「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。

「独鈷そば 大戸」は、メニューが「ざる」と「かけ」の2種類しかない「手打ちそば」の専門店
弘法大師の開湯伝説が残る「独鈷(とっこ)の湯」界隈を歩いていると、立派な店構えをした蕎麦屋さんを何件か見かける。
町全体が和風なので景観に溶け込みやすい、また昔は中高年が好んでやってくる場所だったからなど、理由はわからないでもないのだが、修善寺がそばで有名という話はあまり聞いたことがなかった。
だが、このメニューに釣られてしまった!(笑)。
中伊豆と云えば「生わさび」。
どこの道の駅でも売っているので、何も調べずにきた旅人でもすぐに気づく話だが、その「生わさびで、ざるそばが食べられるなら悪くないな」と思い、暖簾をくぐってみることにした。
訪ねたのは「独鈷そば 大戸」。
もちろん「食べログ」にも出てくる人気の店だが、筆者はその情報をさほど信頼してはいない。ただ長くなるので、理由は下記の記事にまとめている。
「独鈷そば 大戸」の外観は、立派過ぎず地味過ぎず、まさにそれなり。ウィンドウディスプレイも丁寧で、これなら粗末な対応にも合わずに済みそうだ。
それになにより、「ざる」と「かけ」の2種類しかメニューがないという潔さが気に入った。
こちらが運ばれてきた「独鈷ざるそば」。
生わさびが泡のようにきめ細かく擦り下ろせる、「鮫皮のおろし板」で出てくるあたりに店主の「こだわり」を感じるのだが、天城産の生わさびがそばとともに出され、自らすりおろして食べるのが「修善寺スタイル」のようで、それは「独鈷そば 大戸」だけではないらしい。
つゆは関東仕立てのあっさり系で、ざるそばがスキッとしている分、小鉢の煮物が舌にいいアクセントを与えてくれる。関西の人は「とろろ」も美味しく感じるだろう。
なお、残った生わさびは持ち帰れる。
持ち帰り用のビニール袋をくれるのは、衛生的でとてもありがたかった。生わさびだけでも300円はすると思うので、それを差し引けば約1000円の計算になり、筆者的には「上出来」のコスパに思えた。
ただもらえるのは「1グループに1本」みたいで、ひとり1本ではないようだ。
さて。気になるのは店名にも料理名にもつけられている「独鈷(とっこ)」だ。
「独鈷そば 大戸」と書かれた看板の上に飾られた「独鈷」は、密教で使う仏具の一種で、金属製の両端がとがった短い棒を意味している。
本来はもっと小さいもので、手で持って煩悩を打ち砕くために使われるのだが、修善寺には冒頭で紹介した通り、弘法大師による開湯伝説が残る「独鈷の湯」がある。
それが、この店とどういう関連性を持っているのか…
店構え・料理・接客のどれをとっても丁寧で、悪い印象がなかっただけに、そこまで話が結びつくと、「独鈷そば 大戸」は他店とは一味違うPRができるはずだ。
今のままだと、「名物」という表現が逆に仇となるようにも思えた。
独鈷そば 大戸
☎0558-72-0247
11~15時・火曜定休
駐車場あり(8台)
※予約は不可
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