「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

漫画のテルマエ・ロマエにゆかりのある「東海館」の温泉は、土日祝のみ入湯可能。

出典:伊東市
伊東温泉のシンボル「東海館」【目次】
東海館の概要と見どころ
東海道線が熱海駅まで開通した1928年(昭和3年)に創業した元温泉旅館の「東海館」は、昭和初期の建築様式をそのまま残した「伊東市指定有形文化財」で、現在は観光・文化施設として、伊東温泉のシンボル的な存在となっている。
東海館の歴史
「東海館」は松川沿いの河合家別荘の跡地に、材木商で企業家の稲葉安太郎氏が建てた温泉旅館。
1938年(昭和13年)と1949年(昭和24年)の2度にわたる大増築を経て、木造3階建で望楼を持つ現在に近い姿となる。
創業から約70年間にわたり、温泉旅館として営業し続けてきた「東海館」は、1997年(平成9年)にその役目を終え、伊東市に寄贈される。
伊東市は1999年から2001年にかけて、約3億円をかけた耐震・保存改修工事を行い、「東海館」は伊東温泉の観光・文化施設としてリニューアルオープンを果たした。
東海館の見どころ
旅館を廃業し、伊東温泉の観光・文化施設になった現在でも、館内の各階・各部屋ごとの、意匠が異なる趣向を凝らした内装は健在だ。
また客室は、伊東温泉にゆかりの深い人物の展示スペースにも活用されている。
常設展示
温泉地に文人墨客は付き物だが(笑)、伊東温泉にも明治から昭和初期にかけて、川端康成、徳富蘇峰、島崎藤村、与謝野晶子、さらには伊東出身の文学者、木下杢太郎といった多くの著名人が訪れ、また別荘を構えている。
こちらは徳川家康の命により、洋式帆船を伊東港で製造した「三浦按針」のコーナー。「東海館」の近くにはメモリアルパークもある。
さらに伊東の別荘に住んでいた「東郷平八郎」のコーナーもある。
「東郷平八郎」は、日露戦争時に連合艦隊の司令長官として、世に云う「日本海海戦」でロシアのバルチック艦隊を撃破した英雄だ。
生まれは西郷隆盛と同じ、鹿児島城下の加治屋町だが、晩年は妻のリウマチの温泉療養のために、この地に建てた別荘で過ごしていたという。
東海館の温泉
平安時代の開湯と伝わる「伊東温泉」は、江戸時代に徳川家光への献上湯を行い、湯治場として栄えたことで知られている。
その「伊東温泉」の中にある「東海館」の名が、温泉マニアの間に広まるきっかけとなったのは、映画化もされたヤマザキマリの原作漫画「テルマエ・ロマエ」に、「東海館」をモデルとする「伊藤温泉 東林館」が登場したことにあるらしい。
映画には使われなかったが、スタジオジブリの「千と千尋の神隠し」に登場する「湯屋」の、モデルのひとつになっていたとしても不思議ではない堂々たる外観は、彼らに強いインパクトを与えたようだ。
そう云われると、せっかく伊東温泉まで来たのだから、道の駅の日帰り温泉だけではなく、ひとつは思い出に残る…というか、土産話にもなるであろう「東海館」で、伊東温泉のお湯を味わって帰りたくなるのは当然だ。
ただし「東海館」浴場が開放されるのは、土日祝日のみで、平日は受け付けていないので注意しよう。
詳細は以下の通りになる。
入浴料:おとな500円
営業時間11時~19時
※大小2つの浴場を男女時間で入替制
【男性大浴場/女性小浴場】11時~12時45分、15時~16時45分
【女性大浴場/男性小浴場】13時~14時45分、17時~19時
なお入浴料には、館内の見学料も含まれている。
東海館へのマイカーアクセス
さて。
「東海館」には専用の駐車場がない。
というか、前を通る「松川通り」はこんなに細いので、クルマでは近づかないほうが無難だ。
そこで近くの駐車場にクルマを停めて、そこから徒歩でアクセスする。
分かりやすくて、そこそこ台数が停められるのは「伊東市大川橋駐車場」で、オフィシャルサイトにも掲載されている。駐車場から「東海館」までは約250m、徒歩約3分で行くことができる。
●収容台数
普通者64台
●駐車サイズ
高さ2.3m以下 全長5m以下 全幅1.9m以下(平面式・自走式)
●営業時間
24時間
●駐車料金
最初の1時間200円、以降30分毎100円
午前0時〜午前7時までは1時間100円
入庫から15分までに出庫する場合は無料。
1日の最高限度額は1500円(入庫から24時間)
ただしルール上、ハイエースのスーパーロングやキャブコンは入庫できない。
その場合は、申し訳ないが自力で探してくれ(笑)。
大きなキャンピングカーに乗ると、大抵はこの問題に直面する。日本を隈なく旅するには、筆者が乗っているハイエースのナローサイズまでが無難でいい。

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