この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
接阻峡へは、車中泊+パーク&トレイン・バスライドでアタックするのが最良策
南アルプスあぷとラインで行く「接阻峡半日周遊プラン」【目次】
プロローグ
通常「接阻峡」を含む奥大井の旅のメインは、「夢の吊り橋」が架かる「寸又峡」になると思う。
だが「寸又峡」は、寸又峡温泉街から徒歩でアクセスするしかないため、特に中高年は連日のウォーキングを避けたくなる。
これから紹介する「接阻峡温泉」には、マイカーで行くことも可能だが、さすがにそれでは風情に欠けるし、ここまで来ながら有名な「南アルプスあぷとライン」を無視するというのは、さすがにどうなんだろうとも思う(笑)。
そこで、車中泊とパーク&トレイン・バスライドを巧みに利用する、究極の「接阻峡温泉半日周遊プラン」を企ててみた。
確実に始発に乗るため、「道の駅 奥大井音戯の郷」で車中泊
「道の駅 奥大井音戯の郷」の駐車場は、千頭駅利用者の駐車場を兼ねているのだが、千頭駅にはSLと「きかんしゃトーマスフェア」の見学客も訪れるため、ハイシーズンは朝から満車になることが多い。
千頭駅には「道の駅 川根温泉」からでも30分ほどで来れるが、休日の午前9時にはほとんど満車になるため、確実に「南アルプスあぷとライン」の始発乗車を目論むのなら、「道の駅 奥大井音戯の郷」で前泊するほうが無難だ。
列車に乗車する際の留意点
日本唯一の「アプト式機関車」は、深い大井川峡谷に沿った日本一の急勾配を今も走り続けているわけだが、漠然と乗車しても、その面白さは伝わってこない。
少なくとも「アプト」が何であるかを事前に予習をしておこう。
なぜなら、それによって客車の座る席が違ってくる。
千頭駅で乗車するのは、前ではなく最後尾の機関車の次の客車がお勧めだ。
なぜなら、これに「アプト式機関車」が連結される。
「南アルプスあぷとライン」では、千頭駅から「アプト式機関車」が走っているのではなく、日本一の急勾配手前の「アプトいちしろ駅」で連結し、それを超えた「長島ダム駅」で切り離している。
それぞれの駅では5分ほどの停車時間があり、列車から降りて作業を見学することができるので、作業の現場に近いほうが歩かなくて済むわけだ。
なお車窓から見える景観はさほどでもない。もともと観光用ではなく、ダム建設に必要な資材を運ぶために敷かれた路線なので当然といえば当然だ(笑)。
もし景色を撮りたい場合は、座席は大井川がよく見える、進行方向に向かって右側のほうがベターだ。
また奥大井の絶景が見たい人は、「奥大井湖上駅」で降りて、接阻峡温泉まで歩いていくほうがいいだろう。
「若返りの湯」が湧く、接阻峡温泉会館
さて。接阻峡温泉駅から接阻峡温泉会館までは、ゆっくり歩いて10分ほど。
その途中に、帰路で利用する閑蔵線バスの停留所がある。
機関車なら1時間10分かかるところを、バスはわずか25分で戻ってくれるからありがたいのだが、問題は時刻表で、千頭駅方面行きは最終が14時14分になっている。
そのため、このプランを実行するには始発の列車に乗る必要があるわけだ。
接阻峡温泉会館 「接阻の湯」
浴槽は内湯ひとつだけだが、「若返りの湯」と呼ばれるpH8.37の弱アルカリ性・重炭酸ナトリウム泉は、柔らかな肌ざわりでヌメリも十分に感じられる。
☎0547-59-3764
おとな500円
10時〜20時・木曜定休
レストラン・カフェの営業は11時~15時