「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。

伊東駅の近くにある「支那そば福々亭」は、”ラーメンの鬼”と呼ばれた佐野実の弟子が営む行列店
伊東温泉には、フードコートと日帰り温泉、そして歩いて行けるところに「ドン・キホーテ」が揃い、さらに車中泊に適したフラットで広々とした駐車場を有する、まさに「オールオンワン」と呼ぶに相応しい「道の駅 伊東マリンタウン」がある。
つまりほとんど道の駅界隈で用が足せるため、あえて市街地に出かける車中泊の旅人は少ないと思う。
筆者も「その中のひとり」だったが、今回は伊東温泉の共同浴場を取材すべく、温泉街に近いJR伊東駅あたりまで繰り出した。
取材の途中でランチタイムを迎えたが、この時は事前に食事処の下調べをしてくる余裕がなく、やむを得ずスマホで「食べログ」の力を借りた。
「やむをえず」というのは、筆者は「食べログ」に対して少し懐疑的な認識を持っているからにほかならないが、それは世の中でよく云われている「ヤラセ記事」とは無関係な側面からだ。
伊豆で検索すれば、当然出てくるのはこの手の魚料理店がほとんどだ。だがそれは夜に食べればいいのでスルーする。
その結果、目に留まったのが、「ラーメンの鬼」と呼ばれた佐野実氏の弟子が営む、伊東駅近くの「支那そば福々亭」だった。
大阪在住の筆者は、残念ながら生前の佐野氏が営む「支那そばや」には行ったことがない。
しかし「ガチンコラーメン道」は見ていたので、佐野氏がどういう人物かは知っており、もし番組がヤラセでなければ(笑)、あの猛烈な指導に耐えた弟子の店なら期待が持てるだろうと、半分「野次馬根性」を懐きつつ、足を運んでみることにした。
ほ~、さすがは行列店(笑)。14時を過ぎても順番待ちは終わらない。
ただ店頭に「佐野実」の文字はなく、常連とクチコミで集まってきた観光客が黙々と並んでいる。
結局カウンター席に座れたのは、15時をまわってからだった。
注文したのは900円の「醤油わんたんめん」だが、ご覧の通り「大盛り」かと思うほどの量で運ばれてきた。
筆者は少食なので、「完食できないんじゃないか?」と一抹の不安がよぎったが、それは「取り越し苦労」に過ぎなかった。
自家製と聞く麺の出来栄えは素晴らしく、微塵たりとも粉っぽさを感じさせない滑らかさで、絶妙の硬さを保つ「アルデンテ」に茹で上げられていた。
それに胡椒の効いた餡を巻いたワンタンが、いいアクセントとなり、筆者の箸は止まることのないまま丼の中を空にした。
いっぽう後味のあっさりした琥珀色のスープからは、よく鍛えられたブラスバンドが奏でるハーモニーの如く、幾つもの素材が噛み合って融合しなければ生まれない「まろやかさ」が響き渡り、同時に表面に浮いた脂膜は、その感動が長く続くよう、さりげなく冷めるのを防いでいる。
それが諭吉くんではなく、英世くん1枚でいただけるとあれば、老若男女が並ぶのも頷ける。
ただ難を云うとしたら、ひとつは麺が長すぎて一度にたくさん箸で挟むと、口の中がいっぱいになってしまうこと(笑)。しかしストレート麺なので、そうしないとスープがうまく絡まないのだろう。
もうひとつは駐車場がないので、クルマを近くのコインパーキングに停めて行く必要があること。契約駐車場がないようなので、その分は上乗せになる。
ここでそのコスパを上げるには、やはり温泉と抱き合わせにするしかない!
支那そば福々亭
☎0557-37-7979
カウンター11席のみ
静岡県伊東市湯川2丁目17−6
11時30分~14時30分、17時30分~20時30分・水曜、木曜定休
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