から近く、もっとも人だかりになるスポットだが、橋には手摺がないので、押されて池に落ちないよう気をつけよう。
石川門前
ここは1601年(慶長6年)に、のちに2代将軍となる徳川秀忠の娘・珠姫 (たまひめ)が輿入れした際に、300人ものお供のために長屋が設けられ、江戸町と呼ばれていた場所だ。
「百間堀」の向こうには「石川門」がよく見え、現在は路地に面して茶店や土産物屋が立ち並んでいる。
金沢名物「九谷焼」が買える店もある。
筆者はここで、同じ60歳になるという、古びた九谷焼のこぶりな湯呑を、ぐいのみ代わりに使おうと思って購入したが、値段はたったの300円。
本物かどうかは分からないが、きっとこのサイトと同じで、「信じるものは救われる」(大笑)。
というわけで、筆者のガイドはここまで。
なお、兼六園内の由緒ある場所は、以下のオフィシャルサイトに詳しく、そして真面目に記載されている。
兼六園 オフィシャルサイト