この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
「夢の吊り橋」は、寸又峡(すまたきょう)のランドマーク
寸又峡 車中泊旅行ガイド【目次】
寸又峡の概要
寸又峡は「21世紀に残したい日本の自然百選」「新日本観光地百選」などに名を連ねる、川根本町を流れる大井川の支流・寸又川の峡谷だ。
以前から林業が盛んで、その時代の名残として残されていた飛龍橋や舗装路を遊歩道として再生し、麓の温泉街と大井川鐵道がセットになった、新たな観光地として脚光を浴びている。
とりわけ有名なのは、こちらの「夢の吊り橋」だろう。
旅行口コミサイトで、「死ぬまでに渡りたい世界の徒歩吊橋10」に選ばれ、外国人客が急増した。
長さ90m高さ8mの吊り橋には、幅20㎝ほどの踏み板が2枚あるのみで、一度に渡れる人数は10人に制限されている。
ちなみにダム湖がミルキーブルーに見えるのは、「チンダル現象」と呼ばれる光の波長によるものだという。
「寸又峡プロムナードコース」散策ガイド
寸又峡には「プロムナードコース」「グリーンシャワーロード」「外森山ハイキングコース」の3つのウォーキングコースがあるが、観光客にお勧めなのは、やはり「夢の吊り橋」と「飛龍橋」を渡って周回する「プロムナードコース」だ。
特に秋は、青いチンダル湖に色づく紅葉が映える「とっておきの絶景」に出逢えるが、このコースのフォトスポットは、上の写真が撮れる「夢の吊り橋」の手前よりもむしろ、橋を渡って「尾崎坂展望台」を下り、さらに「飛竜橋」を過ぎたあたりの高台だろう。
深い渓谷と紅葉、そして青い川に架かる一筋の「はかない吊り橋」…
ここまでくると、「わ~きれい!」という旅行気分を通り越し、豊かな自然に絡む「ささやかな人の営み」が感じられる。
「プロムナードコース」は、通常なら温泉街まで90分ほどで往復できるが、ハイシーズンは「夢の吊り橋」の順番待ちに1~ 2時間要することもあるという。
ゆえに狙いは早朝、そのためには寸又峡温泉街での車中泊が有効だ。
寸又峡温泉
寸又峡温泉は、昭和37年の源泉自然湧出以来、歓楽街のない静かな山里の温泉地として、主に寸又峡を訪れるハイカーに親しまれてきた。
温泉が引かれた10の宿泊施設の他に、町営の露天風呂がある。
南アルプスの麓から湧き出す源泉は、上質の硫化水素系・単純硫黄泉。いわゆる「美肌系」の泉質で、湯上がり後に肌がすべすべ、しっとりするのが特徴だ。
湯楽戯(ゆらぎ)手形
1枚1,000円で3ヵ所の温泉に入浴可。
寸又峡温泉街にある酒屋の安竹商店、土産物店のしらかば屋、旅館の翠紅苑で購入できる。
湯楽戯手形が利用できる温泉(一部)紹介
町営露天風呂
大人400円、9時30分~18時(最終受付17時30分)・水曜・木曜定休
光山荘(てかりさんそう)
大人500円、11時~17時(冬季は14時~17時)・不定休、入浴可能かどうか事前に要電話確認(☎0547-59-2302)
翠紅苑
大人600円(浴室用タオル付き)、11時30分~20時・不定休、混雑時(特に週末の16時から18時の間)は利用不可の場合も。
入浴可能かどうか事前に要電話確認(☎0547-59-3100)
寸又峡温泉 オフィシャルサイト
寸又峡の車中泊事情
寸又峡温泉に通じる県道77号は、温泉街の手前は片側1車線が確保されているものの、途中には対抗しずらい箇所が点在するため、紅葉シーズンは朝から渋滞することも多いようだ。
そのためここで出遅れてしまったら、せっかく近くで車中泊をしている意味が半減してしまうことになる。
幸いにも寸又峡温泉には広い観光駐車場があるので、有料にはなるものの、紅葉シーズンに行く場合は、徒歩で寸又峡にアクセスできる優位性を確保しよう。
ただし寸又峡温泉のまわりにはコンビニすらないので、飲食物は翌日の朝食分を含めて、事前に用意して行くほうがいい。
寸又峡温泉の車中泊スポット
まず寸又峡温泉内では、トイレに近くて車中泊ができる駐車場として、次の2件が挙げられる。
第3駐車場
寸又峡温泉街に一番近い町営の駐車場で、敷地内にトイレがある。
紅葉シーズンは有料で1回500円。周辺の温泉に歩いて行けるが、路面には変則的な傾斜がある。
できれば明るい時間に到着して、できるだけ平坦な場所を探すほうがいい。
しらかば屋駐車場
温泉街の寸又峡入口に一番近い私営の駐車場だが、隣にきれいな公衆トイレがある。料金は1回500円。未舗装だが平坦で車中泊には支障がない。
最後は、道の駅について。
川根には3つの道の駅があるが、温泉併設で利便性の良い「道の駅川根温泉」は人気が高いうえに、寸又峡温泉まで約37㎞・50分と離れている。
距離的に近いのは、約15㎞・20分のところにある「道の駅 奥大井音戯の郷」。
ただし、こちらは大井川鐵道の千頭駅に隣接しており、この時期は夜間も混雑することが予想される。
この2件の中間に位置するのが「道の駅 フォーレなかかわね茶茗舘」だが、ここは特産品である川根茶の紹介施設なので、車中泊目的で利用する人は少ない。
また写真の他にもトイレの裏に数台分の駐車場がある。
寸又峡温泉までは約20㎞・30分。早起きが苦にならない人にはお勧めだ。