この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
修善寺は「近くにいれば寄り道する価値がある」ところ
修善寺観光のキーワードは、「弘法大師」「湯治場」「北条政子」「小京都」
ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンの★★とは
「修善寺」を旅する際に重要なのは、いい加減な情報に踊らせられないよう、正しい認識を持つことだ。
そのためには、「言葉」の理解から始める必要がある。
まず、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで★★の評価を得ているという修善寺温泉だが、★★とは「近くにいれば寄り道する価値がある」という意味にすぎない。
ちなみに★★★は「わざわざ旅行する価値がある」で、★の数はひとつしか違わないが、その差はかなり大きい。
ただ修善寺へのルートは道路整備が進んでおり、東名・新東名高速道路からは「❶伊豆縦貫道」「❷伊豆中央道」「❸修善寺道路」と乗り継ぐことで、ほとんど一般国道を走らず到着できる。
具体的には東名高速道路「沼津IC」又は新東名高速道路「長泉沼津IC」を降りたら、そのまま伊豆縦貫自動車道(無料)へ入り、終点の「函南塚本IC」まで行く。
「伊豆縦貫道」の途中にある「道の駅 伊豆ゲートウェイ函南」のあたりは、富士山もよく見える。
もちろんここでの車中泊も可能だ。
さらに「函南塚本IC」で降りたらそのまま直進し、伊豆中央道(有料)・修善寺道路(有料)と乗り継げば、修善寺温泉街に到着する。
なお「伊豆中央道」「修善寺道路」ではETCが使えない。そのため200円が2度必要となるので、あらかじめ小銭を用意しておこう。
修善寺観光のキーワードは、「弘法大師」「湯治場」「北条政子」「小京都」
さて。
ねぇねぇ、岡村~
修善寺のランドマークと呼ばれる「修禅寺」だけど、なぜ地名は「修善寺」で、漢字は違うのに両方とも「しゅぜんじ」って読むの?
「チコちゃん」じゃないが、
今こそ、すべての日本国民に問います。
そんなことも知らずに、やれミシュランとか、弘法大師創建などと云ってる日本人のなんと多いことか…
ぼ~っと生きてんじゃねぇよ~!(爆)
修善寺観光の基本は、「弘法大師」「湯治場」「北条政子」「小京都」の4つのキーワードを理解すれば見えてくる。
まず「弘法大師」についてだが、現地では「修禅寺」の創建と「独鈷の湯」の開湯は、弘法大師の手によるものとしているが、その行動記録を見る限り、弘法大師が伊豆半島まで足を運んだかどうかは疑わしい。
そうなると「独鈷の湯」の伝説は嘘なのか?
と早合点しがちだが、多くのガイドは「修善寺温泉」の本質をきちんと旅行者に伝えきれていないと思う。
なぜなら…
それでは町が潤わない(笑)。
次に。実は筆者は「北条政子」こそ、修善寺を理解する「肝」だと思っているのだが、歴史が好きでない人には、鎌倉時代そのものがとっつきにくく思えて、いまひとつ興味が湧かないかもしれない。
ゆえに、彼女にまつわる地を外して観光してもかまわないが、そうなると修善寺が持つ「独自の地域性」が消え、後付けされた「小京都」を見て帰るだけになるだろう。
修善寺では、1996年から3年がかりで遊歩道を整備し、弘法大師ゆかりの地と源氏関連の史跡に、「竹林の小径」などの新たな要素を加えることで、広い世代からの人気を得ている。
竹林の小径は1997年にできた桂橋から楓橋に至る間の小道で、途中には四季の
様子を写真で紹介する「しゅぜんじ回廊」(無料)がある。
ただ修善寺の歴史を調べてみると、京都との関連性は一切見当たらず、「小京都」のイメージは近年に観光政策の一環で築かれてきたものでしかない。
首都圏の若いカップルが、修善寺で京都風情を楽しむのは否定しないが、中高年が本当の京都を知らずに、こういうテーマパークのレベルで満足してしまうのは、しごく残念に思う。
修善寺には「京都にもない独自の深い日本の歴史」が刻まれている。
それをレトロとかノスタルジーという言葉で片付けるなんて、筆者の自尊心が許さない(笑)。
ただ、それを含めたとしても…
『修善寺は「近くにいれば寄り道する価値がある」ところ』であることに間違いはない。
また「寄り道」ゆえに、わざわざ現地で車中泊をする必要性はなく、近くに道の駅があるので、そこで前日か、観光後に泊まれば十分だろう。